菰ほどの小さき(ちさき)温もり襟を立つ    フーザンボー

 

 

 ここでいう菰(こも)はマコモや藁で織った筵(むしろ)のことで、この時期寒牡丹などに被せてあるのを見かけます。寒牡丹を咲かせるには菰(藁苞)や敷藁をほどこし、寒さから保護をする必要があるのです。その寒牡丹が菰を被ったほどのわずかな温もりを、コートの襟を立てたときに感じたというのが句意です。

 「襟を立つ」が季語です。次の句のように「外套の襟を立て」というべきところですが、外套を省いて「襟を立つ」だけにしているのです。

 

 

         外套の襟を立て東京の隅へ帰る    加倉井秋を