白百合を抱へ花粉まみれの漢     フーザンボー

 

 

 

 

 今日このブログにアップする一句は、最初「百合の香を持て余したる終電車」(フーザンボー)とする予定でしたが、急きょ掲出のものに変更しました。それというのも、「百合の香を持て余したる終電車」と同じフレーズの句「百合の香をもてあましたる男部屋」(鈴木寿子)が歳時記に載っていたのです。先行句がある場合、後出しの小生の句は類想・類句と言われてしまいますので、載せるわけに行きません。

 転勤で職場を離れる日に花束をいただいたのですが、花束の中に百合の花が入っていて、電車内でその香りが強いことに気付いたのです。ほかの乗客に迷惑をかけているのではないかと思いながら花束を家に持ち帰ったことを、思い出して作ってみたのですが。

 

 今日の一句ですが、百合の花の花粉がワイシャツに付いて困ったことがあったので、それを句にしてみたのです。「漢」は「おとこ」、「かん」と読みます。「悪漢」の「漢」です。ここでは「かん」と読んでください。

 

 

 

 

          ちち母は知らず少年百合かぐを    西和夫