余寒なほみちのくの夜の明けがたし   フーザンボー




 二月は、暦の上では寒が明けて早春なのですが、まだまだ寒さが残っているという感じです。これを「余寒」と言うのです。北へ行けば行くほど、二月はまだ寒い日が多いのです。


 似たような季語で、「春寒」がありますが、こちらは春でありながらもまだ寒さが残るという語感です。春寒には余寒ほど寒さの余韻はないと言われています。


 「冴返る」は、寒さがぶり返り、ゆるんだ心持ちが再び引き締まることです。「凍返る」は、凍てが戻ることですので、冴返るよりも厳しい語感です。


 あの大震災から五年が経とうとしていますが、まだまだ取り残されたような寒さがあるのです。寒さや暗さを引きずらないよう、明るい春が来ることを祈って。




                  遠きほど家寄り合へる余寒かな   広瀬直人




                  春寒や石のこゑ聞く竜安寺   関口加代子


 
































                                 

                                 寒

                                 な

                                 ほ

                                 み

                                 ち

                                 の

                                 く

                                 の

                                 夜

                                 の

                                 明

                                 け

                                 が

                                 た

                                 し