満月を呼ぶかに鳶の舞ふ夕べ   フーザンボー




 四季折々の月の中で、中秋の名月がもっとも美しいとされていますが、本当にそう思います。

 芒が穂を広げ、金木犀の匂いがしてきて、夕べになれば虫の音が聴こえ、夕風は肌にやさしい。そうした秋の佇まいの中、恋人を待つようにして十五夜の月を待つのです。


 お月見はどこで見ても良いのですが、名月がゆっくりと上り、わが家が月光に照らされ、心ゆくばかりに月光を浴びるときが、一番ぜいたくでありがたいことだと思っています。


 人工の夜に支配された現代の生活の中では月の存在は忘れがちですが、せめて満月のときは、灯りを消して月の光を浴びたいものですね。




                  森を出て花嫁来るよ月の道   川端茅舎




                  月天心貧しき町を通りけり   与謝蕪村




















































                                  満

                                  月

                                  を

                                  呼

                                  ぶ

                                  か

                                  に

                                  鳶

                                  の

                                  舞

                                  ふ

                                  夕

                                  べ