倒木の朽ちて幾年苔の花


 北海道富良野近くにある東大演習林に入ったときのことです。長さ20メートル以上、太さ直径1メートル以上もある蝦夷松が何本も枯れて倒れていて、長い年月を経て朽ちているのですが、松全体が緑の苔におおわれていて、苔の花も見ることができました。そして、朽ちた松の幹からは、松の実生が、まるで人間が植林でもしたかのように一列に生えているのです。これを「倒木更新」というのだそうです。死して生きる。生命の営み、ここにありです。