橙side
架純ちゃんはトレンチコート、俺はパーカーを羽織って店をあとにする。
的場ちゃんが彼女可愛いねと帰り際に耳打ちしてきたけど、世間的にはそう見えるのかな。
無邪気な笑顔は実彩子と同じだけれど、
実彩子よりも幼い顔立ちの架純ちゃんは、どうしても年下のような気がしてならない。
実彩子にはずるいほど大人びた仕草を悔しいほど見せつけられてきたから。
そして、架純ちゃんから受け取った紙袋はけっこう重たくて、店を出るときまた申し訳ない気持ちになった。
架純「4月24日」
西「‥‥‥え?‥‥‥‥今日やん」
架純「にっしーの日だね。」
西「??!それ、昔よく言ってた。自分で。」
架純「自分で?(笑)」
西「目立ちたがりやだったから」
架純「変なの。」
西「何食べたい?嫌いなものある?」
架純「きゅうり」
西「え!一緒!」
まじ?
架純「うそ。チーズ。」
西「え?」
なんで嘘?
西「俺がきゅうり嫌いなの知ってたの?」
架純「うん、だいぶ前に聞いたよ」
そんなんよく、覚えてるな。