2000年。
私はアルゼを買ったばかりだったが、
スクウェアの購入はアルゼとはまったく違う背景から始まった。
アルゼは父の助言がきっかけで、
当時の人気や掲示板の雰囲気に後押しされて買った銘柄だった。
一方、スクウェアは 自分で選んだ銘柄 だった。
当時の私はゲームをほとんどやっていなかったが、
大学生までの経験から、
ゲーム関連の会社は他の業種よりは“知っている”という感覚があった。
だからこそ、
エニックスとスクウェアのどちらを買うべきか、
自分なりに調べて比較することができた。
■ エニックスか、スクウェアか──“少し知っている業界”だからこそ調べた
ゲームに詳しかったわけではない。
ただ、大学生までよく遊んでいた経験から、
- ドラクエは圧倒的な人気
- FFも大ヒットシリーズ
という程度の知識はあった。
そこから、私は両銘柄について調べ始めた。
調べていくうちに、
エニックスとスクウェアには明確な違いがあることが分かってきた。
- エニックスはドラゴンクエストの“1本足打法”
- 新作の発売間隔が長く、売上の波が大きい
- 新作発表のたびに株価が大きく動く
- 株価も高く、購入資金が必要
一方でスクウェアは、
- FFシリーズの新作頻度が高い
- 聖剣伝説、ロマサガなど他のヒット作もある
- 事業がより“安定しているように見えた”
- 株価も比較的買いやすい水準だった
深い分析ができていたわけではないが、
当時の自分なりに“比較して選んだ”銘柄がスクウェアだった。
■ 市場全体は見えていなかった──IT関連株の急落は知っていたが…
この時期、アメリカではドットコム企業が急成長し、
日本でもソフトバンクや光通信といった銘柄が買われすぎていた。
その期待が剥がれ、一気に株価が下落していたのは知っていた。
新聞やニュースを通じて、そうした情報は入ってきていた。
ただ、その時点で「ITバブルが崩壊した」といった認識はなかった。
実際に“ITバブル崩壊”という言葉が一般的になったのは、
多くのIT企業が倒産し、NASDAQが大幅に下落した 2001〜2002年以降 のことだ。
当時の私は、
- 「ハイテク株の熱狂が冷めた」
- 「人気銘柄が売られている」
その程度の理解でしかなかった。
そして、
市場全体の動きと自分の投資判断を結びつける視点は、まだ身についていなかった。
■ 5400円で初回購入──比較して選んだつもりだった
2000年9月11日、5400円で購入。
アルゼのときのように、
「人気があるから」
といった理由だけではなかった。
- エニックスと比較した
- 事業構造の違いも調べた
- 株価水準も見た
- FFシリーズの安定感
- 複数タイトルを持つ強み
こうした理由から、
「スクウェアなら大丈夫だろう」と思っていた。
当時の自分としては、
“飛びつき”ではなく、考えて買ったつもりだった。
■ 2週間で急落──4450円で追加購入
しかし、購入からわずか2週間で株価は急落した。
2000年9月26日、4450円で追加購入。
今の自分ならこう思う。
「短期間でこれだけ下落したら、一旦損切りすべきだったのでは?」
でも当時の私は違った。
- 「大きく下がったから、そろそろ止まるだろう」
- 「平均単価を下げられる」
そんな気持ちがあった。
アルゼのときのように掲示板に依存していたわけではない。
ただ、下落理由を深掘りすることもなく、個別株だけを見ていた。
そして、
“ナンピンは良くない”という知識はあったが、
実際の判断は期待と感覚に寄っていた。
■ 半値近くまで下落──2720円での追加購入
さらに株価は下がり続け、
2001年1月29日、2720円で追加購入。
このときの私は、
「さすがに安くなっただろう」と思っていた。
そして、スクウェアには
- FFシリーズの新作が定期的に出る
- 他にもヒット作がある
という“期待感”があった。
つまり、
「安くなったところで買っておけば、いつか戻るかもしれない」
という気持ちが強かった。
これはアルゼのナンピンとは違い、
“掲示板の雰囲気”ではなく、
自分なりの期待と判断が背景にあった。
しかし、今振り返れば、
- 初回5400円 → 2720円(半値)
- 市場全体は弱い
- 下落理由を調べていない
- 個別株だけを見ている
これでは、良い判断とは言えない。
■ この経験が教えてくれたこと
スクウェアへの投資を通じて感じたのは、
個別株だけを見て判断することの難しさだった。
当時の私は、新聞やニュースを通じて、
ハイテク株が急落していることも知っていたし、
アメリカ市場の調整の話も耳にしていた。
ただ、それらの情報が
自分の投資判断にどう関係するのか
までは理解できていなかった。
- 日本市場だけでなく、アメリカ市場の動きも意識すべきだった
- 個別企業の株価だけでなく、日本市場全体の流れも見るべきだった
- 背景となる政治や経済の状況も踏まえて、購入タイミングを考えるべきだった
今振り返れば、そう思う。
しかし当時の私は、
そうした“全体を見る視点”がまだ身についていなかった。
その結果、
- 下落理由を深掘りしない
- 「安くなったから買う」という感覚的な判断になる
- ナンピンも“期待”が先行してしまう
こうした行動につながっていた。
スクウェアへの投資は、
個別株の動きだけを追っていても、良い判断にはつながらない
ということを、後になって実感させてくれた。
■ 2つ目の失敗がくれた小さなヒント
アルゼとスクウェア。
どちらも同じ時期に起きた、別々の失敗だった。
アルゼでは“感情”に振り回され、
スクウェアでは“自分なりに考えたつもり”が、実際には浅い判断だった。
この2つの経験を通じて感じたのは、
世間の人気や、目の前のニュースだけで株を買っても、うまくはいかない
ということだった。
「商品が売れている」
「新作が出る」
「話題になっている」
そうした材料は確かに株価を動かすけれど、
それだけで長期的に利益を上げられるわけではない。
企業をもっと長い目で見る必要があるし、
日本市場だけでなくアメリカ市場の動き、
そして政治や経済の背景も、少しずつ意識していくべきだった。
当時の私は、そこまで成熟していなかった。
個別株の動きだけを追いかけて、
「安くなったから買う」という判断に寄ってしまっていた。
スクウェアへの投資は、
株式投資は“材料”だけでなく、長期的な“視野”も必要だ
ということを、後になって気づかせてくれた。