当ブログの見出しがいつも9文字になっていること、お気づきでしょうか。
僕はモノや姿勢にこだわりというものがほとんどないのですけど、”なくて七癖”のひとつが9文字見出しです。
どんな話も9文字で表すのです。
これは、新聞社時代に身にしみついた本能のようなものです。
新聞記事には必ず見出しがつきます。
主見出しは8文字か9文字が基本なんです。
🐾 何ぶつぶつ言ってるのかにゃ。
「こらっ!カラ坊、どけっ!」
きょう付の読売新聞を例にすると…
「内閣支持急落24%」
「ガザ北部攻撃再強化」
「天然ガス戦火で急騰」
新聞見出しは8文字か9文字が今も主流です。
昔の新聞は鉛活字を組んでつくっていました。
僕は若いころ関東の地方紙で紙面編成を担当していました。
デスクから回ってくる記事を読んで見出しをつけ、扱い(大小)を判断し、紙面に割り付ける仕事です。
鉛活字は組める本数が決まっていて、2段の主見出しは3倍活字で8本、3段は4倍活字で8~9本、4段は6倍活字で8~9本といった具合です※。
その大きさが一番見やすいのです。
だから、倍数尺を手にした編成記者(当時は整理記者と呼んでいました)は原稿とにらめっこしながら指を折って8文字、9文字の見出しをひねり出すというわけです。
記事はどんどん入ってくるし、割付は何度も作り直すし、時間はないし…、そこに事件事故が発生したりして「差し替えだ」「それ二社(第二社会面)に回して、こっちはボツ!」…
締め切り時間が迫った編集局内は嵐のような騒ぎです。
僕の考えでは、新聞見出しは「記事内容を正確・簡潔に表現したもの」です。
そして、不思議なもので日本語は8~9文字で何でも表現できてしまうのです(記事によっては生みの苦しみですが)。
音で言えば俳句17音、短歌31音という世界でもまれな短い表現芸術がありますね。
新聞見出しは芸術ではありませんけど、表現活動のひとつではあります。
見出しの話は尽きなくなりますから、最後にもっと短い表現手法を…
俳句の中でも自由律俳句は面白いですね。
尾崎放哉(おざき・ほうさい)の代表作のひとつ「咳をしても一人」は、たった7文字で境遇や悲哀や人生といったものを表現しています。
というわけで、当ブログの見出しはこれからも9文字で行きたいと思っています。 (11月20日)
◎倍数:新聞紙面制作で使う最小単位。昔の新聞は全15段あり、1段1行に鉛活字15本が入りました。その1本の大きさが1倍で、1倍活字は文章に使い、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍…8倍といった大きさの活字を見出しに使いました。1面トップの主見出しは8倍活字が基本でした。写真の大きさも30倍(2段)×40倍といったふうに割り付けます。今の新聞はほとんどが全12段になっていますが、単位としての「倍」を使っている新聞社はまだあると思います。