西和賀日記279回「牛肉とウド火の饗宴」 | 西和賀日記 山・雪・味・人 楽しき農山村 

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奥羽山脈「真昼山地」に魅せられて65歳で岩手県和賀郡西和賀町に移住したおじさんの暮らしぶり

タケちゃんと山菜採りに出かけました。

西の山ではゼンマイが終わりを告げておりました。

シドキを見に下前(したまえ)に行ってみました。

 

 

地図では県道12号となっている立派な舗装道路を通行止から歩きました。

その昔、花巻(現・なめとこライン)から沢内村を経由し峠を越えて秋田県に抜ける国道として整備されるはずだった山岳道路だそうです。

なぜか峠の手前で終わっていますが、僕の感想では西和賀町内で一番いい道路です。

 

 

1時間ほど歩いた先の道路終点からは山道の跡がありますが、歩く人がいるとは思われないような、森閑とした雰囲気です。

一番いい道路がほとんど誰にも利用されないままになっているのは、西和賀七不思議のひとつですね。

 

 

山道の入り口で見た密なブナの立ち姿。

これを見ただけでも僕は満足なのでありました。

 

 

通行止ゲートのわきにある正岡子規の句碑。

「蜩や夕日の里は見えながら」

明治26年夏、秋田から峠を越えた時の一句だそうです。

 

エゾハルゼミでしょうか、森の合唱に包まれながら、なんだか昼飲みしたい気分になりました。

 

 

清水湧く木立の中、タケちゃんがつくったデッキで火をおこしました。

ハルエさんが育てたブラウンスイス牛の800グラムほどもある肉を炭火に載せました。

 (ハルエさんの牧場は下前のそばの高原にあります)

 

 

焼けるごとに切って食べるのが肉の一番おいしい食べ方だというタケちゃんの自論に従いながら、指先で塩胡椒して希少種の肉の味わいをかみしめました。

 

 

庭に生えるウド(独活)も網に載せました。

 

 

焼いて塩してかじるのがウドのうまい食べ方だと知りました。

芯のあたりから甘味がにじみ出るんです。

 

 

鴨の手羽は、両手を膏(あぶら)まみれにしながらかぶりつきました。

鴨肉は最近めったにお目にかかれませんね。

 

 

たらふく飲んで食べたあとは炭火をたき火に替えて、肉とウドの饗宴の余韻を楽しみました。

「西和賀に住んで、よかったなぁ…」

移住してきた者同士、火を見る目にどこか通じるところがあるのでした。 (5月21日)