気仙沼日記973回「バス旅の閑話2題㊦」 | 西和賀日記 山・雪・味・人 楽しき農山村 

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奥羽山脈「真昼山地」に魅せられて65歳で岩手県和賀郡西和賀町に移住したおじさんの暮らしぶり

石巻駅前から乗った路線バスで、ちょっとしたハプニングがありました。





駅前ロータリーで待機する鮎川行。


8時37分に発車し、中心商店街から一度北上して旧北上川の石巻大橋を目指します。

大橋通りの赤信号で停車した時でした。

後続のドライバーが車から出て走ってきて、バスの運転席の窓をたたいたのです。


てっきり「あおり運転」の暴行事件発生か!と身構えました。


その40歳くらいの男はバスの運転手に「ラジエーターの水がずうっと漏れてるよ。やばいんじゃない?」と叫んだのです。





そこは、なんとミヤコーバス石巻営業所のすぐ近くでした。

バスはUターンして営業所の整備工場へ。


道路には確かにバスから漏れたと思われる水の跡が続いていました。

でも、ラジエーターに特に問題はないんじゃないかと整備の人は言いました。





それでも運転手は慎重な人らしく、バスを替えて出直しました。

客は30歳くらいの青年と僕の二人だけでした。


18分ほど遅れての走行。

途中のバス停で老夫婦が乗ってきました。

老夫婦はたぶん20分以上、待っていたのでしょう。

5分くらい乗って3つ先のバス停で降車していきました。

 (この次のバスは午後6時ごろ! 朝と夕方に1本しか走っていない)





1時間40分(バス交替時間を含む)も乗っていて、客はこの4人だけでした。

車窓の、牡鹿半島の景色がもったいないくらいでした。

僕といっしょに始発から終点まで乗った青年は、船で金華山に渡ると言っていました。

終点の鮎川港で降りた青年は全力で走って乗り場に向かいました。

心配になって見ていたら、無事に船に間に合ったようです。


異常を知らせてくれたドライバーといい、迷わず判断したバス運転手といい、長い時間バス停で待ったのに文句ひとつ言わなかった老夫婦といい、桟橋にダッシュしたかったのに僕を先に下車させてくれた青年といい、ああ何ていい一日だったんだろう…


これだからバスや列車の旅はやめられないんであります。 (7月8日)