ツバメはフィリピンやインドネシアといった南方から、あの小さい体で大海原かすめて渡ってくるのです。
九州あたりに上陸して、少しずつ北上し、ツバメそれぞれの決まった宿に身を投じるのです。
気仙沼にももちろんツバメたちは渡ってきます。
彼らが低い空を飛び交う姿は、夏の明るさに躍動的なアクセントをつけてくれています。
ところが…
今年、気仙沼市内の何か所かで、ツバメを拒否する光景が見られます。
去年まで巣があった公共施設です。
これも、去年まで巣があった、人の出入りが多い所です。
ツバメの巣があるので注意して、と去年は看板まで掲げていたのに…
ここもか…
と思いきや、この家の人が「カラスからツバメの巣を守るためにぶらさげてます」と言いました。
ヒナたちが鳴きかわす姿を見て安心しました。
家が汚れるとか、フン害とか、ヒナを狙ってヘビが来るからとか。
ツバメ拒否の人には、いろいろ理由はあるでしょう。
でも、遠路はるばる「我が家」を目指して渡来する小さな命をどんな理由があったとしても、僕なら拒否することはしません。
巣燕に外は鏡のごとき照り(山口誓子)
(7月11日)