復興屋台村気仙沼横丁の行きつけの店で、今年初めて「大島のとっつぁん」に会いました。
70歳くらいの元漁師で、松茸採りの名人でもあります。
「いいとこ来たな。うめえもの持ってきたぞ」ということで、出てきたのが…
つぶ貝とのこと。3センチくらいの小さな巻貝です。
楊枝でほじくり出して食べます。
磯の珍味ですが、大島のとっつぁんが「うまいぞ」と自慢するほどのことはない貝ではあります。
日曜の常連Uさんが「つぶ貝の正式名称を言える人はいないでしょうね」と言いました。
家に帰ってから調べたら、「つぶ」というのは螺(にし)類の総称だそうで、東北で「つぶ」と言えば田螺のことのようです。
Uさん曰く、「岩からすぐにはずれるのはヤドカリが入っているんです。つぶは手で引っ張った時に手ごたえがあるはずれ方をします。海岸の岩や岸壁にいくらでもひっついていますよ」。
ママが刺身の小皿をそっと出してくれました。
ママは「お口直し」とは言いませんでした。
大島のとっつぁんは、これを横目に「んじゃまたね」と言って席を立ちました。
気仙沼大島行フェリーの出発時刻が迫ったからです。 (7月10日)