歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」夜の部に行って参りました | 妻を亡くした夫と母親を亡くした娘の生活

妻を亡くした夫と母親を亡くした娘の生活

2016年9月病院で愛妻が亡くなりました
夫は翌年大学生になった娘と愛犬2匹と暮らしていました
2022年11月二女が動物病院で亡くなりました
2024年1月に三女が後を追うように亡くなりました
大学生の娘と二人家族になりました

令和2年初の観劇は歌舞伎座でした。通常ならば昼の部からの観劇なのですが、昨日は仕事の都合で夜の部に行きました。

歌舞伎界の正月は11月の顔見世興行と言われていますが、1月も初春興行として目出度い演目が入ります。

夜の部の演目は「義経腰越状ー五斗三番叟」「連獅子」「鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)」です。順番に大酒を飲む、踊り狂う、恋のハッピーエンドと正月に相応しい演目です。

「五斗三番叟(ごとさんばそう)」の五斗兵衛は喜寿を過ぎて初役に挑戦する白鸚です。お酒の1斗は10升、18リットルの5倍を飲むので五斗兵衛と呼ばれる豪傑です。私が小学生の時に流行りのエレキバンドで颯爽とテレビに登場したのが、当時の市川染五郎、現白鸚です。当時から一貫してアイドル、大スターの白鸚のチャレンジ精神に敬服します。かつての名軍師が義経(芝翫)の家臣の勧めで義経に会いに来ますが、頼朝側に立つ家臣の謀略でしたたかに酒を飲まされ面会した義経の怒りを買います。それから追い払いに来た奴たちをあしらいながら三番叟を舞い、最後は奴たちを馬にして悠然と去って行きます。まあカッコいい豪傑の役です。

「連獅子」はお馴染みの演目でたびたび観ており、直近では昨年11月幸四郎・染五郎親子による上演を見たばかりですが、澤瀉屋の「連獅子」を舞台で観るのは初めてです。なるほど澤瀉十種の内「連獅子」は動きが激しくまるで格闘技を見るようです。仔獅子初役の團子は父親中車の従弟である猿之助との初共演です。猿之助は伯父猿翁と幾度も仔獅子で共演して来ましたが、親獅子は初役です。その猿之助が「仔獅子は大変で、親獅子とは体力的に雲泥の差です」と語る通り、團子の演技に成否がかかる演目です。團子の踊りは素晴らしく、美しかった。間違いなく次代を背負う大スターになると思いました。

「鰯賣恋曳網」は三島由紀夫による人気作で、勘九郎の祖父17世勘三郎と6世歌右衛門、父勘三郎と玉三郎による共演で幾度も上演されて来ました。主演猿源氏を演ずる勘九郎の相手役蛍火は弟の七之助が演じます。大河ドラマの主演で1年以上歌舞伎座にご無沙汰の勘九郎が戻って来ました。こういう明るい役を演ずると父勘三郎にそっくりですね。歌舞伎の醍醐味の一つだと思います。しがない鰯賣が恋煩いした高位の傾城蛍火に会うために、父親(東蔵)の思いつきで都では顔を知られていない田舎大名を騙って面会するところから、思わぬ展開で結ばれると言う超ハッピーエンドの物語です。七之助演ずる傾城蛍火は見事で、もうこの人が玉三郎の跡目一番手と言って過言ではないと思いました。勘九郎の息子勘太郎と長三郎兄弟が交代で禿 蜻蛉を勤め、父親に舞台で頭を張られると言う演出も微笑ましく、脇を澤瀉屋、中村屋のファミリーで固め、鉄板の舞台に仕上がりました。