読書日乗

読書日乗

低い城の羊男

 

「あのころangle 街と地図の大特集1979 Kindle版」
ふとしたことからこの雑誌を思い出したのは、永島慎二の「黄色い涙」を
読んだから。
中央線の下町を舞台にした漫画家や画家がアパートのひと部屋に集まって
貧乏暮らしを描いた漫画。
そこに描かれる喫茶店がなんとなく懐かしく思っていたら、 「アングル」
という街歩きの雑誌に
紹介されていた喫茶店で古本をめくっていた頃があったから。
80年代の東京にはまだそんな空気、雰囲気が残っていた。
主に御茶ノ水を歩いていたのは、古書店が多かったから。
地方では売っていない本を買い込んでは前日にアングルを読んで目星をつけた
喫茶店で戦利品を眺めていた。
東京で知らない店に入るのは敷居が高かったからね。
だから、このお店の名前まで手書きで書き込まれた地図はいまでも印象に
残っている。
目当てのお店をみつけたときは、探しものが見つかったみたいな、
うきうきさがあった。
今の東京は、歩いていて疲れる。
どこも同じような光景にみえる。
それは地方都市ではもっと同化していることだが。

 

「黄色い涙」永島慎二を読む。
それでもって、「黄色い涙」はこういう時代もあったなあ、という感想。
手塚治虫や藤子不二雄らの「トキワ荘」みたいな展開はないけれど、
ふつうのひとがだらだらと、またあるときは熱く出来事に対して関わり合っていく
光景は、いまにない時代の空気がよみがえってくる。
まあしかし、こういう共同生活というのは、若いからできるんだよね。

「風をあつめて」
最近、大滝詠一を回顧するテレビ番組やら、ラジオでよく、はっぴいえんど
が流れていることが多い気がする。
いや、ただ自分がそういう番組を見たり、聞いたりしているだけなんだが。
「風をあつめて」は、アングルや永島慎二と同じ空気かな。
石油危機があった80年代初期の経済不況といまのホルムズ海峡危機と
停滞している雰囲気が似ているのかも。