芝桜も満開に。

 

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 「銀行が皆さんの会社の決算書をどう考えているか」を考えたことがあるでしょうか。今日はその辺のお話を。

 

 私がご相談を受ける企業さんが粉飾決算をしていること、多々あります。その中で条件変更など金融機関の支援を要請する場合には、「本来の決算数値はこうでした、これをもとに再生可能性はこうなります」という実態を提示しなければなりません。

 

 粉飾決算をしている企業はたいてい、自分たちがどのような操作を加えてこの決算書を作ったか、をきちんと把握しています。つまり、

 

 「粉飾がない、実態決算は?」とお聞きすると、

 

 「はい、コレです」とすぐ出てくるのです。

 

 前振りが長くなりましたが、会計がぐだぐだの会社も存在します。「どのような粉飾を加えているか自分でもわからない」。またはその手前で「会計におカネの流れがきちんと写し取られていない。何が実態かわからない」というような会社さんです。

 

 金融機関からは、

 

 「まずは税理士の入替」「入れ替えたらどれくらいで真正な決算がでますか?」という質問、というか追及が来ます。

 

 会計の立て直しはそんなに簡単なものではありません。

 

 税理士を入れ替えたり、クラウド会計を導入したりして(「(2)クラウド会計で業績をつかめ」2017.5.23)、会計がきちんとしてからそれが経営判断に影響を与えるまでは以下のような筋道を通ります。

1.部門別損益や変動利益計算書をきちんと設計し、それに沿って経理開始する。

2.次に決算を迎えた時には、きちんとしてない時期ときちんとした時期が混在するので決算としては経営判断の決め手に欠く。会社全体の数値はわかりますが。会計を変えた最初の決算では前の会計の残りかすのようなもの=売掛金や買掛金の「その他」やどれに該当するのか解らない減価償却資産の解明とそれらの関連の前期損益修正で手一杯となります。

3.部門別損益管理が13か月目に達して初めて、「部門別に前年比」が出てくるようになる。

4.期首から「変更後の会計」で経理した初めての決算を迎える。ここから会計数値がいろいろ威力を発揮し始める。

5.変更後18から25か月目になって12か月移動合計推移がサマになってくる。会計をもとにした管理ができるようになる。

 

6.期首から「変更後の会計」で経理した二回目の決算を迎えるとようやく同じ基準で経理した決算書の前期比が出るようになります。

 つまりぐだぐだの会計がキチンとするまでには最低決算3回、月数にして30-36か月程度を必要とします。

 これを短縮しようとすれば、上記にも出てきますが、「12か月移動合計」でいろいろな数値をまとめてみるとトレンドがわかります。(「(4)12か月移動合計が威力を発揮する」2016.10.14、「(5)12か月移動合計の応用編・トレンドをつかめ」2016.10.4)

 

 確定決算を待たず、トレンドの把握、どこで反転が起きたかの確定が可能になるのです。

 

 金融機関からは、「しっかりした税理士を入れたのに解らないんですか?」とよく質問を受けますがそんなに簡単なものではありません。

 

 上記のとおり、会計が立ち直るためにはやや3年を要します。もし、それを「すぐに」ということなら、過去3期分の経理を新しい基準でやりなおせ、というのと同義ですから相応のコストも発生しますし、相当な人数を投下しないとできない、ということになります。

 余談ですが金融機関の方がもう一つよく誤解されているのが、「修正申告」です。

 「粉飾があるなら正しい決算を出しなおしてください」

 「おそらく正しい決算書がでてくることを念頭においていると思いますが、修正申告しても決算書そのものの差替えはありません。それでもよろしいですか?」

 修正申告は別表調整といって税務上の修正のみで行いますので決算書そのものを作り変えるわけではないのです。
 

 今日の記事の元になったものは2012年に書き込みました。それから6年。会計はクラウド会計の登場でまったく様変わりしています。早く、安く、正確にできるようになっているのです。

 

 

 

 

 

 

「がんばれ経営者!ひとりでもできる事業再生ノウハウ」

「できる、できるよ。必ずできる」

 

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