穏やかなクリスマス。しかしこのあと荒れてくる、と。雨もようの空、虹がかかっていました。

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 事業再生のパラドクス、ここではそのうち「破産」にまつわるものをご説明します。

 再生の基本は「破産」です。

 

 皆さん、「??」となったと思います。破産しちゃったら再生じゃないじゃん…

 

 何をお伝えしたかったかというと、事業再生とは、常に「破産手続きと比較してどうか」という目線でアイディアを練っていくからです。

 

 例えば、債務者がしょった借金を棒引きする、というスキームを組んだとします。そのスキームが実現すれば、借り手企業にとっては願ってもない状況が出現します。支払利息負担もなくなるのですからとんとん拍子に復活の道を進むことができるでしょう。

 

 でもそんなにうまい話はありません。

 

 同じスキームを債権者側が見れば、「そりゃ、借り手さんには良いでしょうがわれわれの債権はどうなるんですか?」という反論がされるでしょう。債権者集会でこんなスキームを不用意に提案したら債権者を刺激してしまい、紛糾必至です。

 

 …しかし、可能性があるとすれば、「もし、このスキームが実行されなければ破産は不可避です。破産の場合の配当は〇%しかありません。異論はあると思いますが、このスキームを実行すれば破産した場合の配当率より□%弁済が増えます」というように破産と比較してどうか、という数値を示さなければなりません。

 

 もしそうでなければ、「破産を選択した場合より債権者の取り分が少なくなるのならそもそも議論する価値がない。そのまま破産してください」ということにしかなりません。

 
 したがってもし、破産したら、というケースを想定し、

 

 「破産手続きの進み方=時間的にどれくらいかかるか」

 

 「配当率の計算=債権者の取り分の予想、優先債権、別除権の取り扱いも十分計算に入れないといけません」

 

 「配当が確定したときの債権者側の経理処理や計上時期、税に与える影響」

 

 などを熟知しておかなければなりません。

 これが、事業再生の基本は破産、という意味です。

 売掛金に設定する譲渡担保など取り扱いが微妙なものもあり再生に関係する他の分野と同様、どんどん変わっている部分です。破産だから、といって一度覚えておしまい、ということではありません。

 

 ちなみに民事再生法や特別清算など他の法的整理を選択するときも同様の考え方をしていきます。

 

 「がんばれ経営者!ひとりでもできる事業再生ノウハウ」

 「できる、できるよ。必ずできる」

 

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