現在絶賛ドラマ放送中の今作。私はドラマは未見ですが放送開始当初に実際校閲をお仕事になさっている方から

 

「校閲の現場はあんな風ではない」

 

という意見が寄せられたっていうのをネットの記事で読んだなぁと思います。
個人的には「お話の中だし・・・」と思いますが、実際に見ていないのでなんとも言えず…というところと、校閲者だからこそ言いたくなってしまうのかなぁと思いました。

 

私の「校閲」という仕事に対してのイメージは

 

「間違いを見つけて、指摘する」

 

です。これも当たらずとも遠からずだとは思うのですが、本書の中で

 

対象を正しい形へ整えてゆく作業

 

と紹介されていて、「なるほど!」と思いました。

日本語のてにをはの間違いから、時代考証、時刻表が正しいかどうかまで校閲の方が確認することは多岐にわたります。
しかも対象にのめり込んではいけない。小説を「読んで」はいけない。
なぜならただの読者になってしまうと間違いが発見できなくなってしまうから。

 

この仕事、自分絶対無理っす

 

と思いましたよ、ええ。

そして、実際に校閲をなさっている方への尊敬の念が半端無い。
登場してきた歴史、人物について調べて、時には

 

秋葉原一族は歴史上に存在しないがOK?

 

というような指摘をし、作品に出てくる事象について調べつくさなくてはいけない。
知的好奇心が旺盛な人じゃないとできない仕事だなぁ・・と思いました。
・・・ですが、こう言っては何ですが、「校閲」という作業はどちらかといえば裏方の作業に当たると思います。
最初から「校閲者になりたい!」と思ってなった方もいらっしゃると思いますが、このお話の語り手である悦子は校閲の仕事にこれっぽっちも興味が無い。
自分の夢だったファッション誌の部署に移動願いが早く聞き入れられるために目の前の仕事をしているのです。

 

この悦子のキャラクターが本書の魅力の一つかなと思います。
「ゆとり世代」と呼ばれる彼女は「筋金入りのゆとりだな」と言ってきた先輩の男性編集者にこう返します。

 

「私たちゆとりは国政の被害者なんですけど?あんただって二年遅く生まれてたらゆとりだったんだよ、たかが二年で偉そうにすんな」

 

この後ももう少しやりとりが続くんですが、

 

・言いたいことははっきり言う
・おしゃれには手を抜かない
・自分のやりたいことがぶれない

 

彼女の生き方をなんだかんだで羨ましく、憧れる人は多いんじゃないかと思います。
中々彼女のように生きられないから余計に。

 

そして巻末解説で角田光代さんも書いてらっしゃいますが「お話の幅の広さ」も魅力かなと思います。
ミステリー要素あり、恋愛要素あり、お仕事小説の要素あり、友情小説の要素あり、色々な角度から読める小説なのでその分多くの人に響きやすいんじゃないでしょうか。

悦子は自分の好きなことに対して「類まれなる記憶力」という「一芸」を持ってますが、それもフアッション誌を愛すればこそ。
悦子にはなれないし、そこまで秀でてることも無いけど、読んだあと
「まぁ、明日も頑張るか」
という気持ちになりました(「やるぞー!!!」っていう感じじゃないのもポイント)