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十一月に紹介する為に読んだと言っても過言ではない、この本。

これがですね~、名作だったんですよ。
記事を書きたい、書きたいと思っててもはや師走も終わりに近づいておりますが・・・。

この本は「青い鳥文庫」から発刊されております。
そうです、児童書なのです。児童書ってはっとする名作がポコポコ落ちてたりするんですが、この本もその「名作」の一つに加えていいと思います。

弟に借りた双眼鏡で家の窓から景色を眺めてみたら、ある建物に釘付けになってしまった主人公の爽子。
赤茶色の屋根に白い壁。・・・あんな家、建ってたっけ?と思った爽子はその家まで探検に出かけます。
・・・実はその家は爽子にしか見えなかった・・・とかだったら違うシリーズになっちゃいそうですが、ちゃんと家は現実に存在していました。

その家はどうやら「十一月荘」という下宿屋さんのようです。
近くで見ても素敵な建物が気になる爽子でしたが、下宿をする理由もなく・・・と思っていたところで、父親の転勤が決まります。

十一月という中途半端な時期だったので、爽子は二学期の終わりまでは友達とも離れたくないし、十一月荘に下宿したいと主張し、下宿することになります。
・・・とはいえ、そこは中学二年生。親と離れて暮らすなんて初めての経験。
不安もあった爽子でしたが、下宿のほかの住人に暖かく迎え入れられ思い出深い二月(ふたつき)を過ごすのでした・・。

的なお話です。
十一月荘のことを「下宿」と書いてますが、シェアハウスのほうがイメージとして近いかな~??
下宿って書くとどうしても、貧乏学生が住んでて、個性的な住人が住んでるみたいなイメージありません?
めぞん一刻の一刻館とか、風が強く吹いているのあの建物とか・・(名前忘れた・・)

この十一月荘に住んでる面々はアラサーのキャリアウーマンの女性と、その女性の同級生で、現在は女手一つで小学生の娘さんを育ててる女性と、管理人兼大家さんのおばあちゃまです。
女所帯なので、若草物語のイメージのほうが近いかもしれないですね。

私、個人的に「良い児童書」って色んな価値観があるって教えてくれて、大人が素敵な本だと思ってます。

この本に登場する大人の人たちは、それぞれ「自分の価値観」を持ってる人なんです、そこが凄く「いいなぁ」と思いました。
大人であること胡坐をかいてないというか・・・。

ちょっと前に読んだ本なのでパッと具体例が書けないですが、例えば子供が何か悪いことをしたとき、ただ悪い!って怒るんじゃなくて、それがなぜ悪いのか、相手から見たらその悪いことはどう見えるのか、それをしてしまった自分をどう思うか。をちゃんと子供に考えさせる叱り方ができる大人が登場するのが、なんかいいなぁ~と思います。

多分、、いい意味で、まだ自分は子供だって思う部分があって、無理やり「いい大人」の仮面をつけないからそういう叱り方ができるんじゃないかな。
・・・・ん?話が逸れてる。

惜しむらくは・・・私がこの本に出会うのが遅すぎた・・・。
爽子ちゃん視点より、一緒に住んでる大人視点で読んでるって気づいたときに
「あぁ・・大人になってしまった・・」
と思いました。

そして、このお話にはあと2つ、大きな魅力があります。
一つは爽子ちゃんが紡ぐ物語。爽子ちゃんは自分が十一月荘に来たときに、ここで何か新しいことを始めたいと思い、新しく買ったノートにお話を創っていくのです。
このお話がまた面白い。爽子ちゃんの現実のお話とこの創作話がサンドイッチで読める全体の構造になっているので、一冊で二つの物語が楽しめます。

そして、二つ目の魅力はコースケ君の存在。十一月荘に勉強を教わりに来ている(大家さんは元、学校の先生なのです)他校の男子中学生で、最初は無愛想だけど、爽子ちゃんとも段々打ち解けてきて・・という展開はジブリの「耳をすませば」を連想する方も多いはず!
「耳をすませば」が好きな方だったら、このお話、この魅力2の部分だけでも楽しめると思います。

そして、なぜこの本のタイトルが『十一月の扉』というのか。
大家さんが話してくれてます

「『十一月には扉を開け』ってことよ。どっちがいいか迷うことがあっても、それが十一月なら前に進むの。十一月に起こることはとにかく前向きに受け入れようって」

と。そして、その後に、それが本当に気が進まないことだったら十一月だろうとやらないし、何かを始めるための口実なのかもしれないわね。的なことも言ってます。

ちなみに、それが一月や四月じゃないのは、こういう新しい月にはじめたことが段々ダレるのが十一月だからなんだとか。

そのちょっと緩めの考え方もなんだかいいな~って思いました。

色んな考え方や価値観に触れてちょっと大人になった爽子。この十一月荘での出来事は彼女にとって人生で凄く意味のある出来事だったんだろうな~。

この本に12歳くらいの時に出会いたかった

・・・あ、ちなみに、この本、書店でも中々見つけられなかったので(5軒回った・・)図書館利用とかをお勧めします。