損益分岐点の分析方法 | キャリアアップ管理会計ラボ|びーすけ

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こんにちは、キャリアアップ管理会計ラボへようこそ!

所長のびーすけです。

 

今回は、管理会計の重要な概念である「損益分岐点の分析方法」について、具体的な数字の例を交えて説明していきます。


損益分岐点とは?
 

まず、損益分岐点(Break-Even Point、BEP)とは、企業の収益と費用が一致し、利益がゼロになる売上高または販売量のことを指します。

つまり、損益分岐点を超えると利益が出始め、損益分岐点に満たないと損失が出ることになります。


損益分岐点の計算に必要な要素
 

損益分岐点を計算するためには、以下の3つの要素が必要です。

  • 固定費(Fixed Costs):生産量や売上高に関わらず一定の費用。例:家賃、給与、減価償却費など。
  • 変動費(Variable Costs):生産量や売上高に比例して変動する費用。例:原材料費、直接労務費など。
  • 販売価格(Selling Price):製品やサービスの単価。

 

損益分岐点の計算式
 

損益分岐点は、以下の計算式で求められます。

損益分岐点=固定費÷(販売価格−変動費)

販売価格から変動費を引いたものを「貢献利益(Contribution Margin)」もしくは「限界利益(Marginal Profit)」と呼びます。


具体的な数字の例


ここでは、具体的な数字を使って損益分岐点の計算方法を説明します。

<シナリオ>


あなたが経営するカフェでは、新しいメニュー「スペシャルサンドイッチ」を導入することにしました。

このメニューの損益分岐点を計算してみましょう。

  • 固定費:月々の家賃10万円、従業員の給与20万円、光熱費5万円
  • 合計固定費:35万円
  • 変動費:1つのサンドイッチあたりの材料費200円、包装費50円
  • 合計変動費:250円
  • 販売価格:1つのサンドイッチを500円で販売

 

<損益分岐点の計算>
 

①貢献利益の計算:

貢献利益=販売価格−変動費
    =500円−250円=250

②損益分岐点の計算:
損益分岐点(個数)=固定費÷貢献利益
         =35万円÷250円=1400個

つまり、あなたのカフェでは月に1400個のスペシャルサンドイッチを販売すれば、固定費をカバーでき、利益がゼロになります。

これを超える販売数であれば利益が出始めます。


損益分岐点の活用方法
 

損益分岐点の分析は、ビジネスの経営判断において非常に役立ちます。以下はその活用例です。

1. 価格設定の検討


損益分岐点を基に販売価格を検討することで、適切な価格設定ができます。

例えば、同じサンドイッチを600円で販売する場合の損益分岐点を計算してみましょう。

  • 貢献利益=600円−250円=350円
  • 損益分岐点(個数)=35万円÷350円=1000個


価格を600円に上げることで、損益分岐点が1000個に下がります。

つまり、利益が出るまでの販売数が減り、早い段階で利益を出すことが可能になります。


2. コスト削減の評価


固定費や変動費の削減が損益分岐点にどのような影響を与えるかを評価できます。

例えば、変動費を200円に減らすことができた場合、どうなるかを計算します。

  • 貢献利益=500円−200円=300円

 

  • 損益分岐点(個数)=35万円÷300円=1167個

変動費を削減することで、損益分岐点が1167個に下がり、より少ない販売数で利益を出すことができるようになります。


3. 売上目標の設定


ビジネスの売上目標を設定する際に、損益分岐点を基に現実的な目標を立てることができます。

損益分岐点の販売数が1400個であれば、まずは1400個のサンドイッチを販売するのが目標ですが、さらに利益を出したい分の目標値を上乗せすることが出来ます。


まとめ


損益分岐点の分析は、企業の経営判断や戦略立案において非常に有用なツールです。

今回の具体的な例を参考に、損益分岐点の計算方法とその活用方法を理解していただけたと思います。

このスキルを身につけることで、ビジネスの収益性を高め、より戦略的な意思決定ができるようになります。

今後の学習や実践にぜひ役立ててください。


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