「国家資本主義」というとあまり新しい考え方とは言えないかもしれませんが、現在において流行っているかもしれないので取り上げてみることにします。

 まずどのようなものかについてアントニオ・ネグリ著「ネグリ、日本と向き合う」において「・・・国家資本主義という概念自体は、決して新しいものではありません。かつてのソ連や東欧諸国は一種の国家資本主義体制と理解できるでしょう。けれども、グローバル化の時代において国家資本主義は、また新たな現代的な意味を与えられています。それは多国籍企業を中心とする資本主義やグローバルな軍事体制と協働しつつ、国民を「帝国」の発展に最大限貢献させるよう統合しようというものです

(中国は皮肉なことにその意味で現在最も成功している国家資本主義です)。」となっています。このことからいろいろな国において現在このような考え方が幅を利かせているように思われます。企業の活動が国際化している現状を考えると国の国際的な地位を高めて国として国内的にも安定的な状況などを生み出すことを考えると当然のことかと思われます。もしかしたらすべてがそうとは言いませんが岸田総理が言っていた「新しい資本主義」というのもこういう意味なのかもしれません。米国においても中国に対する対応もそのような視点で見ると分かりやすくなるかと思います。経済的な理解を深める上でも重要な見方になるかもしれません。

 何となく中国等と同じような意味に捉えた方がおられたとしたら失礼いたしました。「新しい資本主義」などではフェアなものについて考えているものです。そしてあくまでも可能性です。そうでないと米国についても意味がずれてしまうように思われます。国際的な活動を考えると相手のことを意識して行うことが重要になるはずです。言葉足らずでした。

 一応、国家資本主義の定義を考えてみると「国家が産業に積極的に介入する経済体制」のことを指すようです。このことを考えると普通の資本主義を考えると異常な状態のような感じがします。これから金利のある経済において自然に経済活動が盛んになればこのようなことは必要ないと思われます。今スタートにおいては現在の日本においても必要かもしれません。そのような視点でとらえるとわかりやすいかもしれません。実際政府としても一時的と思いますが、今まさに行っているようにも見える感じです。

 更に数年間でデフレ状態を脱出するならば従来通りの「修正資本主義」という考え方で十分かと思いますが、30年に及ぶデフレ状態を脱出となるとある意味デフレ状態と経済の正常状態が存在する経済体系を考えるモデルになるかと思われます。今まさに日本がデフレ脱却すれば経済学において理論的にどうすればデフレ脱却すればいいかの参考になるかもしれません。今後の経済学において重要なデータが得られるかもしれません。日本だけでなく世界にとって価値のあることと言えるかもしれません。ある意味アベノミクスから始まった政策がどういう意味を持つのか興味があるところです。専門家がどういう結論を出すか注目に値すると思われます。