今までも何回かこのようなことについて述べたことがあるかもしれませんが、もう少し何が必要かについて書くことにしました。

この本は読んだことがある人はいるかもしれませんが、スティグリッツ教授著の「これから始まる「新しい世界経済」の教科書」において次のような表現があります。あくまでも米国社会の状態を表現したものですが日本においても程度の差はあれ似たような状況があるのでその感覚で見てください。

 ・最上層1パーセントの人々の収入が急増し、残りの人々の賃金が伸び悩んでいるのは、別々の現象ではなく、むしろ勤勉さや

投資よりも金融システムでのゲームに見返りがある、健全ではない経済のふたつの症状である。

 ・アメリカが他の先進国のどこよりも不平等を拡大するにつれ、機会までもが失われてきた。アメリカンドリームはしだいに神話の域に入ってしまったが、それも驚くにあたらない。所得の不平等と富の格差が高水準にある経済は、機会均等が低水準になり

がちだからだ。

 ・この機能不全の根源は、長期的なイノベーションや成長を犠牲にして、企業の力や短期的利益を優先してきた経済ルールと力学の深部にある。

 ・それらのルールと力学によって生み出された成果は、経済を強くしてはくれない。実のところ、多くは経済を弱くする。

 ・不平等による最悪の結果だけを扱うミニマリストの方策では、ルールを書き換えられず、賃金低迷と成長鈍化の原因である力学を再構築することはできない。

 ・経済を形づくるルールを書き換えて、より多くの人々のために見通しを好転させると同時に、経済実績を向上させることは可能である。

 ・過去三分の一世紀にわたる不平等拡大の影響を一夜にして消し去れはしないし、魔法の解決策も存在しない。しかし、もとめつつもしだいに得がたくなっている中流層の生活を、一般の人々がふたたび手に入れられるようにするための政策はある。

となっています。

 ある意味日本でも体験しているようなことが出ているようです。この本で要約すると今後どうすべきかについてですが、

 ・最上層をいかに制御するか

 ・中間層を成長させる

の二点を挙げています。実際日本においてもいろいろやっているかと思いますが、国民サイドとしてもどうあるべきか考えていくべきかと思います。米国でこの本では中間層の形成については社会的に低い立場の層が中間層に上がれるような策を提言しています。日本の場合最上層と言っても米国のと比べればかなり高くないようなのでどうすべきか考え物かもしれません。もちろん、これから目標とすべきSDGsをどうやって経済的成長にもっていくかも重要かと思います。20世紀後半のような戦後の状態と違って現在は遠くでは戦闘が行われていても身近なものでなく強いて言えばインフレが起きたことが共通点というぐらいです。当時との比較をしながら方法を探るのもいいかもしれません。確か当時朝鮮戦争が成長のきっかけということを聴いたことがあります。今回も遠方ではありますが可能性を探る価値はあるかもしれません。