私の場合、理系で物理専攻だったのでこれらの反応の違いを一応、理解しているので原子核の現象について余り理解されていない方々に向けて書いた方がいいと思い書きました。ご存知の方は別に読まなくても大丈夫かと思います。一般的に化学反応の方が理解されている人々の方が多いと思いますが、原子核の自然崩壊とどのように違うか説明します。化学反応の場合、原子核の状態には変化は起こりません。つまり、原子から形成されている分子間における反応によって物質の状態に変化が生ずるものです。よって一般の人々が気にする物質のもとである原子には変化は起こりませんから物質はほぼ永久に残ります。しかし、このところ問題になっている原子核の自然崩壊は、原子核の内部を形成している陽子、電子、中性子には変化は生じないのですが、それらを形成している原子核のあり方、陽子、電子、中性子の組み合わせが変わる形で原子核自体が変化するものです。例えば、今回問題になっているトリチウムに関していうとベータ崩壊と言って、電子が原子核から出ていく現象ですがこれによってヘリウムの同位体に変わる現象が起こります。つまり、トリチウムの例で言うと別の原子核になってしまうのでトリチウムは時間とともに無くなってしまうようになっています。もちろん、半減期という形で減少していくので半減期が長ければそれだけ時間がかかるのは確かです。この場合半減期は12年余りです。それと別の原子核になるといってもそれも安定的な原子核でなければまた自然崩壊を起こすことになります。ヘリウムの同位体については安定的でこれ以上崩壊は起こりません。そのあたりの違いを理解する事が重要かと思います。厳密に言うと、原子核の状態として表現するとき元素の周期律表に従って表現することから構成要素は陽子と中性子で表現しますが、現実の状態は不安定な中性子があり、陽子と電子で表現した方が現象を理解するには分かりやすい場合があることから、上記のような形で表現しました。もし疑問に思った方がおられたとしたら失礼いたしました。とは言え、現象を理解する際にはこの方が分かりやすかったはずです。