新約聖書 使徒言行録 24章10~11節
「こうして、論争が激しくなったので、千人隊長は、パウロが彼らに引き裂かれてしまうのではないかと心配し、兵士たちに、下りていって人々の中からパウロを力ずくで助け出し、兵営に連れて行くように命じた。その夜、主はパウロのそばに立って言われた。『勇気を出せ。エルサレムでわたしのことを力強く証ししたように、ローマでも証しをしなければならない。』 」

ユダヤ人たちは、神様が特別な方『メシア』を送ってくださると信じてきました。

『メシア』はヘブライ語で、「特別な職務につかせるために“油注がれた者”という意味。ギリシア語だと『キリスト』。
『キリスト』は、あらゆる束縛や悪から民を救い出してくださる方。

無限無条件の愛で出会う人を受け入れ、癒し、励まし、神様の宝物として再出発させてくれていたイエスを、人々は『キリスト』だと考えるようになりました。

一方、保守的で律法(決まり事、ルール)重視のユダヤ人たちはイエスとその弟子たちを認めることが出来ませんでした。
自分たちの作り上げてきた律法中心の社会が壊されると考えました。

パウロは、そう考えている人たちの先頭を行くような人でした。
しかし、復活したイエス・キリストに出会い、「神様の無限無条件の愛によってのみ、人は神様の宝物として生きられる」と分かりました。
そして、イエス・キリストのメッセージを伝え歩く伝道者に変えられていきました。
西アジアからヨーロッパにまで旅をしてメッセージを伝え歩きました。

パウロの言動は保守的なユダヤ人たちから反感を買い、エルサレムに戻った時にパウロは捕らえられてしまいます。
怒号うず巻く混乱した裁判を受けた夜、イエス・キリストがパウロの前に現れて彼に告げました。

「勇気を出せ。エルサレムでわたしのことを力強く証ししたように、ローマでも証しをしなければならない。」

自分の状況や将来に対して心が動揺していたパウロは、イエスの言葉に大きな慰めと力を得たことでしょう。
では、イエスからローマに行ってイエス・キリストのメッセージを伝えることになることを告げられたパウロはその後どうなったのか?

「夜が明けると、ユダヤ人たちは陰謀をたくらみ、パウロを殺すまでは飲み食いしないという誓いを立てた。このたくらみに加わった者は、四十人以上もいた。彼らは、祭司長たちや長老たちのところへ行って、こう言った。『わたしたちは、パウロを殺すまでは何も食べないと、固く誓いました。ですから今、パウロについてもっと詳しく調べるという口実を設けて、彼をあなたがたのところへ連れて来るように、最高法院と組んで千人隊長に願い出てください。わたしたちは、彼がここへ来る前に殺してしまう手はずを整えています。』」 (12~15節)

なんと、パウロがイエスから励ましを受けた翌朝、40人以上からなるパウロ暗殺隊が結成されていたのです。
彼らはパウロを殺すまでは飲み食いしないとまで誓い合っていました。

絶対絶命・・・
イエス・キリストの預言的メッセージはどうなるのでしょう?

「しかし、この陰謀をパウロの姉妹の子が聞き込み、兵営の中に入って来て、パウロに知らせた。それで、パウロは百人隊長の一人を呼んで言った。『この若者を千人隊長のところへ連れて行ってください。何か知らせることがあるそうです。』 そこで百人隊長は、若者を千人隊長のもとに連れて行き、こう言った。囚人パウロがわたしを呼んで、この若者をこちらに連れて来るようにと頼みました。何か話したいことがあるそうです。』 千人隊長は、若者の手を取って人のいない所へ行き、『知らせたいこととは何か』と尋ねた。若者は言った。『ユダヤ人たちは、パウロのことをもっと詳しく調べるという口実で、明日パウロを最高法院に連れて来るようにと、あなたに願い出ることに決めています。どうか、彼らの言いなりにならないでください。彼らのうち四十人以上が、パウロを殺すまでは飲み食いしないと誓い、陰謀をたくらんでいるのです。そして、今その手はずを整えて、御承諾を待っているのです。』 そこで千人隊長は、『このことをわたしに知らせたとは、だれにも言うな』と命じて、若者を帰した。千人隊長は百人隊長二人を呼び、『今夜九時カイサリアへ出発できるように、歩兵二百名、騎兵七十名、補助兵二百名を準備せよ』と言った。また、馬を用意し、パウロを乗せて、総督フェリクスのもとへ無事に護送するように命じた。」(16~25節)

なんと、パウロの知らないところで、パウロの甥っ子がパウロ暗殺計画を聞きこんでいたのです。
そして、彼はパウロに知らせ、パウロは彼がパウロ留置責任者の千人隊長に会うように手配し、千人隊長はパウロを地中海岸の町カイサリアに完全武装の護衛隊によって護送させるようにしたのです。

あなたも神様の宝物。
あなたが宝物として生きられるようにしていく『救済計画』は水面下で進められています。
あなたの知らないところで。

神様は真実な方。
真実で無限の愛に満ちた神様の救済計画の実行部隊長は復活して生きておられるイエス・キリスト。
天と地における一切の権威をゆだねられた方(マタイによる福音書28章18節)。

信頼して大丈夫!

「偶然」はありません。
「ラッキー!」もありません。
すべて、神様が導いて下さっています。

「偶然」「あたりまえ」「ラッキー!」と思えるようなことを丁寧に感謝していきましょう。

出来事が点から線としてつながり、確かに神様があなたに特別な救済計画を進めておられることに気づかされることでしょう。

しっかり神様に心を向けて宝物として生きていきましょう。