新約聖書 ルカによる福音書 8章37~39節
「ゲラサ地方の人々は皆、自分たちのところから出て行ってもらいたいと、イエスに願った。彼らはすっかり恐れに取りつかれていたのである。そこで、イエスは舟に乗って帰ろうとされた。悪霊どもを追い出してもらった人が、お供したいとしきりに願ったが、イエスはこう言ってお帰しになった。 『自分の家に帰りなさい。そして、神があなたになさったことをことごとく話して聞かせなさい。』 その人は立ち去り、イエスが自分にしてくださったことをことごとく町中に言い広めた」

ゲラサの人々はイエス・キリストに自分たちのところから出て行ってほしいと願いました。
その願いを聞いて、イエスは何も反論せずに舟に乗って帰ろうとします。

弟子のペテロたちは舟の準備を始めます。

「いやあすごかったなあ。悪霊たちが豚に入ったと思ったら、2000匹が一斉に崖から海にとびこんでいくだもんな…」

一方、悪霊を追い出してもらった男がイエスと話しています。
少し前まで素っ裸で奇声を上げて暴れまわっていた人物です。
今は服を着ておだやかに話しています。

「イエス様、どうか私を連れて行ってください。お願いします」

ゲラサという場所は彼が生まれ育った思い出のつまった場所。
一方で、悪霊につかれて裸で暴れまわった場所…
家族や自分自身がとてもつらい思いをした場所。

彼は、みじめでつらい思いをした場所に一人で残るのではなく、ボロボロの自分を愛し、大切にしてくれたイエスについて行きたいと思いました。

「どうか私を連れて行って下さい」

イエスは彼に言われました。

「自分の家に帰りなさい。そして、神があなたになさったことをことごとく話して聞かせなさい」

(その2に つづく)