(その1から つづき)

ムチで打たれた傷ははれ上がり、ところどころまだ血がにじんでいます。
傷は熱を持ち、痛みは半端ではありません。
足が固定されているので体の向きを変えることもできません。

疲れ果てて意識がなくなるようにならない限り、寝られるわけがありません。

真っ暗な中でパウロとシラスは歌い始めました。
神様をたたえる歌を歌って祈り始めたのです。
普通なら、うめいたり、叫んだり、怒鳴ったりするような場面です。

二人は神様に感謝の歌を歌い始めたのです。
他の囚人たちは言葉もありません。
ありえないことです。

どうして二人はそんなことができたのでしょう?

パウロはかつてイエス・キリストのメッセージに猛然と反発し、信じる者たちを捕まえて留置場に放り込んでいました。
イエス・キリストのメッセージが近づいて来た時拒絶する人たちの考えが理解できました。
今まで経験したことのない大きな大きな「神の愛」が近づいて来た時、受け入れきれずに反発し、極端な行動をとる人たちの心が理解できました。

自分もそうだった。
特にそうだった…

そんな自分にとことん付き合ってくれたイエス・キリスト。
暴れまわる自分を傷だらけになりながらもしっかりと抱きとめて愛を教えてくれたイエス・キリスト。

みんな知らないだけ。
本当の愛をしらないでジタバタし、自分やまわりの人を傷つけて生きているだけ。
みんな神様の宝物。
本当の愛に飢え渇いている人たち。

それが分かっているから、パウロとシラスは自分たちを傷つけた人たちのことを思う時、彼らが本当の愛に気づいてほしいとしか思わなかったのです。
そして、一人ひとりの人を宝物として愛する神様が、自分たちのつらい状況も用いてきっと彼らに愛を届けてくれると信じ、祈ったのです。
イエス・キリストを送って下さった神様がきっと魂を救ってくれると。

どんな状態にあっても、みんな神様の宝物。
神様はあらゆることを益とし、必ずすべての人に神の愛を届けられる。

今のあなたの状態も、神様がきっと愛を伝えるために用いてくれます。
あなたは神様の宝物です。
あなたと一緒に喜び、苦しみ、悲しんでいる神様は、あなたの痛みを無にされることはありません。
あなたは宝物です。