アメリカテキサス州の刑務所のある囚人の話です。
 29歳青年。シカゴ生まれで、母親は麻薬中毒の売春婦でした。父親は誰かわかりません。ひどい環境で育ち、中1で学校に行かなくなりました。
 神様を憎んでいました。世の中も憎んでいました。神様なんかいないと思っていました。
 17歳の時、かっこいいテニスシューズを手に入れるために14歳の子を殺しました。
 後につかまって終身刑を言い渡されて服役しました。
 捕まっても変わることはありません。

 彼にとって他人なんかどうでも良かった。
 怒りに満ちていました。
ある時、白髪の中年のおじさんが面会に来ました。
 彼には見覚えもなく、誰かわかりませんでした。
そのおじさんが自己紹介をしました。

 殺された男の子のお父さんでした・・・
 おじさんは言いました。
  「一つ知って欲しい。あの子は一人息子だったんだ。
   あなたがあの子を殺してしまったので、
   私たち夫婦は悲しみのどん底に突き落とされた。
   あれから喜びがなくなってしまった・・・」。
 さらにおじさんは言いました。
  「私たちは、この苦しみからの救いを求めて夫婦で一生懸命祈った。
   そして、あなたに許しを伝えるように言われているように感じた」。
 そして、一呼吸おいてこう続けました。
  「養子にしたい・・・  

   これからは、2週間ごとに来て会い、
   クリスマス、誕生日にはプレゼントを持ってくる」。
 最後に付け加えました。
  「私たちが死んだ時は、私たちのものは全部お前にやる・・・」

その時あれだけ無視していた聖書のメッセージが心に響いてきました。
神様の大きな愛がせまってきました。
人間に自分の愛する一人子を殺されたのに、赦し、帰ってきたら養子にすると言っておられる・・・

「私のものをお前にやる」と言って、希望をもって生きる愛の生き方へと導いて下さっている と。