大門句会勉強会その454 | sanshiroのブログ

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今回の兼題はあかねさん出題の「新茶」です。

◇野里子
ほの温き父の揉みたる新茶かな
走り茶や大き茶碗で先づ供へ
⇒お父さんが揉んだということはこの茶は自家用に栽培しているものでしょうか。その年の新芽を摘んで新茶を味わう。忘れられない味と香りでしょう。
まずはご先祖さまをまつる仏壇に供える。大きい茶碗は祖父が愛用のものだったのでしょうか。

◇光
読経の終わりし後の新茶かな
新茶の香つい立ち止まる佳人かな
⇒この新茶は寺で読経を終えたお坊さんが飲んでいるのか、それとも法事かなにかでお坊さんが家に読経にきてくれてその後で新茶をお出ししたのか。いずれにしてもほっとしたひと時ですが・・。
立ち止まるということは茶の店の前にお茶の香りがただよっていたのですね。そこへ光さんの好きな佳人が。

◇さら
久々の友を迎へて新茶汲む
空高く消へずに飛びししやぼん玉
⇒新茶を飲みながらの友との語らいなら話もはずむことでしょう。
しゃぼん玉は意外と丈夫でなにかにあたらない限りこわれない。

◇馬空
開墾の先祖は武家ぞ新茶汲む
新任の教師もてなす新茶かな
⇒ご先祖は明治維新で武家の身分がなくなりあてがわれた開墾地にやってきたのでしょう。そのご苦労のおかげで子孫もこの地で新茶を味わっている。
新任の先生をかこむ懇親会かなにかでしょうか。ちょうど出回りはじめた新茶でおもてなし。

◇蒼月
生垣の茶葉を摘み蒸す五月かな
宇治の茶は新茶でつくる玉露かな
⇒自家用の茶の木があるのでしょう。八十八夜の茶作りは摘んで蒸して揉むという重労働です。ただ、茶の木の列は生垣とは言わない。
宇治の商店街に取材に行ってきました。新茶は(宇治)では煎茶の一番茶を言うと聞きました。玉露は新芽に覆いをして日光を遮ってつくるのでもともと新茶なのであえて新茶と言わないようです。でも5月の末にはその年の玉露がでますので新茶と表示されていないか確かめるつもり。

◇遊介
一筆を添えて送りぬ新茶かな
香り立てゆるり潤びる新茶かな
⇒新茶は喜ばれる贈答品ですね。
急須に湯をそそぐと茶葉がゆっくりほぐれて茶の成分がしみだしてきます。このときの香りもいいですね。

◇はな
新茶汲む立ち寄る客は見つめたり
講釈は三煎目へと新茶汲む
⇒店頭で新茶の試飲をしているのでしょうか。お客に見られながら。
長々と講釈を聞いてお茶も三煎目。せっかくの新茶も三煎目ではおいしくない。

◇あかね
門前町新茶手土産友見舞う
新茶摘む段々畠空蒼く
⇒そのお友達は門前町の近くにお住まいなんですか。漢字を次々ならべて句がぶつぶつ切れています。もっとなだらかに。
後句も三段切れです。

◇夢路
錫の蓋静かに落ちて新茶筒
コナコーヒーの朝新茶の朝となり
⇒茶筒が錫でできているのですか。おしゃれですね。新茶の茶筒なのか新しい茶筒なのか、少し迷う。
いつもは朝はコナコーヒーを淹れるのだが、この時期は新茶を淹れる。やっぱり旬のものだから。

◇勝山
冷ましたる湯にほどけゆく新茶かな
新茶飲む値段を聞きて味はひぬ
⇒新茶の正しい淹れ方ですね。70~80度のお湯をそそいで1分待つ。
新茶は摘む時期が早いほど収穫量が少なく高価になる。値段を聞くと仇やおろそかには飲めない。

◇三四郎
恩人に今年も新茶送りけり
一斉に新茶売り出す商店街