一人ぼっちでお店屋さん


幼稚園年少の文化祭での話です。


この年はお店屋さんごっこをやりました。


年少→年中→年長の順番にお店屋さんをやり、お店屋さんのとき以外はお客さんをやりました。


商品も折り紙や段ボールなどで作り、一人何枚か折り紙で作ったお金を貰い、本当に交換します。


今考えると、かなり本格的ですね。


八百屋さん、魚屋さん、服屋さん、花屋さん、ゲーム屋さん、カバン屋さんなどがあり、ここから手を挙げてやりたいお店を選びます。


人気のお店は10人くらいになりました。


そして…私は一人です。


単純にカバン屋さんをやりたいなと思って手を挙げたら、他に誰もいませんでした。


私が挙げたからみんなが下げたわけではないので、避けられてるわけではありません。


一人か…やめようかなと思ったのですが、先生は「〇〇ちゃん(私)一人ね」と記録してしまいました。


他にやってくれる人いない?とみんなに聞いたり、私に他のお店にする?と聞いてくれればいいのに…


私一人でお店屋さんなんてできるわけない…


呼び込みもできないし、くださいって言われてもいいですよとか言えないのに…


しかし、決まってしまったものは仕方ありません。


あんまり作るとたくさん売らないといけなくなるので、カバン3つしか作りませんでした。


適当に折り紙と画用紙で作ったやつです。





そして文化祭当日。


年少からお店屋さんをやります。


みんなが「いらっしゃいませ~」とか「見てってください」とか言っているとき、私だけシ~ン。


みんなだいたいきれいに作られているお花屋さんとか、輪投げなどのゲームができるゲーム屋さんに流れていきます。


こんなカバンどうせ売れないだろうし、終わるまでジッとしていよう。


そう思ってボケっとしていると、年長?の男の子が「これちょうだい」と言ってお金をおいて、カバンを持っていきました。


驚きました。


女の子たちが気を使って買ってくれたりしないかな…とは思っていたものの、男の子が買ってくれるとは思っていたかったものですから。


あんなの何に使うんだ?とその男の子を見ていたら、お金や他の商品を入れるのに使っていました。


手に持てなくなってからじゃなく、一番最初にカバンを買うなんて頭いいなぁ。


売れたことよりも、なぜかそっちの方が気になってしまいました。


看板を作っていたので「荷物入れに便利」と書き足そうかななんて考えていると、その男の子を見た他の男の子たちが真似をして、カバンを買いに来ました。


喋らない私に不思議そうな顔をしていましたが、なんとか交換を済まします。


売れちゃった…


何なら「もうないの?」と聞いてくる子がいるほどで、もっと作ればよかったと思ってしまいました。


心のなかで、最初に買ってくれた男の子に感謝するのでした。