第5講解説
問1
(1)誤
反応速度を大きくするために60℃前後に加熱します。活性化エネルギーは触媒でしか変化しませんし,もし変化したとしても“大きくなった”では反応速度は低下してしまいます。
(2)正
上から過マンガン酸カリウム水溶液なら“赤紫色が消えずに残り始めるところ”ですが,逆の場合“どんどん薄くなっていく赤紫色が消えたところ”になります。神の目がほしくなってしまいますね。まず毎回滴定値が違ってしまうでしょう。
(3)正
塩化物イオンと過マンガン酸イオンという反応が,本来の反応以外に起こります。過マンガン酸カリウム消費量がそのミスで大きくなってしまいます。
問2
(1)正
硫黄の燃焼では二酸化硫黄にまでしか酸化されません。三酸化硫黄にしたいので触媒を使用します。
(2)誤
濃硫酸+三酸化硫黄=発煙硫酸,発煙硫酸+希硫酸=出荷用濃硫酸,ですね。希硫酸+三酸化硫黄では間違いなく沸騰します。
問3
(1)脱水
有機物(白衣は綿≒セルロース)+濃硫酸≒脱水です。
(2)石油の脱硫
昔,昭和の時代は黄鉄鉱から二酸化硫黄を得ていましたが,石油中の硫黄が二酸化硫黄になり酸性雨などの原因とされてから,石油は完全な脱硫がなされています。その硫黄,安いので使います。
問4
MnO₂ : MnO₄⁻+2H₂O+3e⁻→MnO₂+4OH⁻
強酸を加えて酸性にすることを怠って過マンガン酸カリウム滴定を行った場合,過マンガン酸イオンからはMn²⁺ではなくMnO₂が生成し,そのMnO₂は水に難溶な物質なので被滴定溶液が濁ってしまい,終点の判定が難しくなるから。
問5
(1)0.83mol
(2)1.25mol
過マンガン酸イオン:一人で電子を5個受け取るMnO₄⁻+8H⁺+5e⁻→Mn²⁺+4H₂O
二クロム酸イオン:一人で電子を6個受け取るCr₂O₇²⁻+14H⁺+6e⁻→2Cr³⁺+7H₂O
酸素:一人で電子を4個受け取るO₂+4H⁺+4e⁻→2H₂O
問6
25%
滴定された10mL中の水酸化ナトリウム=a[mol],炭酸ナトリウム=b[mol]とすると,以下の立式が可能です。
a+b=0.100×0.0175 b=0.100×0.0025
これを解くと,a=1.5×10⁻³[mol],b=0.25×10⁻³[mol]になります。
二酸化炭素吸収時の化学反応式は,2NaOH+CO₂→Na₂CO₃+H₂Oです。この10mLで考えると,以下のようになります。
0.25×10⁻³[mol]のNa₂CO₃がいるのは,入ってきたCO₂が0.25×10⁻³[mol]だったから。
0.25×10⁻³[mol]のCO₂は0.5×10⁻³[mol]のNaOHと反応したはず。
今のこっている1.5×10⁻³[mol]のNaOHを合わせると,はじめNaOHは2×10⁻³[mol]いたことになる。つまり,2×10⁻³[mol]のNaOHのうちの0.5×10⁻³[mol]がCO₂と反応したので25%。
問7
左:-2 真ん中:‐1 右+3
問8
一つの化合物の中の炭素原子であっても,環境の違いによって異なる酸化数を示すとこがあるから。
問9
① イ
中心原子が同じであるオキソ酸の場合
酸素の数が多い→中心原子の電子不足がより顕著→水素原子が関与する電子対をより大きく引き寄せる→水素イオンがより生成しやすくなる ですね。
➁ ア
同タイプの化学式であるが中心原子が異なるオキソ酸の場合
中心原子の電気陰性度が大きい→中心原子の電子不足の影響がより大きい→水素原子が関与する電子対をより大きく引き寄せる→水素イオンがより生成しやすくなる ですね。
③ イ
小さいと電子密度が高く,より強い力で水素イオンを引き戻そうとしてしまいますね。