葛城事件 | 『映画評価”お前、僕に釣られてみる?”』七海見理オフィシャルブログ Powered by Ameba

葛城事件

俺が一体、何をした。


無差別殺人の背景にある闇を炙り出す、壮絶な家族の物語。





息子が無差別殺人を起こして死刑囚となった父親とその家族、そして犯人と獄中結婚した女性が繰り広げる壮絶な人間模様を描いたフューマン・ドラマ。


父親から受け継いだ小さな金物屋を営み、美しい妻と2人の息子に恵まれ、念願のマイホームを建てた葛城清は、理想の家族と生活を築いたはずだった。しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。精神的に病んでしまう妻、会社をリストラされてたことを言えず孤立する長男、そして次男の稔が無差別殺人事件を起こして死刑囚になってしまう。やがて、稔と獄中結婚したという女性が現れ・・・



劇団「THE SHAMPOO HAT」の旗揚げメンバーで劇作家、演出家である赤堀雅秋監督が、2013年に上演した舞台を映画化したものだ。実際に起こったある事件をモチーフに、無差別殺人を引き起こしてしまうような息子を育ててしまった父親の姿と崩壊していく家族の姿と、死刑反対の立場から死刑囚となった次男と獄中結婚した女性の人間模様を描いた映画だ。ごく普通の家族が崩壊していく姿は、ボディブローを打ち込まれたようダメージが残る。リストラされたことを言えず悩み自殺したり、堪え性がなくアルバイトも続かなかったり、昭和的な抑圧的で思いの人間等、現代社会の問題をストレートに見せており、いろいろと考えさせられた。父親、死刑囚となった息子、獄中結婚をした死刑反対派の女性と、観ていて不快感しか残らないが、その不快感が素晴らしいと感じた。


評価:大変よくできました

監督:赤堀雅秋
原案:赤堀雅秋
出演:三浦友和、南果歩、新井浩文、若葉竜也、田中麗奈・・・他
製作国:日本
配給:ファントム・フィルム

【葛城事件】
http://katsuragi-jiken.com/

評価・紹介No.:2016-119