牛久でハンストを続けていた外国人が、2週間前ようやく仮放免許可がされましたが、入管への出頭日だった22日、仮放免の延長が認められずに再収容されました。
全国難民弁護団連絡会議と、全件収容主義と闘う弁護士の会「ハマースミスの誓い」は、この件について、強い憤りを覚えています。以下のとおり共同声明を発表します。
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緊急共同声明
法務大臣殿
出入国在留管理庁長官殿
2019年7月23日
全国難民弁護団連絡会議
全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い
2019年7月22日、東京出入国在留局主任審査官は、2週間前に入国者収容所東日本入国管理センター所長から仮放免許可を受けた外国人2名について、仮放免の延長を認めず、再収容しました。
私たちは、この措置に対して、厳重に抗議するとともに、速やかに両名を解放することを求めます。また、同時期に仮放免が許可された者の再収容を行わないことを求めます。
この当事者両名は、仮放免許可がされる前に、ハンガーストライキを実施していました。そして、2019年6月24日、長崎県大村市所在の入国者収容所大村入国管理センターで、ハンガーストライキをしていたとの情報もあるナイジェリア人男性が死亡しました。その事件から数日後、今回の当事者両名に対して突如として仮放免が許可されたのです。収容期間は数年に及びました。
しかし、解放された期間は束の間でした。仮放免許可後、延長申請のための出頭日は、一般的には1か月後に指定されますが、両名については2週間後とされました。
彼らは逃亡しようと思えばできたでしょう。ですが、そうせず、自らの足で出頭した両名を、東京出入国在留局は収容し、その日のうちに、茨城県牛久市所在の入国者収容所東日本入国管理センターに移収したのです。
外国人の人身の自由を、なんだと思っているのでしょうか。
出入国管理及び難民認定法による収容は、あくまで、強制送還の準備のためだけに認められるものです。刑罰でもなければ、保安処分でもなく、条件違反者に対する見せしめのために使われるものではありません。送還の予定が立っていない外国人、送還が法律上禁止されている難民申請者を収容するのは、目的外収容で違法なのです。
全国で相次ぐハンガーストライキや、前記の大村での死亡事件、今回の、当事者達を翻弄する再収容、いずれも、目的外で行っている長期収容がもたらした悲劇です。
一刻も早く、目的外の長期収容を止めて下さい。
今回の当事者両名に対して一旦は仮放免許可を認めたのは、目的外の長期収容政策がもたらした綻びの現れです。ところが、その後、仮放免を求めてハンガーストライキをする被収容者が激増し綻びがより一層顕著となる事態に至り、これに対して,被収容者への恫喝のための再収容をし,かれらを見せしめにしたわけです。しかし,このやり方は、被収容者の尊厳を傷つけるだけでなく,生きる希望をも奪うあまりにも非人道的なものです。
1年後にはオリンピック・パラリンピックで多くの外国人を迎えます。オリンピズムの根本原則2は「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進」と定めています。今回の、再収容は、このオリンピズムの目的に真っ向に反するものです。開催国として相応しい対応を強く求めます。
【お問い合わせ先】
・全国難民弁護団連絡会議世話人兼「ハマースミスの誓い」代表 弁護士 児玉晃一
090-2315-9247 koichi.kodama@nifty.com
・全国難民弁護団連絡会議事務局(担当:杉本) 03-5312-4826 jlnr@izumibashi-law.net