【ライブレポ】笹口騒音オーケストラ&リトビ合同レコ発(ゲスト:のっぺら)@下北沢近道 | とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。
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笹オケとリトビの合同レコ発を観に「下北沢近道」というライブハウスに行ってきました! ゲストの"のっぺら"も好きなバンドなので楽しみ。



19:00〜リトルビッグプラネッツ(リトビ)🪐



「ノーモア・ボーダー」と「ノーモア・変なオジサン」を布教する二人の神(笹口騒音とみおちゃん)による二神教ユニット「リトビ」。(笹口さんのMCを元にしたよーよーのジョークなので、本気でとらえないでね。)

同じツーピースといえば、ホワイト・ストライプスばりの表現の多彩さがリトビにもある。そして、ウィーザーのような疾走し失踪するエモに胸がすく。字余りで不可思議な譜割りは、太平洋不知火楽団(笹口さんの4バンドのひとつ)のようだ。

ギターヒーローである笹口さんも手だれだが、ドラマーのみおちゃんも素晴らしい。敏捷性のハツラツとした良さにより、シンバルとハイハットの音色が生き生きとしている。また、心臓の鼓動のようなバスドラがドラマチックだ。そして、なんといっても抜けの良いスネアが爽快。

「ピクシーズ」「転☆生」「マルチバース(な)ユニバース」の流れが好きだった。(僕は特定の宗教を信じていないけど)こういった霊性を感じさせる曲が好きだ。

大きすぎず小さすぎない、手が届くけど宇宙を感じさせるようなオルタナティブ・ロック。笹口さんの4バンドの中でうみのてよりもオルタナティブという位置付けだった旧ニューオリンピックスの精神を引き継ぎ、ツーピースでとんでもなくカッコいいオルタナティブを鳴らしてくれる。

👆謎の宇宙人2人組。二人ともサングラスを取るとイケメン&美女。

20:10〜のっぺら😶


女性ギターボーカル、男性アコーディオン、男性ドラマーのスリーピースバンド。(昔はベーシストもメンバーだったようだ。)

日本語が美しくまっとうな歌ものとしてのカネコアヤノと、"水中、それは苦しい"の性急なロック、寛容なアコースティック、スマイルなユーモラス成分を魔配合したかのような魅惑的な音楽。

最近、このフレーズを使いがちなよーよーですが、「この場末の実家感」という形容がぴったり! 良きかな、良きかな。イノセンスと毒、ロックの混沌と秩序が併存し、しかも、それらがあけっぴろげな本音として観客に向けて語られる。

歌に力があるポップスでもあるのだけと、ソリッドで歪んだギターの響きや強くかき鳴らされるフレーズにまさにロックの愉悦を感じる。そこに、パワフルで堅実なドラムがドラマチックに骨格を与え、アコーディオンが情緒的に彩り、色を添える。

のっぺらの小棚木もみじさんは、この後の笹オケの一曲(「地球の店員」)でも登場。天真爛漫な彼女のボーカルは、多幸感あふれる笹オケの演奏の中でも埋没せず、凜々とした輝きを放っていた。



21:10〜笹口騒音オーケストラ(笹オケ)🎺


アコーディオンの西山小雨さんの笑顔が生き生きとしていて、笹オケのかもしだす多幸感の3割は、彼女のたたずまいによる説に一票。笹口さん、西山さん、オケメンバーの演奏する姿は、躍動する一枚の絵画のように美しかった。

新譜『(Songs of)THE MAN WHO...』から全曲を演奏。シークレットトラック㊙️も演奏してくれ、安定したベース(大林いくおさん)と渋い歌声に涙。そして、アルバムとは違う曲順のおかげで新鮮に楽しめた。うんうん、このアルバムは良いアルバムだよ(泣)

ホーン隊二人(カトー直喜さん<トランペット>、NAPPIさん<トロンボーン>)の精妙なユーモアがあり、情緒を掘り下げる吹きぶりにもグッとくるし、キース・ムーンも驚きの雨ノ地晴太郎さんによるドラムも、パワフルかつキレッキレで異次元のドラムの魅力がある。

一部のロックやクラシックなどのように、リテラシーや素養があると聴く上で助かる音楽もあるが、笹オケはそういったものが必要ないくらい、誰が聴いても楽しめると思う。だからこそ、笹オケは『みんなのうた』(©️Eテレ)のようにポップなのだ。(でも、アルバムを一回でもひととおり聴いておいた方がより楽しめるとは思う。)

笹口さんの音楽は、国内で力を持つ音楽雑誌であるロッキンオンジャパンの文脈やミュージック・マガジンの文脈ではなかなか評価されていないと感じる。(それらの音楽雑誌でも、"うみのて"というバンド名は登場したことがあるから、認知はされていると思うけど。)

しかし、笹口さんとその仲間たちのバンドの音楽は広く世に聴かれるべき音楽だと僕は確信している。大手資本傘下ではなく、自主インディーレーベルというのもあって軽視されがちだけど、本当に素晴らしいのですよ。

生き馬の目を抜く音楽シーンにおいて、笹口さんはサバイブしていく視野も力も親しみやすさもある。

だけど、今日の笹オケが奏でたみたいに、新鮮な野菜を直に手売りするような親密なスケール感のある曲は、苛烈なサバイバルというよりもアットホームな実家という心象を強く受ける。ファンの数はもちろん、このD.I.Y.で音楽的な実家に関わる人々の輪がじわじわと大きくなっていったらいいなあ!と僕は夢想するのです。


11/24金@下北沢近道

笹オケ3rdAL『(Songs of)THE MAN WHO...』
&
リトビ1stAL『マルチバース(な)ユニバース』
大合同レコ発

op18時半st19時

出演
🎺笹口騒音オーケストラ
🪐リトルビッグプラネッツ

SPゲスト
😶のっぺら

19:00〜リトビ
20:10〜のっぺら
21:10〜笹オケ


💫オマケ💫
親友と別れて以来、行く機会が少なくなった下北沢は、やはり音楽とクリエイティブの街でした。人と人の距離が近く、だからこそ生まれてくる創造性と化学反応がある。

そして、下北沢はラーメン店の激戦区でもある。
👇めちゃ美味かった!🍜

@中華そばこてつ