![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230710/17/yoyo0616/4f/44/j/o2048204815310632719.jpg?caw=800)
👆このEPのジャケット画像。(©︎ cocco_illustration)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230710/17/yoyo0616/42/bd/j/o2048204815310632872.jpg?caw=800)
👆メンバー2人のアーティスト画像。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230710/17/yoyo0616/12/7b/j/o1334075015310632874.jpg?caw=800)
👆バンド名のロゴ。
●新生男女2人組宅録ユニット"白黒ハロー"初音源「ホログラム」を公開!
null(女性ミュージシャン)と川辺歩(男性ミュージシャン)の奇才2人組による宅録ユニット「白黒ハロー」。このユニットの構想段階においては僕も関わっている。川辺とは知己だし (彼の音源については僕も過去にブログでレビューしている)、何を隠そう、白黒ハローの名付け親の一人は僕なのだ。
ここで、白黒ハローについて川辺から寄せられた情報を確認しておくと…。カッコ()内はよーよーによる補足です。
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・null氏は岡山の宅録家で川辺(北海道在住)より若い。
・(null氏は)仕上がりを気に入って喜んでリリースOKしてくれた。
・二人は一度も会ったことすらないしこれからもたぶん会わない。
・今回はシンプルなアコースティックで「白」を意識した。(ユニット名も白黒ハローだし。次作は黒を意識するのかな?)
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では、本作EPを見ていこう。読んでみて気になった方は、ぜひ各種サブスクを「白黒ハロー」で検索してみてね!
#1「走馬灯」のさわやかな諦念。 #2「ホログラム」のイノセントなウィスパーボイス。前半の二曲は、アコースティック版マイブラ【My Bloody Valentine】とも言えそうな(しかし、マイブラよりもラディカルな)、ガラスみたいに壊れやすくて尊いサウンドスケープが描かれている。美しくも"痛み"をはらんでいるnullの歌声がよく通っていて、ガラスを抜けていく光みたい。彼女たちの曲にはこの曲を作らなければいけないという切実さを感じる。
「走馬灯」
「ホログラム」
ピアノのインスト曲#3「ピアノ」も良かった。深淵の果てのまどろみへリスナーを誘うピアノの音は、坂本龍一さんと同じく余白と余韻で語らせる。(null氏や川辺からは持ち上げすぎだと謙遜されそうだが。)
「ピアノ」
#4「わがまま」の室内楽的でアットホームな表現が好きだ。しかし、密室でも屋外でもなく、トビラは閉まっているが窓は開いているような、このギリギリのバランス感覚が刹那に胸を締め付ける。本作収録のこれらの4曲は、null氏と川辺が気魂の瀬戸際で自己肯定と自己否定を繰り返しながら、一縷の望みをかけて手を外に差し伸べようと試みた決死の表現なのだ。
マイブラのビリンダ・ブッチャーのように壊れやすくて美しく、転校生の水本夏絵のように儚げで寂しげな歌声。この歌声に全て持っていかれる。歌声が透き通りすぎて危うさが怖い。だが、その危うさが魅力的なのだ。
アレンジや曲名(どれも一単語)も簡素だし、こんなにシンプルなのに底なし沼の深みを感じる。彼らの音楽ならば僕の絶望も分かってくれるだろうと思えてくる。「絶望」という言葉は使い古されているが、それだけ絶望を感じる人は世間に多いということだ。人によって絶望の形は違う。僕の絶望の形は白黒ハローの音楽の形と共鳴するようにぴたりとハマる。
(同じように、「共感」も使い古された言葉だ。だから、僕は「共鳴」と表現したい。それに「共鳴」という言葉でしか表現できないフィーリングもある。)
願わくば、白黒ハローには大衆的な支持を得てほしいと思っている。だが、そうならなくても、彼らの作品は将来に残っていくだろう。ネットの大海の水底に沈んでも、誰かにはきっと届いているし、記憶されるべき切実さがあるからだ。彼ら二人の生きている/生きていく証は、本作EPのタイトルでもあるホログラム(レーザーを使って立体画像を記録した物)のようにリスナーの心のレコードに記録されるだろう。少なくとも、僕は彼らの作品をこれから先も覚えている。
Score 9.2/10.0
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