★ライブレポ・感想★桜井敏郎ワンマンライブ【確かな音楽】 | とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。



●確かな音楽

今日10/31は桜井敏郎さんのライブ@新宿サムライ。

桜井さんはゲーム音楽のパイオニアで、会社を辞めた後はSAFETY SHOESというバンドで何度も渋谷クワトロでライブを成功させた方。2019年にSAFETY SHOESは活動終了し、今回はソロ名義のライブだ。

YouTubeやサブスクでUPされている音源は少ないけど、王道Jpopが好きな方は是非。SAFETY SHOES名義でCDも出ている(6枚かな)ので、ご興味を持たれた方は買ってみてくださいね!



開演直後にステージを照らすライトがまるで希望だった。一曲目「降り注ぐ太陽の下に」が始まると、目に気迫と覚悟の宿った桜井さんが軽やかに歌い始めた。その後の「SOUL DRIVE 55」の勢いに一気に持っていかれる。そこからは終演まであっという間だった。

過去からの名曲がミックスボイス(地声とファルセットが混ざったような中間の声)で歌われていた。これは以前の桜井さんの声質が好きな方には賛否ありそうだが、僕は聴いていて楽しかったなー。

あと、今の桜井さんの声による表現力は新鮮だった。微細まで考え尽くされたボーカルのニュアンスの繊細さは心に太く響いた。

確かな音楽はここにある。

ライブハウスへの道中で、人気ホストの宣伝写真を外装にまといながら爆音で走っている車があった。そこでかかっている曲は、華やかできらびやかな世界への女の子たちの空疎な憧れを具現化した軽薄なものに僕は聴こえた。ひいき目に言っても、ちっとも共感しうることがない曲だった。

桜井さんと仲間たちの演奏はそんな軽薄さとは対極に位置するものだった。桜井さんの音楽は耳で聴こえる温かい血が通っている。届けたいメッセージを届けやすいメロディに乗せる、優しいその力に感服する。芥川龍之介で言うところの「ぼんやりとした不安」、ニルヴァーナが歌うところの「something in the way」、そんな不安定な感情に対して、正方向から確かさを鳴らしてくれる。

ライブ序盤で「(これで)最後の曲です」と定番のボケをかまして笑いを取ったり、他のメンバーをイジったり、曲だけではなく笑いの面でも桜井さんの力は鉄板だった。(さすが関西出身!)

観客皆で手拍子をしていたが、これも強制という感じは全くせず、自然に手拍子したい気持ちが湧き上がるような、演奏を聴く自分の心にリズムが生まれる体験だった。

アンコールの「私的現代パラダイム」「同窓会-Classmate-」も鉄板だった。「私的現代パラダイム」では今日イチの盛り上がり。みんな座席から立ち上がり、身体を揺らしていた。「同窓会」は最近の曲なのに、昔からあるスタンダードな曲のような訴求力を放っていた。


👆過去の音源です🎶

サポートギタリストの大和田亮さんはヒゲを生やしてジョージハリスンみたいだった。(最近女の子のお子さんが産まれたそうで…おめでとうございます!)イカしたギターソロを聴かせてくれました。

サポートの朝永さんは夫婦でご出演して素敵。テディさんは過去に彼主催のイベント(テディパ)に僕も行ったことがあるので親近感があった。コーラスのMAKIさんは桜井さんとの友情を感じさせる一幕があった。桜井さんとサポートメンバーの絆が見えてくる温かいステージングだったと思う。

今夜のライブ、正直に言わせてもらってめちゃくちゃ楽しかったです! 新譜の完成を心待ちにしています。

サポートメンバー
Ba.朝永徹文
Gt.大和田亮
Dr.テディ
Key.朝永陽子
Cho.MAKI


👆座席制なのが、アラフォーにはありがたい😭 こういう公演が増えればいいな。