2010年代ベストアルバム(邦楽)30位→21位 | とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。
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2010年代のベストアルバム30枚を発表するよ!
10枚ずつ三日に分けて発表します。
それでは、今日は30位から21位までをカウントダウン!

【30位】RADWIMPS『人間開花』(2016年)  



ゼロ年代のラッドウィンプス、つまり『アルトコロニーの定理』(2009年)まで、僕は熱烈なラッドのファンだった。

2010年代のラッドは初期衝動を完全に失ってしまったように僕には思える。ゼロ年代のラッドはハートが最初にあったけれども、2010年代のラッドは頭が最初にある感じとでもいえばいいだろうか。

それでも、2010年代もたくさんの良曲を届けてくれた。ラッドから良曲を引き出してくれた新海誠監督に感謝しています。中でも、本作収録の「スパークル」は映画の情景が思い浮かぶ名曲です。

【29位】笹口騒音オーケストラ『TOMORROWISLAND』(2016年)

TOMORROWISLANDTOMORROWISLAND
2,000円
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うみのて等4バンドを率いる笹口騒音のバンド「笹口騒音オーケストラ」の音源。BeirutやArcade Fireの音楽性を下敷きにしながら、それらよりも強度な歌心を持った「うた」にしてしまっている。「僕の家」のトランペットの元ネタがベイルートの「Nantes」そのままで笑ったよ。

冒頭の「トゥモローランド」の祝祭感に引き寄せられるようにして全12曲スルっと聴けてしまう。最後の曲「NEW MUSIC.NEW LIFE」は一人の人生丸ごとを歌ってしまえるような射程を持った曲で感動する。

【28位】andymori『ファンファーレと熱狂』(2010年)



teto、サニーカーウォッシュ、プププランドなど、andymoriに影響を受けたバンドを挙げればキリがない。後続への影響という点からして、andymoriは2010年代で五指に入るバンドだろう。

だが、僕が言いたい彼らの素晴らしさは音楽史的な観点ではない。こんなにも心を揺さぶるロックンロールが今の日本にありますか? 冒頭の「1984」はトランペットも吹かれるおおらかな曲調のロックソングの名曲だ。

【27位】Official髭男dism『Traveler』(2019年)



これまでのJ-POPのクオリティを彼らはこの一作で更新してしまった。ソングライティングやアレンジの一つ一つの機微に、細やかな技巧を感じる。

藤原さんのハイトーンボイスの心地よさ、練り込まれている歌詞、跳躍によって即効性を稼ぐメロディ、複雑な進行だが複雑に感じさせないコードワーク、一つの違和感も覚えさせない演奏、どれも死角がない。

【26位】amazarashi『爆弾の作り方』(2010年)  

爆弾の作り方爆弾の作り方
1,442円
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amazarashiの音楽性は初期から完成されていて、近作に至るまでそれほど変わりがないと僕は考えている。また、音楽的になり過ぎることはなく、あくまでamazarashiの音楽は歌もののフォームを崩していない。となると、歌の良さが肝要になってくる訳だが、僕はその点で本作を推す。純粋で辛辣なメッセージの連なりに胸が熱くなる。

【25位】マキシマムザホルモン『予襲復讐』(2013年) 

予襲復讐予襲復讐
2,436円
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日本のエクストリームミュージック。メタルを下敷きにしているのだが、メタルを避ける僕でも聴けるポップさとキャッチーさがある。そして、一つ一つの歌に確固たるメッセージ性がある。しかし、歌詞カードを見ないと、分からない歌詞が多いのはマイナスポイント。ただし、歌詞カードを見ながら聴くと、彼らの精神性のエレメンツの一番濃いところを食べさせられているようで、満腹度(満足度)が高い。
 
【24位】チャットモンチー『告白』(2010年)  

告白告白
1,474円
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前述したandymoriも後続に与えた影響は大きかったが、影響の大きさだけでいったら、チャットモンチーはそれ以上だろう。現在活動しているガールズバンドのほとんどは、直接的・間接的にチャットモンチーの影響を受けている。チャットモンチーの前だったら、プリンセスプリンセスの影響が一番だっただろうから、チャットモンチーの存在はガールズバンドを一気にモダン化した。

チャットモンチーで僕が一番好きな「染まるよ」が収録されている本作。三人だけで音を出し、余計な装飾音のなく、武骨だけど女性らしさも兼ね備えたロックソングが展開されています。

【23位】サカナクション『834.194』(2019年) 



2枚組18曲という大作だが、スルっと聴ける。それは、コンセプトが明確であることも理由だろう。一枚目は「東京」(作為的に外に向けて発信していこうという要素が強い作品)、二枚目は「札幌」(自分たちのために作ろうと考えていた、デビュー前の札幌時代のスタンスに近い作品 )というコンセプトで曲が収録されている(日経エンタテインメント!2019.7.より)。そして、東京と札幌の距離である834.194kmがタイトルに使われている。

だが、一曲目に「忘れられないの」を配置したことも、聴きやすさの理由の一つだろう。この80年代AORをモダンにしたような曲は、音や歌唱のカロリーが少なめであり、アルバムを聴く意欲を削ぐことがない。他の曲の配置や構成もよく練られていて、サカナクションの作戦勝ちのアルバムだろう。 

【22位】cero『POLY LIFE MULTI SOUL』(2018年)



2018年はceroをよく聴いた。本作はポリリズムやクロスリズムの譜割りを取り入れ、コードワークも凝っている、音楽的に複雑なアルバムなのだが、不思議な聴きやすさがあった。多層に折り合う魂が入り重なった社会の中で揺りかごに揺れているような感覚とでもいえばいいだろうか。これは僕にとって新感覚だった。
  
【21位】銀杏BOYZ『光のなかに立っていてね』(2014年)  



ノイズの荒波に溺れながら、野太い峯田さんの歌唱が場を支配する。実験的なのだけど、歌として一本の筋が通っている。

異物を取り込んで進化し続けるロックの本質に沿ってノイズを取り入れて銀杏BOYZとしてネクストレベルへ進化した本作の革新性にシビれる。その一方で「ぽあだむ」というノイズの実験性に頼らないアンセミックな名曲を収録しており、ノイズのまどろみの中で光を見たような気分になってグッとくる。

2010年代ベストアルバム(邦楽)30位→21位

【21位】銀杏BOYZ『光のなかに立っていてね』(2014年)  
【22位】cero『POLY LIFE MULTI SOUL』(2018年)
【23位】サカナクション『834.194』(2019年)
【24位】チャットモンチー『告白』(2010年)
【25位】マキシマムザホルモン『予襲復讐』(2013年)
【26位】amazarashi『爆弾の作り方』(2010年)
【27位】Official髭男dism『Traveler』(2019年)
【28位】andymori『ファンファーレと熱狂』(2010年)
【29位】笹口騒音オーケストラ『TOMORROWISLAND』(2016年)
【30位】RADWIMPS『人間開花』(2016年)

20位から11位は予定が入らなければ明日発表できると思います!

追記:発表しました。
2010年代ベストアルバム(邦楽)20位→11位