CDショップのポップ | とかげ日記

とかげ日記

【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。

渡辺康史さん(nabe_yas1985)という方の2月15日のツイートが興味深かった。以下に引用する。

「新人記者の多くは、まず「森達也(沢木耕太郎)病」にかかっている自己の処理に苦労する、という記者の友人の話は面白かった。「事実の発見」よりも、「事実を前に揺れる自己」を森達也や沢木耕太郎のように描写したがるが、上司からは「新聞的で客観的な」事実描写を要求されてまず悩むということ。」

このツイートを見て思い出したのが、CDショップで店員が書くポップだ。
商品(CD)の魅力・セールスポイントを書き連ねるポップ。
最近、「事実を前に揺れる自己」のタイプの描写をしているポップが増えてきていると思う。
特に邦楽のフロアでは顕著だ。
タワーレコードに通っているとこのタイプのポップに時たま出くわす。

「このCDを聴いた時に脳天に衝撃が走り、ひっくり返った。
 目の前の視界が開け、世界は今までと別の様子を見せる。
 これはマストバイ。心して聴け」

今、テキトーに書いてみたけど、例えばこんな具合の文章だ。

ポップに読書感想文のような文章は求めない。
知りたいのは個人の受け止め方ではなく、CDの情報だ。
僕らがまず知りたいのはどんなアーティストのどんなCDなのかだ。
ジャンル(ジャンル不要論は置いといて),音楽性の近いアーティスト,
アーティストがどのような努力をしてそのCDを出したのか,
アーティストをめぐる状況などを知りたい。
それらを書いた上で自分が特別な受け止め方をしたのだということを書いてほしい。

そんなことを言うと、
とかげ日記(今、あなたが見ているブログ)は音楽の紹介をする時に、
エモでポエムなことばかり書いていてどうなんだという話になる。
でも、個人のブログはCDショップのポップじゃないから。
とかげ日記は、日々どんなことを感じたのかを書く日記だから。
だけど、自分の書く文章がナルシシズムの転写だけに終わらないように心掛けたい。