C世代と音楽 | とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。
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日経新聞で元旦から「C世代 駆ける」という連載がスタートしている。C世代という耳慣れない言葉について、元旦の記事では以下のように説明している。

「コンピューター(Computer)を傍らに育ち、ネットで知人とつながり(Connected)、コミュニティー(Community)を重視する。変化(Change)をいとわず、自分流を編み出す(Create)。ジェネレーションC、未来へ駈ける。」

調べてみると、ここ数年、米国で使われ始めた言葉らしい。デジタル・ネイティブと似た言葉だと思う。デジタル・ネイティブの特徴の新しい側面を強調した言葉だろうか。

音楽の文化も、C世代の台頭によって変質してきている。今までは、「アーティスト」「評論家」「リスナー」の区切りが比較的はっきりとしており、それらの相互作用によって、文化が豊かになったり、萎んだりした。プロのアーティストや評論家にならない限り、発表の場が与えられなかったのだ。

だが今は、インターネットによってそれらの境界は曖昧だ。リスナーによってインターネットに書き込まれる評論的な言葉。インターネット上でアマチュアのミュージシャンが曲を公開する。発表の場ができて、リスナーがアーティストにも評論家にも以前より簡単になれる時代になった。それぞれの距離は縮まっていく。

アマチュアでもインターネットで簡単に音源をアップできるMyspaceは、世界最大級のソーシャルネットワークだ。Myspaceを通じて、アマチュアからプロになるミュージシャンもいる。今、世界中で最も売れているシンガーであるADELEも、最初は熱心なリスナーで、プロになることに関心はあまりなかったが、Myspaceにアップした音源がレコード会社に注目されてスカウトされた。磨けば金色のアーティストがMyspaceにたくさんいるだろう。

インターネット上は評論的な言葉であふれている。個人が運営する音楽サイトが、音楽雑誌に掲載される評論家の言葉よりも読まれているケースもある。音楽雑誌を買う習慣を辞めて、情報源を個人のブログに頼る人もいる。mixiのコミュニティでは、ファンによって論争が起こることもある。

これらの変質が音楽の文化を豊かにするのか貧しくさせるのかは、分からない。質の低い音楽や評論が氾濫してしまうだけなのかもしれない。多種多様な音楽や批評が創られ、多様性が増すのかもしれない。ただ一つ言えることは、コンピュータやインターネットの登場は、音楽の文化にとっても革命的だったということ。C世代の活躍が音楽の文化をどう面白くするのか、C世代の閃きとアイデアは現在進行型だ。

…なんて、人ごとのように言ってますが、僕もこのブログを読んでくれているあなたもC世代なんですよね。インターネットで人と繋がっている以上、年配のネット利用者もC世代の主要な要件を満たしている。一般の人も音楽の文化に関われる時代になった。C世代は今を駆ける。



Adele - Rolling In The Deep