Kimonos - Soundtrack To Murder レビュー&感想 | とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。


Kimonos - Soundtrack To Murder

日本のロックに大きな影響を及ぼし、今も影響を及ぼし続けているザゼン・ボーイズの向井秀徳と、シンセサイザーを操るシンガーソングライターのLEO今井によるユニット、Kimonos。

2010年11月17日に1stアルバム『Kimonos』をリリースした。
このアルバムの音世界はストレンジだが、最高にクールだ。
無機質な電子音に溶ける温(ぬく)い人の声。
日本語英語混淆の歌詞を含め、洋の中に和が混ざる。
反復する打ち込みのリズムと、着物のようなたおやかなグルーヴが共存する。
すると、和が浮かび上がってくる不思議。

上記のYoutubeの楽曲はアルバムの中の1曲。
Kimonosの二人は次のようにこの曲を解説している。

向井「アルバムでは唯一のバンド・サウンドである」
LEO「シンセのリフと、ミニマル主義音楽にインスパイアされたガムラン音色のループ。それが、この曲の“種”となった。そこに、向井さんが、どっしりしたダビーなベース・ラインを加えていって、曲が発展していった」
向井「コーラス・ワークにアツいものを感じる」
LEO「アルバムでいちばん典型的なロック・ソングかもしれない。歌詞は、“Soundtrack To Murder”というタイトルがまずあって、そこから向井さんが戦いの風景を連想し、徐々に出来ていった」
向井「“Haiya”から引き続くように、ビルとビルの合間に見え隠れする亡霊について歌っている。今は高速が通っているような都会的な風景でも、かつてそこでは戦が行われていた。そんな幻に取り付かれて、現代でも殺し合いが始まってしまう……そんな内容」
LEO「イントロのシンセ・リフからいきなり“Murder”っぽい、殺気立ったかの様な緊張感と闇が出ていると思う。バトル開始まで間もなく、二人が睨みあって、“やるぞ!”という様なイメージ」


PVでは向井がドラムを叩いている。
アルバムの他の曲は打ち込みであり、この曲が唯一のバンド・サウンド。
そして、この曲がアルバムの中で最もかっこいい曲だと思う。
きらびやかなウワモノの音色から80年代やThe Policeからの影響を感じる曲だが、
サビ部分のシンプルで開かれたサウンドスケープからはThe Strokesを連想する。
YouTubeのコメントでは80年代に活躍した日本のロックバンド・PINKのKEEP YOUR VIEWと似ているという声も。
聴いてみると、確かにバックの演奏が似ている。

神聖かまってちゃんやNirvanaのような自我を強く出していく音楽を聴いていると、
たまにこういうクールさだけでできたような音楽を聴きたくなる。


KEEP YOUR VIEW ・ PINK


Kimonos - Almost Human