認知症予防のための食事 総説 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 認知症の予防・治療の原則は、ミトコンドリアの機能を改善させ、ミトコンドリアを弱らせる要因を取り除き、「抗酸化物質」・抗酸化食品を積極的に摂取することです。
 ミトコンドリアは「生命のエネルギー工場」と呼ばれ、エネルギーを産生する重要な場所です。ミトコンドリアの働きの悪さは、新陳代謝やエネルギー代謝など代謝の低下を意味します。
 偏った食事は、ミトコンドリアの働きを悪化させ、新陳代謝やエネルギー代謝が円滑に行われなくなります。
 このエネルギー代謝を円滑に行うためには、食生活でとくに栄養素・ビタミン・ミネラルを過不足なくバランスよく摂取することが大切になります。
  それでは、バランスのよい食事とはどのようなものなのでしょうか。


バランスのとれた食事とは・・・


 医者や栄養士はよく、バランスのとれた食事が大切であると言います。しかし、これほどあいまいに使われている言葉はありません。バランスのとれた食事が大切であると言う医者や栄養士自身が、それが実際にどのような食事を指すのかが分かっていないのです。 具体的な指示を出さずに、どうして患者に食生活の改善を指導することができるでしょうか。それでは口先だけのきれいごとになってしまいます。「バランスのとれた食事」とは、どこまでも具体的な内容によって示されるべきものです。
 具体的に言えば、ビタミンやミネラルなどの必須栄養素・食物繊維・薬理効果の高い植物栄養素を十分に含み、オメガ3とオメガ6の摂取比率が適正で、抗酸化栄養素・解毒栄養素・酵素をたっぷり供給できる食事のことです。しかし、こうした栄養学的条件をすべてクリアした食事を栄養学理論に基づいて組み立てようとすると、それがいかに難しいことであるかがすぐに理解されます。あまりにも諸条件が複雑に入り組み、現実にどのようにメニューを立てたらよいのか分からなくなってしまうのです。現代栄養学の理論を忠実に実践しようとすればするほど、食事の組み立ては困難をきわめ、絶望的になってしまいます。


伝統的な日本料理・長寿村の食事をモデルにした「食事」


 栄養学の理論が分かっても、それを実際の食事改善に結びつけるのは容易なことではありません。「必須栄養素を満たす」という1つの条件だけにしぼって考えてみても、その難しさは十分に理解されるはずです。一定のカロリーの枠内で、50種類もある必須栄養素を過不足なく摂取できる食品の組み合わせを、短時間に、しかも毎日計算できるような人はいないでしょう。10種類くらいの必須栄養素なら、何とか理論どおりの食事の組み立てはできると思うかもしれませんが、実際にメニューをつくってみると、すぐにカロリーの枠を超えてしまいます。まして50種類もの必須栄養素や食物繊維・酵素などを完璧に満たそうとすれば、毎日毎日、家畜なみに穀類や野菜を食べ続けなければならなくなってしまいます。「正しい食事」は人間を健康にし、「悪い食事」は人間に病気をもたらします。私たちの食事が正しいものかどうかは、それを続けた結果に反映されるのです。つまり人々の健康状態は、それまでの食事が正しかったか、間違っていたかを示す指標と言えます。こうした発想から、食事療法のヒントを探ってみましょう。

 
伝統的な日本食への注目

 

 現代栄養学が始まった頃、欧米の栄養学の研究者は、伝統的な日本人の食事に注目しました。なぜなら日本は欧米と肩を並べる先進国でありながら、国民の平均的健康状態が飛び抜けて高かったからです。ここで対象となった日本人の食事とは、現代人が一般に食べているようなものではなく、50年以上も前の日本人の食事のことです。日本の伝統食についての研究の結果、さまざまな栄養学的事実が明らかにされることになりました。我が国の伝統的食事の中でも、特に刺身や多種類の発酵食品・大豆食品に関心が集まりました。
 そしてこれらが、日本人の健康と長寿を支えてきた大きな要因であることが突きとめられたのです。
 今や欧米では、「日本食は健康によい」という認識が定着しています。そのため、鮨・刺身・豆腐・納豆といった伝統的な日本食が、海外で大流行するようになっています。多くの外国人が豆腐ステーキを食べ、すしバーにせっせと足を運んでいます。
 ここに食生活の1つのヒントがあります。つまり食事療法の具体的モデルとして、「伝統的な日本食」を考えてみるということです。
 (伝統的な日本食とは、昭和30年以前の食事のことです。)

 
長寿村の食生活

 

 また日本人全般という大きな単位ではなく、「長寿村」という特定の狭い地域に注目しても、食事と健康の明確な関係を理解することができます。日本各地には昔から、長寿村として知られる村々が点在していました。そうした中で最も有名な長寿村が、山梨県の棡原です。(現在の山梨県北都留郡上野原町)
 長寿村という名前が示すとおり、そこでは90歳、100歳を超える老人たちを至るところで見ることができました。さらに驚くべきことは、その年寄りたちの健康レベルの高さです。かつての棡原では、80歳を超えた老人であっても畑仕事を日課とし、特別な病気で苦しむようなことはありませんでした。寝たきり老人は1人もなく、老人ボケや、糖尿病に代表される成人病とも全く無縁でした。年寄りたちは亡くなる直前まで普通に暮らし、ある日、眠るがごとく息を引きとっていました。まさに大往生という言葉がピッタリの、安らかな死を迎えていたのです。
 これまで棡原は、多くの研究者によってさまざまな角度から研究されてきました。その結果、棡原の人々の優れた健康状態と長寿の要因の1つが、村人の日常の食事にあったことが明らかにされました。
 しかし戦後、バス路線の開通にともない“陸の孤島”の生活は一変しました。 村の若者たちの食生活はたちまち西洋化されたものになり、それと同時に、以前には存在しなかった現代病・成人病が急増するようになりました。村人の食生活は、伝統的な食事を続ける年寄りと、加工食品や洋食などの現代的な食事をする若者に分かれ、中年層の短命化が目立ち始めるようになってきました。 やがて棡原は、かつての長寿村の面影を完全に失うことになってしまったのです。
 この棡原における出来事は、私たちが食事療法を考えるに際して、重要なヒントを与えてくれます。健康と長寿が当たり前だった当時の棡原の人々と同じような食事をするならば、彼らのような健康と長寿が得られる可能性があるということです。そして間違った食事を続けるなら、すぐに病気で短命化するということなのです。

 
伝統的な日本食・長寿村の食事こそが、食事療法の基本

 
 伝統的な日本人の食事と、長寿村の食事が、現実的に高い健康レベルをもたらしてきました。したがって、こうした食事をモデルにして真似ることが、そのまま食事療法の基本になるのです。そして驚いたことに、日本の伝統食や長寿村の食事は、現代栄養学が明らかにした科学的な理論と多くの点で一致しているのです。つまり私たちが、かつての日本食や長寿村の食事をモデルにして、これにならう努力をするなら、個々の栄養学理論についてあまり神経質に考えなくても、結果として理想的な食事を組み立てることができるのです。日本の伝統食や長寿村の食事を真似ることによって、大半の条件を満たす食事をつくることができるのです。

 
 20世紀の人類に病気をまん延させてきた欧米型の食事の特徴は、肉・油・砂糖・加工食品が極端に多く、野菜が少ないというものです。高タンパク・高脂肪・高カロリー・低食物繊維・低ビタミン・低ミネラルが間違った食事の特徴です。それに比べ、よい食事のモデルである昔の日本食や長寿村の食事は、見事なまでに正反対なのです。欧米型の食事の最も対極にあります。肉料理・油料理・加工食品はめったに食卓にのぼることはなく、多種類の野菜が日常的に摂られてきたのです。

 
食事療法の基本とは

 
 「伝統的な日本食」と「長寿村の食事」をモデルにして、これに近づけていくことが食事療法の指針になります。ただ単に昔の伝統食を真似るのではなく、現代栄養学の最新の科学的知識を応用して、伝統食の利点を引き上げた、さらに強力な伝統食でなければなりません。こうした観点から、食事療法の具体的な方向性について見ていくことにしましょう。伝統的な日本食や長寿村の食事を真似てこれに近づけるためには、具体的な食事療法の指針が必要となります。 

 その指針とは、次の10のポイントにまとめられます。


   1) 加工食品・インスタント食品をできるだけ減らす
  2) 脂肪・油をできるだけ減らす(オメガ3を摂る)
  3) 肉・乳製品・卵を摂らないか、ごく少量にする
  4) 砂糖をごく少量にする。白砂糖を摂らない
  5) 主食を精製度の低い穀類にする。雑穀を加える
  6) 豆類を摂る。種子・ナッツ類を摂る
  7) 野菜をたっぷり摂る。果物を摂る。海藻を摂る
  8) 魚貝類を少量摂る
  9) 発酵食品を常に摂る
  10) 食材・調味料は自然で新鮮なものを使う


 このような基本的な考え方で「食事療法」は考えなくてはなりません。
  
  このような基本原則は、「健康的な生活と長寿」を目的とするものであり、これはミトコンドリアの機能改善・ミトコンドリアの働きを悪くさせないことを目的としたものに他なりません。

 

 

 

 

「健康的な生活を送る」ための食事について


 自然派医師の本間真二郎先生は、「健康的な生活を送る」ための食事について、以下のように述べておられます。


日本人は「和食」を自然食でとるのがいちばん


 食事は、私たちの健康にとってもっとも重要な要素のひとつです。
  ところが忙しい現代人は、便利さや手軽さを優先し、ファストフード、インスタント食品、冷凍食品、レトルト食品、缶詰、瓶詰といった加工品など、食品添加物がたっぷり含まれた食材を多用しています。その結果、自然からかけ離れた食生活になりがちです。
 お金や手間がかかりますが、家族の健康のためにも、できるだけ自然の食材を選んで使い、食事を手づくりすることで、自然に沿った食生活に戻すことが大切です。
 理想の食生活は、自然農や有機(オーガニック)農でつくられた旬の食材を使い、食物添加物などの化学物質を使わない「自然食」です。日本の伝統食である「和食」は、私たち日本人の体質に合っています。ごはんやみそ汁を中心とする一汁三菜の和食こそが、日本に住んでいる私たちにとって、ふさわしい食事と言えます。
 じつは、住んでいる気候や風土、遺伝が異なれば、からだにいい食事の内容も変わってきます。
 たとえば、パプアニューギニアの高地に住む人たちは、食事のほとんどが、タロイモといういもです。それでも彼らの栄養が足りなかったり病気がちだったりということはありません。プロレスラーのような筋骨たくましい体型の人が多く、みな健康。アフリカのマサイの人たちは牛乳を1日に5~10リットルも飲んでいます。彼らも身体能力が高く、健康に生きています。伝統的な生活をしているイヌイットの人たちは、トドやアザラシなど、ほぼ動物性食品100%の食事をしていますが、病気も少なく健康です。
 私は、動物性食品をあまり推奨していませんが、マサイやイヌイットの人たちは、動物性食品中心の生活でも問題なく暮らしています。どうして、このような違いが出るのでしょうか。
 答えは腸内細菌にあります。パプアニューギニアの人たちはいもだけを食べていても、腸内細菌がすべての栄養素を補っているのです。同様に、マサイやイヌイットの人たちも、彼らに適合した腸内細菌をもっています。腸内細菌は、その土地と切っても切り離せない関係にあります。
 日本に住む私たちも、日本人特有の腸内細菌をもっています。ですから、外国のものを食べたり、外国から入ってきた新しい健康理論に合わせたりする必要はありません。
  土地の恵みであり、知恵と工夫によって長年日本人の生活を支えてきた和食がもっとも健康に役立ち、腸内細菌もそれに合ったいいバランスを保っているのです。健康のためには、その土地に合った食事で腸内細菌を整えることがなによりも大切です。


積極的にとりたい食材「まごわやさしい」


 日本人のからだに合う食事は、伝統的な和食です。和食は、①ごはん ②みそ汁 ③漬けものの3点セットが基本になります。それに、梅干しとごま塩を加えるのがいいでしょう。
 ごはんは、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富な玄米がおすすめです。炊き方を工夫すればモチモチとおいしくできますが、玄米が苦手な人や体質の合わない人は、分づき米や雑穀・豆類を混ぜてみてください。
 これに、食品研究家で医学博士の吉村裕之先生が提唱されている「まごわやさしい」を参考にしておかずを加え、一汁三菜を目安に献立を考えます。具体的には、以下の食材が健康に役立つとされています。ふだんの食生活に、積極的にとりいれましょう。

 
  まめ……大豆(みそ、しょうゆ、豆腐、納豆など)、小豆、えんどう豆、いんげん豆
  ごま……ごま、木の実(松の実、ピーナッツ、くるみ、ぎんなんなど)
  わかめ=海藻類……わかめ、こんぶ、ひじき、のり、あおのり、あおさ
  やさい……根菜、葉菜(キャベツ、白菜など)、果菜(なす、トマトなど)
  さかな……小魚(しらす、あじ、いわし、さんまなど)、貝類、桜えび
   しいたけ=きのこ類……しいたけ、しめじ、えのき、きくらげ、エリンギ
  いも……さつまいも、里いも、じゃがいも、山いも、長いも

 
 毎度の食事ですべてとることは難しいので、1週間くらいの間で、なるべくまんべんなくとれるように工夫しましょう。
 注目したいのは、ここに肉類や牛乳が含まれていないこと。日本人には、基本的に動物性食品(小魚や貝類を除く)は必要ないのです。
 ちなみに、50年前と現在の食品栄養表を見比べると、野菜に含まれるビタミンやミネラルは激減しています。これらを理由に肉食を勧める人もいます。実際に栄養障害が一時的に改善する例も見られるものの、肉食自体の健康や環境への長期的な悪影響のことも考える必要があります。
 旬の野菜の栄養価は昔とほとんど変わらず高いので、地域の自然農や有機農の新鮮な野菜を工夫してとれば、動物性食品を多くとらなくても栄養障害にはなりません。


”腹八分目”が健康の基本


  「腹八分に医者いらず」という諺(ことわざ)があります。少食が健康の基本であることは、日本のみならず、海外でも古くから知られています。さらに、「腹七分で病半分」、「腹六分で老いを忘れる」という言葉も。現代に多いがんや高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、肥満などの生活習慣病の原因に、「飽食」があることは間違いありません。日本では、江戸時代(元禄期以前)は1日2食だったという説もあります。少食により寿命が長くなること、がんの発生率の低下や生存日数が長くなることなど、健康にとっていい面が多数報告されています。
 食べすぎると、消化や吸収、代謝が追いつかず、消化管が疲れ、胃腸や膵臓、肝臓に負担がかかります。食べものに含まれる添加物、農薬などの化学物質、毒物も蓄積します。また、消化管に血流がとられることにより、全身の冷えにもつながり、免疫力が低下します。血糖値の急激な変動により、ストレスに対処する副腎が疲れ、精神的にも不安定になります。
 子供でも、基本は食べすぎよりも少食のほうがいいでしょう。ただし、育ち盛りで食欲が旺盛な子どもの場合、特別に少食を意識する必要はありません。とくに、部活などで運動量が多い子やよく遊ぶ子に制限は不要です。要は、食べた量を消費できていればまったく問題ないのです。


よく噛んで食べること


 食事は、ひとロにつき、30~50回くらい噛むことを心がけましょう。病気の人は100回以上でもいいと言われます。日本には、箸置きというものがあります。本来は、ひと□食べるごとに箸をおき、よく噛み、時間をかけて料理を味わいながら感謝して頂くのが、日本ならではの食文化です。しかし、現代の食事はやわらかいものが多く、あまり噛まないでも飲み込むことができてしまいます。食事時間もとても短く、数分で1回の食事を終えている人もいます。
  よく噛むことにより唾液の分泌が増え、胃腸での消化・吸収を助けます。また、唾液には免疫物質が多く含まれており、免疫を増強し、病気や虫歯を予防する作用があります。ひと□につき30回以上噛むことにより、農薬、添加物、発がん性物質などの有害物質のほとんどが口の中で分解されます。よく噛むことは、脳への血流や振動などの刺激を増やし、乳幼児の知的発達を促したり、高齢者の認知症を予防したりします。また、味覚が発達し、食欲の増進や心理面にもいい影響を与えるなど、じつにたくさんの有益な作用があるのです。
  よく噛むことは単純な行為ですが、お金もかからず、だれでも行うことのできる健康法と言えるでしょう。子どものうちから習慣にしたいことだと思います。


「身土不二」-その土地でとれる旬の食材を食べる


「身土不二」とは、人のからだ(身)と住んでいる風土(土)には密接な関係があり、その土地に住む人々の健康にとって、もっとも適した農作物がもっとも適した時期にとれる、という考え方です。たとえば、夏にはからだを冷やす野菜(きゅうり、なす、トマトなど)が、冬にはからだを温める野菜(ごぼう、にんじん、れんこんなど)が収穫されます。春にとれるふきのとう、わらび、菜の花などの山菜や野草は苦みが多く、冬にたまった脂肪分や毒素の排出を促します。
 このように、季節ごとにとれる作物にはそれぞれ意味があるのです。つまり、食材は地元でとれる旬の作物を選ぶのが健康にとっていい、ということになります。
 このことは、微生物の観点からも説明できます。土の中の微生物は、不用の有機物を分解し、植物に養分を供給している、地球の大きな循環の要です。それぞれの土地に、異なる固有の微生物がいます。たとえば、熱帯には熱帯地方の、温帯には温帯地方の、寒帯には寒帯地方の微生物がいます。さらに、自然環境は気温だけではなく、天気、降水量、日照量、湿度、風、地形など、さまざまな影響を受け、それぞれの土地で増えやすい微生物が異なります。
 同じ日本国内でも、地域によって微生物の組成はすべて異なると考えられます。同じ地域でも、農薬や化学肥料を使うか使わないかなど、作物の育て方によっても変わってきます。
 植物に養分を供給しているのが微生物ですので、その土地固有の微生物が、その土地にふさわしい農作物を育て、その土地にふさわしい私たちのからだをつくります。その結果、私たちの体内で増えた腸内細菌などの常在菌は自然に土に戻され、再び私たちのからだをつくる植物を育てる、という循環が生まれます(糞尿をたい肥として使用することをすすめているわけではありません)。このように、私たちのからだは、その土地の微生物と一体化していくことによって、お互いに支え合いながら健康につながっていくのです。自然のしくみは、特別な理屈を考えなくとも、私たちの健康を支えています。ですから、自然に沿った暮らしをしていれば、病気にならないということになります。
 現在の日本では、旬の食べものという考えが失われつつあり、季節にかかわらず、ほぼ一年中好きなものを食べることができますが、旬の野菜と旬ではない野菜は、見た目は同じでも栄養価がまったく異なります。また、日本とはまったく気候や環境の異なる熱帯や寒帯、地球の裏側からでも、食料を輸入しています。輸送には莫大なエネルギーが必要ですし、農薬や防腐剤、保存料などの添加物を大量に使うことにもなります。
 地産地消がいいのは、ただ単に輸送費がかからないという経済的なメリットだけではなく、健康の観点においてこそ重要なのです。


「一物全体食」-食はいのちを丸ごといただくこと


 「一物全体」とは、生きているものはすべて丸ごとで完全であり、かつバランスがとれているという意味。そして、食材も丸ごと全体を頂こうというのが「一物全体食」の考え方です。そして食べることは、生きものの「いのち」を頂くという行為になります。
 たとえば、米なら精米した白米ではなく玄米が、パンや小麦粉なども精白粉ではなく、できるだけ全粒粉を使ったほうがいいのです。野菜の皮や根は、なるべく捨てないで積極的に利用します。精製された食品は、ミネラル、食物繊維、ビタミンなどの栄養成分が激減しています。精製食品をとると、それ自体の消化・吸収のためのビタミン・ミネラルが足りないため、骨やほかの臓器からもってくる必要があり、全身に負担をかけることになります。
 現代では、「食べにくい」、「おいしくない」、「見た目が悪い」などの理由から、出まわっている食品の多くが精製された食品です。しかし、自然にあるもので、本来、無駄なものはなにひとつありません。人の都合で、いらない部分をとり除いて捨てるという考え方自体が、自然の法則から外れたものとも言えるでしょう。また、精製されていない食品はおいしくないというのも、単なる先入観ではないでしょうか。手をかけて育てられた野菜は、皮つきのほうがおいしくいただけます。皮をむく手間も省けますし、ゴミも少なく、わが家にとっては一石二鳥でした。米も、白米だと噛まなくても一気に甘みが広がりますが、甘みは急速になくなるため、味わい深さがありません。いっぽう、玄米は噛めば噛むほど、風味やうま味が増していきます。
 本来、栄養素は、一物全体の状態からよく噛んで食べ、時間をかけて消化・吸収することが、からだにとって理想的です。病気などで、極端に消化・吸収の能力が落ちている場合を除き、消化にいいものをとる必要はありません。消化管の機能を怠けさせるだけでなく、腸内細菌にも悪影響を与えます。精製され、単独になった栄養素を大量にとるという行為は、歴史をふり返ってみても、近代になるまでありませんでした。白米や小麦粉だけでなく、白砂糖、精製塩、化学調味料、さらには薬やサプリメントなども同様に、精製された食品の仲間です。
 農薬や放射能を心配して、玄米など未精製の食物を避ける人もいるかもしれません。たしかに、農薬などは、ぬかや外皮の部分にたまりやすく、人体に有害です。しかし、私はそれでも「一物全体食」をすすめます。なぜなら、解毒力、排出力を高めてくれるのが、「一物全体食」であるからです。放射能を避けることも大切ですが、たとえ□にしたとしても、その分出せるからだであることのほうが、より重要であると述べておられます。


栄養豊富なうえ解毒作用の強い玄米


 米の栄養素である脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維は、精白することでとリ除かれてしまうぬかや胚芽の部分に多く含まれます。ですから、白米より玄米のほうが栄養豊富であり、食事の原則である「一物全体食」の観点からも、すぐれていることになります。
 最近は、農薬や放射能を気にするお母さんたちが、玄米ではなく白米にしているという話をよく聞きます。ぬかや胚芽に含まれるそれらの毒物を避けたい気持ちもわかります。
 しかし現代社会では、農薬や放射能に限らずさまざまな毒物(化学物質)があふれています。
 これらに対処する原則は、とらないこと、解毒・排出することに尽きますが、たとえ気をつけても、知らず知らず摂取してしまっている現状があります。避けることばかりに目を向けず、抵抗力や解毒力を上げる必要があります。その点、玄米にはとても強い解毒・排毒作用があります。
 玄米に含まれるフィチン酸やアブシジン酸が、ミネラルを排出したり、さまざまな健康障害をおこすという意見もありますが、私はこれも解毒作用のひとつと考えています。気になる人は、発芽玄米や酵素玄米にしてみてください。体質的に玄米が合わない人は、玄米を煎ってから炊いたり、分づき米や雑穀を混ぜたりするなどの工夫をするといいでしょう。

  以上のように、本間先生は述べておられます。

 

 

 

 

“MIND食(マインド食)”


アルツハイマー予防に効果的な“MIND食(マインド食)”


 認知症を引き起こす原因のうち、最も多いのがアルツハイマー病です。
 アルツハイマー病には特効薬がないため、いかに予防するか、いかに悪化させないかで頭を悩ませている人も多いかと思います。
  そんな方に紹介したいのが、学術誌 「Alzheimer’s & Dementia」で紹介されたMIND食(マインド食)です。

 
 日本人には親しみやすい食事療法でありながら、アルツハイマー病のリスクを下げる効果が期待できるそうです。

 
アルツハイマーのリスクが53%減

 

 研究チームは、約1000人を対象にMIND食(マインド食)を取り入れるグループと取り入れないグループに分け、10年間に渡って調査を行いました。
 その結果、MIND食(マインド食)を取り入れたグループは、アルツハイマー病のリスクを53%も減らしたそうです。

 
なぜリスクが下がるのか

 

 MIND食(マインド食)を取り入れることで、アルツハイマーの原因となる肥満や高血圧、高コレステロール、循環器病、糖尿病を予防できるからだということです。
 

MIND食(マインド食)とはどんな食事か

 
 MIND食(マインド食)は、「地中海ダイエット」と「DASH」という高血圧症を防ぐための食事法を組み合わせた食事療法です。

 
 方法は、10種類の食品については毎日取り入れ、5種類の食品については必ず避けるだけです。


毎日取り入れる食べ物

 
・緑黄色野菜やその他の野菜


  特に緑黄色野菜に豊富に含まれる、ベータカロチンや抗酸化ビタミン(ビタミンCやビタミンEなど)は、認知症の予防に効果的だと言われています。
 

・ナッツ類


  硬いナッツをそのまま食べるのは無理な場合でも、すりつぶしたものやペースト状にしたもの、またはココナッツオイルなどをうまく取り入れるといいでしょう。
 

・ベリー類

 
 ブルーベリーやクランベリーなどには、ポリフェノールやアントシアニンなどの抗酸化物質が豊富に含まれています。

 

・豆


  日本人がよく食べる大豆のほかに、地中海でよく食べられているひよこ豆を取り入れてみましょう。ひよこ豆はタンパク質やミネラル、ビタミンBやビタミンEが豊富に含まれています。また、大豆よりもカロリーが低いのも魅力です。
 

・玄米や全粒粉の小麦などの全粒穀物


  精製されていない穀物の事です。ホールグレインとも呼ばれています。精製されたものと比べて、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、不足しがちな栄養が豊富に含まれていて、食後の血糖値の上昇が緩やかなのが特徴です。

 
・魚


  特にサバやイワシ、サンマなどの青魚には、DHAやEPAが豊富に含まれており、コレステロールの値を下げ、血液をサラサラにする効果があるため、認知症のリスクを高める生活習慣病の予防や改善が期待できます。
 

・鶏肉


  赤味の肉は避けた方がいいと言われていますが、複数の研究によって鶏肉に含まれるビタミンB群が認知症予防に効果的であることがわかっています。また、ビタミンB群は赤身の魚にも多く含まれている成分です。

 
・オリーブオイル


 オリーブオイルに豊富に含まれるオレイン酸にも、血液をサラサラにしてくれる作用があります。特にエクストラバージンオイルに、このオレイン酸が豊富だと言われています。また、エクストラバージンオイルに含まれる抗酸化物質オレオカンタールが、脳内に蓄積してアルツハイマー型認知症を引き起こすとされている、βアミロイドを減らす効果があるという報告がされています。

 
・ワイン


  ポリフェノールのためなので、ホップのサプリメントやコーヒー

 

・緑茶などでも代用可能です。
 
 日本人には取り入れやすいものが多いですね。

 

避けるべき食べ物

 
 赤身の肉、バターやマーガリン、チーズ、パン菓子やスイーツ、揚げ物やファストフード

 

 一定期間だけMIND食(マインド食)を取り入れるのではなく、継続して長く取り入れるのが良いそうです。


おわりに

 
 食事と認知症は密接した関係にあります。
 体や脳によい食生活を送っていれば、それだけ認知症のリスクが小さくなりますし、逆もまたしかりです。
 いつも私達が口にしているものは、はたして認知症予防に効果的かどうか。また、脳や体に対してどのような影響を与えているものなのかなどを、ぜひ一度じっくりと考えてみてください。
 これからは意識的にこれらの食材を多く食卓に並べるようにして、認知症予防に役立ててみるというのも一つの考え方かもしれません。


認知症予防のための食品とは・・


 まず、ミトコンドリアを傷つける活性酸素を消去する「抗酸化物質である食品」にはどのようなものがあるのかということです
 極めて多くの食品に抗酸化作用があることが分かっています。
 これをどのように摂取するかが鍵になっています。
 そして、脳の神経細胞およびミトコンドリアの膜構造を構成し、さらに、認知症発症の根源ともなる「酸化ストレス・炎症体質」を形成させる、必須脂肪酸のなかのオメガ3を如何にして多く摂取するかが重要になっています。
 また、ミトコンドリアの機能を悪化させないように、マグネシウム不足、鉄不足、葉酸不足、オメガ3に注意することです。
 認知症まで進展している場合は、これ以上進展させないためには、エネルギー補充の手段として、ココナツオイルが注目されています。


 さらに、食事を摂る際には、食べ過ぎないように、よく噛んで、早食い・ドカき喰いは厳禁であり、腹八分にすることです。


  このように、認知症予防には、食生活が極めて重要になっています。