片頭痛の痛みが起きるしくみ | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

頭痛講座15 


 分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は、以下のように述べておられます。


片頭痛における痛みの発生機序


 片頭痛では、「酸化ストレス・炎症体質」を基盤として、ちょっとしたことで(ストレスなど何らかの理由で)「活性酸素」や「遊離脂肪酸」が過剰に発生することによって、”血小板凝集反応”が引き起こされて、血小板から血管外へセロトニン(生理活性物質)が放出され、血管を収縮させます。その後、役割を果たしたセロトニンは減少しやがては枯渇し、今度は逆に血管は拡張します。
 血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きます。さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が放出され、血管を刺激して痛みが出てきます。この二つによって、片頭痛が起きてきます。


 このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、最初の引き金となる「セロトニン」は”生理活性物質”としての作用です。
  片頭痛発作時には、「脳内セロトニン」が不足した状態にあります。トリプタンという薬は、脳内セロトニンと同じように、血管には1Bという鍵穴があり、トリプタンはこの鍵穴に作用して、血管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
  さらに血管の周囲から「痛み物質」が、シャワーのように血管に降り注いで、血管の拡張と炎症が起こっており、シャワーには1Dという鍵穴があって、トリプタンはこの鍵穴に作用して、「痛み物質」の放出をとめます。ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。


 トリプタン製剤は、あくまでも片頭痛発作時に減少した「脳内セロトニン」を補填しているに過ぎないことを肝に銘ずるべきと考えております。これだけでは、不適切な治療としか言えないはずです。もっとすべきことがあり、それは「生活習慣の改善」です。
  具体的には、片頭痛治療の焦点は、「脳内セロトニン」をいかにして増やすか、さらに、「酸化ストレス・炎症体質」をどのようにして改善させるかに置かなくてはなりません。


片頭痛は暴れるホース!?


  ”片頭痛という症状”は次のプロセスを経て起きると考えられます。


 ①脳の血管内にセロトニンという物質が増え、脳血管が収縮する
        ↓
  ②脳に血液が充分に供給されなくなり、炎症性物質を生じるとともに、脳の表面に脱分極(神経細胞の電気的変化)が起きる
        ↓
  ③血管が拡張し、血液が勢いよく流れるときに痛みをともなう


 これを分かりやすくいいますと、最初は脳の血管が収縮して血流が減り(片頭痛前兆期)、しばらくするとその反作用として脳血管が拡張し、多くの血液が脳に流れるようになります。そのとき発生する炎症性生理活性物質により、心臓の鼓動に合わせて強い痛みを生じるのです。
  例えるなら、水の流れているホースを踏みつけて流れを悪くしたあと、それをパツと放した状態です。ホースは暴れるようにして勢いよく水をほとばしらせます。このホースの暴れている状態が片頭痛だと考えられるのです。こうした状態が数時間から長い人で数日ほど続くわけです。


片頭痛の原因「活性酸素」の呼び水は”ストレス”


 片頭痛は暴れるホースの水-この原因となるのが、脳血管内のセロトニン濃度の変化を引き起こしたり、脳表面の脱分極を引き起こしたりする「活性酸素」や「遊離脂肪酸」です。これらはなぜ発生するのでしょうか?
 人は精神的なストレスを受けると、アドレナリンというホルモンを分泌し、血圧が上がり、心拍数が増えて血糖値が上がります。これは、緊張状態に備えるための体の変化です。
 このとき、体内を循環している血液は、おもに心臓や肝臓、筋肉に集中し、脳への血流は低下(虚血)します。
 脳細胞への血液が不足すると、細胞内にあるミトコンドリアで産生されるエネルギー発生物質(ATP)も減少します。脳は、体の各器官に指令を送るときに、カルシウムなどのイオンの濃度調整によって伝達物質を送り出して指令を伝えます。しかし、ATPが不足すると、脳細胞内のミネラルイオン濃度を調整するポンプが正しく機能しなくなり、いわゆる”機能停止状態”になってしまいます。
 その後、ストレスから解放されると再び脳血管への血液の供給がよくなり(再環流)、機能停止状態になっていたミトコンドリアは急速に機能を回復させます。このとき、過剰な活性酸素を発生させます。これは長いあいた正座をしたあとに立ち上がろうとして、足がしびれたり痛みを感じたりするのと似たような現象です。


ミトコンドリア活性が低い=酸化ストレス体質が片頭痛を招く


 私たちの体は食事などで体内に取り込んだ脂肪や糖分といった燃料分を燃やしてエネルギー(ATP)を作り出すときに「酸素」を使います。車のエンジンが、ガソリンに酸素を加えて爆発させることによってエネルギーを得ているのと同じです。これと同じことが細胞内のミトコンドリアでも起きています。このときに発生するのが「活性酸素」なのです。
 じつは、活性酸素にはウイルスなどの外敵を撃退してくれる働きもあるのですが、活性酸素が過剰に産生されると、体を傷つける悪い働きをしてしまいます。同様に、脳血管や脳細胞に作用して、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質を発生させる原因となります。このように、活性酸素が人体に有害な影響を及ぼす状態のことを「酸化ストレス」といいます。
 こうした状態になっても、通常人体は活性酸素を打ち消すための抗酸化物質を適度に産生します。また、食事によって抗酸化物質を体内に取り込むことも可能です。
 しかし、片頭痛持ちの人はもともとミトコンドリアの活性が低いため、健康な人ならばほとんど問題にならないような血流の変化や、ちょっとした血流の増加であっても、活性酸素が過剰に発生してしまうのです。


片頭痛の引き金となる活性酸素


  健常人では問題となることのない血流の変化であっても、片頭痛持ちの人は元来ミトコンドリア機能の活性が低く、わずかな血流の増加であっても活性酸素を発生しやすい状態になっています。
  同じようなことは、運動をすることや飲酒、入浴などによって急に血行が良くなる場合や、早朝の自律神経の切り換えにともなう血流の変化やホルモンの分泌量の変化にともなう僅かな血流の変化も片頭痛持ちの人では活性酸素の発生の要因となってしまいます。
  低気圧や人ごみ(酸素濃度のわずかな低下)や季節の変化(寒暖にともなう血流の変化)もミトコンドリア機能の活性が低い片頭痛持ちの人ではミトコンドリアの代謝機能の低下と、それに引き続きおきる血流の回復により過剰の活性酸素が発生してしまうことになります。
 また、小麦などに含まれるタンパク質の成分であるグルテンに過敏な人では免疫系のマクロファージ(白血球の一種)がグルテンを異物として排除するときにも多くの活性酸素を発生することになり、片頭痛の発作の原因となります。
  風邪を引いた場合にも同様に風邪ウイルスに対する免疫系からの過剰な活性酸素が発生し片頭痛の引き金となることもあります。
  なお、風邪ウイルスは直接的に筋肉細胞や血管細胞を攻撃し、片頭痛の発作や痛みを引き起こす生理活性物質をも発生させます。
  このようにして、ストレスや運動、飲酒、入浴、風邪などの要因が活性酸素を発生させ片頭痛を引き起こしていくことになります。
  しかし、このような片頭痛発症要因に曝(さら)される片頭痛持ちの人であっても、仮に「ミトコンドリアの活性の低さ」を改善し、「酸化ストレス・炎症体質」を改善すれば活性酸素も異常に発生することはなくなりますので、片頭痛の発症へとは進まないということになります。
  いわゆる、片頭痛持ちの人は常に活性酸素が発生しやすく炎症を起こしやすい体質「酸化ストレス・炎症体質」であることと、細胞の活力を支配する「ミトコンドリアの活性の低さ」に問題があります。
  活性酸素が発生しやすい「酸化ストレス・炎症体質」に加え「ミトコンドリアの活性の低さ」が重なれば非常にわずかな刺激であっても活性酸素が過剰に発生されてしまうのです。
  片頭痛に女性間の家族性が高いのはこの「ミトコンドリアの活性の低さ」が母性遺伝することも一因であるといえます。
  しかし、「酸化ストレス・炎症体質」や「ミトコンドリアの活性の低さ」については日々の食生活のあり方などにより誘発されるものですから、それらを改善することにより片頭痛は発症しなくなります。
 また、「酸化ストレス・炎症体質」では体内で過酸化脂質が生成されやすく、過酸化脂質も活性酸素を過剰に発生させる原因物質となります。
  ただし、過酸化物質については実際に体内で脂質が酸化され生成されること以上に加工食品などの過酸化脂質をすでに含む食品を摂ることの方が現実の問題としては大きいように思われます。

 
遊離脂肪酸はどのようにして生じる?


  精神的なストレスによりアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)は上がり、体脂肪も分解され始めるため体脂肪からの遊離脂肪酸が生成されるようになります。
  本来、これらの体の変化は獣(外敵)などに襲われた時に人間が外敵と戦ったり逃げたりする時にエネルギー不足を起こさないための緊急的体勢の備えとして身に付いたものと考えられます。
  通常、体脂肪のエネルギーへの利用は空腹時(食事を摂らない時)にエネルギーの不足分を補うために生じ、生成した遊離脂肪酸は直ちに体に必要なエネルギーとして使用されます。
  しかし、エネルギーとして必要性がほとんどなく、単に精神的なストレスだけによる緊張のためだけに生成した遊離脂肪酸は血中の遊離脂肪酸濃度を高めるだけの結果となります。ストレスから開放されると消費されるあてのない遊離脂肪酸は一時的に血中の濃度を高めるだけの結果となってしまうのです。
  その結果、血小板に直接作用して”血小板凝集反応”を促進することや脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させるなどの現象を引き起こすと考えられます。
  このため、ストレスを受けている時に発症するのではなくストレスから開放された時に片頭痛を発症しやすくなるのです。
  また、植物油(リノール酸)の摂りすぎやトランス脂肪酸を摂ると、体内での脂質代謝が遅延することになりますので、血液中の遊離脂肪酸濃度をいつも高い状態にしてしまうことになります。
  このように、血液中の遊離脂肪酸濃度が常に高い状態であれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても血小板の凝集や活性酸素の発生が起こり易くなると考えられます。
  一方、糖飲料などを飲み過ぎにより急激に血糖値が上がり過ぎますと、血糖の急激な上昇を抑制するためにインスリンが過剰に分泌されることになります。
  過剰に分泌されたインスリンは血糖を下げ過ぎることになります。
  血糖値が下がり過ぎると、血糖を適正なレベルに戻そうとするからだの仕組みが働き、体脂肪から遊離脂肪酸がエネルギー源として放出されるようになります。
  体脂肪からブドウ糖などエネルギー源としての生成とその消費が平衡を保っておれば問題を生じることはありませんが、急激な血糖値の変化にそのバランスが崩れてしまうと血液中の遊離脂肪酸濃度を高めることになります。
  特に片頭痛持ちの人はミトコンドリアの活性が低く(冷え性や低体温症など)、ブドウ糖の生成とその消費のバランスは乱れやすい傾向にあります。
  糖飲料の摂り過ぎ以外にも、過激な運動や絶食(長い間の空腹)なども糖への代謝とその消費のバランスを乱しますので血液中の遊離脂肪酸の濃度を高めることになります。
  このようにして放出された遊離脂肪酸が血小板に直接作用して血小板の凝集を引き起こすことにより脳血管内のセロトニン濃度が上昇することで片頭痛を発症すると考えられます。
  または、遊離脂肪酸が脳血管壁を傷つけ活性酸素を発生させ、その活性酸素が三叉神経や脳細胞を傷つけることにより片頭痛を発症させると考えることもできます。

 

脂質の摂り過ぎが活性酸素の発生原因に!


 ところで、「酸化ストレス’炎症体質」の人は、体内で過酸化脂質が生成されやすく、これが活性酸素を過剰に発生させる原因物質となっています。
 過酸化脂質というのは、コレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化されてできたものです。これらは体内で作られるのですが、それ以上に、そもそも過酸化脂質を多く含む加工食品などを過剰に摂る食習慣のほうに問題があると考えられます。
 ポテトチップスなどのスナック菓子、インスタントラーメン、ピーナッツ、マヨネーズ、マグロの缶詰(缶を開けたあと)、黒くなった古い油分には注意が必要です。また、新しいものでもチキンフライなどの揚げ物を電子レンジで加熱すると、とがった部分や角の部分が過酸化されることがあります。
 精神的なストレスを受けてアドレナリンが分泌されると、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を高めるために体脂肪が分解されます。このとき、体脂肪から遊離脂肪酸が生成され、血液中に溶け出して全身に送られます。
 通常、体脂肪は空腹時のエネルギー不足を補うために分解されます。ところが、精神的なストレスからアドレナリンが分泌されて遊離脂肪酸が生成されると、エネルギーとして消費されることがほとんどありませんので、その後ストレスから解放されると、血中の遊離脂肪酸濃度だけが高くなった状態になってしまうのです。この遊離脂肪酸は、血小板の凝集を促進したり脳血管壁を傷つけたりしますから、これが活性酸素を発生させる原因となってしまいます。
 遊離脂肪酸には細胞毒性(細胞を傷つける性質)が強いという特徴があります。通常は血液中のアルブミン(Lカルニチン)というタンパク質成分と結合して毒性が弱められた状態で存在しているのですが、遊離脂肪酸が毒性を発揮して細胞を傷つけるということは、アルブミンとの結合可能な限界量(間値)を超えてしまっているということです。
 このような状態を招く原因は、間違った日々の食習慣なのです。特に、植物油(リノール酸)やトランス脂肪酸を多く摂り過ぎると、体内での脂質代謝が充分に行われず、血液中の遊離脂肪酸濃度が高い状態になることが分かっています。
 このような状態になれば、ストレスなどのわずかな刺激であっても、片頭痛の引き金となる脳血管内の血小板凝集が起きてしまいます。


  以上のように後藤日出夫先生は述べておられます。

 
「解糖系」と「ミトコンドリア系」


 エネルギーの産生システムは、「解糖系」と「ミトコンドリア系」という2つのプロセスに分けることができます。
 解りやすく言いますと、人間には細胞内に、性質の異なる2つのエネルギー工場があるのです。


 「ミトコンドリア系」は、ミトコンドリア内で、酸素を使って高体温の環境で働きます。グルコース(ブドウ糖)1分子当たり、36分子(計38分子)のATPが生成されます。 「解糖系」の18倍、あるいは19倍の効率で、安定的にエネルギ―をつくり出すことができます。骨格筋(赤筋)、心筋、脳神経細胞、卵子、一般の細胞などは、ミトコンドリア系のエネルギ―を主体に活動します。
  ミトコンドリア内でのATPの産生は「TCAサイクル」と「電子伝達系」です。
 例えば、瞬時にエネルギーが生み出せる解糖系=無酸素運動は、短距離走のように素早い動作を行うときに必要になります。実際に試してみると分かりますが、人は全速力で走るとき、息を止めて無酸素状態になっています。
  そうでなけれは全力疾走はできません。素早い動作というのは、すべてが嫌気性の無酸素運動なのです。もちろん、無酸素の世界は長続きできるものではありません。
  全速力で走るとすぐに疲れ、動きが止まってしまいますが、それはブドウ糖が分解される過程で疲労物質である乳酸などが作られるからです。そのため持続力が必要になるときには、解糖系からミトコンドリア系のエネルギーに切り替わります。
  マラソン選手のように長時間にわたって運動が持続できる人は、ミトコンドリア系をうまく活用しているのです。


 このため「解糖系」と「ミトコンドリア系」の2つのエネルギー産生のバランスがとれた生き方を心がける必要があります。


細胞内のエネルギーシステムは、年齢により変化します


 エネルギー産生の仕組みには、解糖系とミトコンドリア系の2つのがあります。
 解糖系とミトコンドリア系のエネルギーを必要に応じて使い分けています。
 この、両者の調和がとれてこそ、健康が保てるのです。
 「解糖系」は、酸素を使わず、糖質を分解してエネルギ―をつくり出します。
 「ミトコンドリア系」は、酸素を使って、食事で得られた糖や脂肪、タンパク質や解糖系で生まれたピルビン酸を材料にエネルギ―をつくり出します。


 そして、年齢によっても変化します。


・20歳位までは、解糖系が優位
・20~50歳代:解糖系とミトコンドリア系の比率が1対1
 (年代により、多少の比率は変わります)
・40~50歳代:解糖系からミトコンドリ系への移行が強くなります。
・60歳代以降:ミトコンドリア系が主体


乳酸アシドーシス


 解糖系が働きやすい環境は、低体温、低酸素、高血糖の3条件です。
 主として解糖系でエネルギーを得ている「低体温」「低酸素」「高血糖」の状態が、エネルギーの低下した状態なのです。
 解糖系でATPを作るには、大量の糖質が必要になり、大量の乳酸を排出して身体を酸性に傾けます。ということは、糖質を過剰に摂取すれば、エネルギー産生系は解糖系に傾くことを意味しています。
 糖質の過剰摂取は糖尿病だけではなく、人類の万病のもとです。
 解糖系のエネルギー産生が高まると、炭水化物(ブドウ糖)からエネルギーを作り、その際に副産物として乳酸が産生されます。ミトコンドリア系が十分に働いている場合は、副産物の乳酸も栄養としてエネルギー産生に使われます。しかし、ミトコンドリア系のエネルギー産生能力が低下しておれば、乳酸がエネルギー産生のためにミトコンドリアで利用されないため、細胞内で乳酸が余った状態になります。
 酸性である乳酸が細胞内で余っていくと、慢性的な「乳酸アシドーシス」(pHが本来の状態よりも酸性側に傾く)状態になります。「乳酸アシドーシス」は、乳酸の過剰産生、代謝低下により起こります。このようにして、乳酸アシドーシスの状態になると、ミトコンドリア系はますます働きが悪くなります。


 ミトコンドリアの機能が低下するのは、「低体温」「低酸素」「血液の酸性側への傾き」の状態です。このような状況になると、ミトコンドリアの機能低下によって十分なエネルギー(ATP)が得られないため、解糖系のエネルギー産生が盛んになります。
 このようにして、ミトコンドリア系は働かなくなります。
 ミトコンドリア機能が悪くなれば、解糖系が作ったピルビン酸・乳酸を代謝(還元)できませんので、必ず乳酸が溜まることになります。
 「後天性ミトコンドリア病」(ミトコンドリア系の働きが悪くなれば)になれば、乳酸アシドーシスになるのは、そのためです。
 糖尿病、片頭痛やガンを治すには、高体温、高酸素、低血糖の状態にして、ミトコンドリア系にシフトしていく必要があります。そのためには、ストレスを少なくして(ストレスにうまく対処して)、副交感神経優位の状態に戻していかなくてはなりません。


 もう一度、繰り返します。


 主として解糖系でエネルギーを得ている「低体温」「低酸素」「高血糖」の状態が、エネルギーの低下した状態なのです。こうした状況に置かれることにより片頭痛という”症状”が出現することになります。


 片頭痛という”症状”が起きないようにするためには、高体温、高酸素、低血糖の状態にして、ミトコンドリア系にシフトしていく必要があります。そのためには、ストレスを少なくして(ストレスにうまく対処して)、副交感神経優位の状態に戻していかなくてはなりません。


ミトコンドリア系の働きを本来の姿に戻すには、


 先述のように、エネルギー産生の仕組みには、解糖系とミトコンドリア系の2つのがあります。この、両者の調和がとれてこそ、健康が保てるのです。
 解糖系とミトコンドリア系の2つのエネルギー産生のバランスがとれた生き方を心がける必要があります。
 主として解糖系でエネルギーを得ている「低体温」「低酸素」「高血糖」の状態が、エネルギーの低下した状態なのです。
 この「低体温」「低酸素」「高血糖」を改善することなしには、治療効果が上がりにくいし、治療効果も長続きしにくいのです。
 治療効果を上げ、治療効果を長続きさせていくには、体温を上げ、酸素を多く取り込み、血糖を下げる必要があります。このような状態になると、解糖系と比べて効率の良いミトコンドリア系のエネルギー産生が上がって、エネルギーが高まっていきます。
 このエネルギーが高まった状態(病気になる以前の状態)になると、治療効果は上がりますし、治療効果が長続きするようになります。また、治療をしなくても、体が勝手に治していくという本来の状態に戻っていくわけです。
 すなわち、ホメオスターシス(自然治癒力)が働く状態です。


 ミトコンドリア系の働きを本来の姿に戻すには、「低体温」「低酸素」を改善するとともに、ビタミンとミネラルが不足しない状況にすることが大切です。
 ミトコンドリア系では、ATPを作るために、クエン酸回路を働かせます。
 この際に、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、 葉酸、ビオチン、ビタミンCといったビタミンが必要になります。
 ビタミンB2はミトコンドリアの電子のやりとり(電子伝達によりエネルギーを産生する)を円滑にします。
  腸内細菌は、ビタミンB1、B2、B6、そして、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ナイアシンというビタミンB群、さらにビタミンKを合成する能力を持っています。
  このため、腸内環境を整えることが極めて重要になっています。


 脳に存在し、精神を安定させる神経伝達物質、セロトニンの95%が腸で作られることが指摘されています。
 なぜ腸内環境を大事にしたいかといいますと、腸内の常在細菌もトリプトファンからナイアシン(ビタミンB3)を作ってくれるからです。常在細菌がナイアシンをたくさん作ってくれれば、その分を体内で作る必要がなくなって、脳内セロトニン用の材料となるトリプトファンを余分に確保できるのです。
  腸内環境が悪いとセロトニンもスムーズに分泌されないことが判明しています。
  便秘や暴飲暴食による腸の疲労状態を改善することが、幸せかどうかを感じることに大きく関係しています。


  電子伝達系があるミトコンドリア膜には鉄は必須です。貧血や鉄欠乏貧血など鉄の不足があると、TCAサイクルや電子伝達系での反応が進みにくいため、エネルギー不足で疲れやすい、強い冷え症(低体温)などの症状が発現し、また脂肪が燃えにくくなります。
  このように、鉄分の不足は、ミトコンドリアのエネルギー代謝がスムーズに行かなくなります。その結果、機能低下を招くことになります。そして、片頭痛を引き起こしやすくなってきます。


エネルギー効率を上げる方法


  主として解糖系でエネルギーを得ている「低体温」「低酸素」「高血糖」の状態が、エネルギーの低下した状態なのです。
  この「低体温」「低酸素」「高血糖」を改善することが大切になってきます。


 体温を上げるには、体を冷やさないことです。冷蔵庫から出してすぐの食べ物や飲み物を避ける、体を冷やす服装をしないことです。また、湯たんぽやカイロや入浴で体を温める、適度な運動を心がけるといったことを行ってください。
  酸素を十分に取り入れるには、深呼吸です。深呼吸は酸素を十分に取り入れるだけでなく、横隔膜を大きく動かすので、静脈血やリンパ液の流れをよくします。また、姿勢に注意してください。猫背や前屈みの姿勢ですと、胸郭を大きく開いての深呼吸ができなくなります。「体の歪み(ストレートネック)」は是正・改善に努めなくてはなりません。


 さらに、食事に気をつけてください。エネルギー源になるのは、糖質(炭水化物)と脂肪です。解糖系でもミトコンドリア系でも、糖質が胃や腸で分解されたブドウ糖をエネルギー源としています。消費エネルギーのうち、およそ60%は糖質が望ましいといわれています。現代の食生活は、主食である「糖質(炭水化物)」が少ない状態になっています。
  睡眠も、エネルギーと大きな関わりがあります。脳の重さはおよそ体重の2%ほどですが、消費するエネルギーは、目覚めているときで、体全体の 20 %ほどだと言われています。起きている間は、エネルギーを作り出して心身を活動させているわけですが、睡眠中はその作用を抑えてエネルギー源を保存しています。深いノンレム睡眠では、エネルギーの消費量は、目覚めているときの40 %程度に下がっています。
  したがって、睡眠時間が短いと、エネルギーを消費しやすくなります。
  また、前向きな「プラス思考」も、行動を促し、結果として体温を上げていきます。うつ状態で低体温の方でも、プラス思考ができるようになって、行動を起こすことができたら、体温が上がってうつの状態から抜け出すことができます。


 もっとも、「低体温」「低酸素」「高血糖」はバラバラで現れているわけではありません。 体温が上がってくれば、低酸素の状態から抜け出し、血糖値も下がります。酸素を取り入れる呼吸をすることで、体温も上がり、血糖値も下がります。


片頭痛の生涯経過


(1)小児、子供の片頭痛では


 子供時代は解糖系が優位ですが、とくに、10 歳以下では、「解糖系の優位」が顕著になっています。
  子供は解糖系ですので、瞬発力できびきび遊びますが、乳酸が貯まり易くすぐ疲れます。エネルギー効率が悪いので、10時や3時のおやつも含めて沢山食べる必要があります。
 成長とはまさに全身で活発に細胞分裂が起こっていることです。こういう子供特有の性質は大体18 歳から20 歳で終わり、成長が止まります。
 子供の片頭痛の特徴として、特に10歳以下の子供に、急に頭痛が起こることがあります。 具体的には、つい先程まで元気に遊んでいたと思ったら、急に顔面蒼白となって元気がなくなり、しばらくすると何事もなかったかのように再び遊び出したりします。このようなことから、朝ごはんを食べないことが、片頭痛の発作に引き金になってきます。
  10歳以下の片頭痛の子供では、生まれつきミトコンドリアの働きの悪さを母親から受け継いでいるため元々、子供では、エネルギー産生系は解糖系が主体になっていることから、つい先程まで元気に遊んでいても、すぐにエネルギー切れになります。運動中に、容易に、活性酸素が生み出されることによって、片頭痛発作を誘発してきます。
 ここに、朝ご飯を抜けば、エネルギー源となるブドウ糖が足りなくなり、体操の授業後には、まさに「ガス欠」になってしまい、発作を誘発させてきます。
 一眠りした後に頭痛が軽快することはよく経験されます。これは、寝ている間に、活性酸素等で傷ついたミトコンドリアが修復されることによって、頭痛が軽快したものと思われます。


脊柱のS状湾曲の形成過程


 生後、脊柱はC状のカーブを示しているだけです。それから3、4ヶ月に入り、寝返りや首をもたげる動作を始めると、頸部は前方凸のカーブを示してきます。お座りができるころには、腰部にわずかながら前方凸のカーブができ始めます。生後1年後くらいして、立ち上る練習を繰り返しているうちに、腰の前方凸カーブが完成され、S字状の脊柱カーブ、つまり人間特有の背骨(大黒柱)ができあがります。しかし、まだ完成された形ではありません。
 立ったり、歩いたり、人間としての動きが繰り返されているうちに、股関節や膝の関節も真っ直ぐになり、筋肉も立位を維持し、活動していけるように強化され、一人前の人間の姿が完成されるのです。つまり、上体を垂直にして立つ人間は、頸部と胸部と腰部に、交互に凹凸のカーブをつくり、力学的な負荷を軽減する構造になっているのです。
 こうして、二本足で立つ人間の腰には、前方凸のカーブができるべくして出来あがったわけですが、ゴリラや類人猿、あの北京原人でさえ腰のカーブをつくり、脊椎起立筋群は歩くことによって強化されていきます。


 このように子供ではS字状の脊柱カーブは完成していません。
 ということは、子供の頃では「準”ストレートネック”」の状態にあります。


 こうしたことから、子供さんの片頭痛は、大人の片頭痛と異なり、緊張型頭痛のようなパターンを示すことが多く、そして痛む時間も4時間以下であることがほとんどです。
 年少児の片頭痛は両側性(前頭側頭部)である場合が多く、成人にみられる片側性の頭痛パターンは思春期の終わりか成人期の初めに現れるのが通例です。
  こうした点は、子供の慢性頭痛の発症様式は、大人の片頭痛の発症様式を典型的に示しているといえます。子供の片頭痛は、大人の場合の緊張型頭痛と片頭痛の中間に位置するような「頭痛のタイプ」と考えられます。
 ですから、子供の場合、緊張型頭痛か片頭痛なのか、といった区別(鑑別)すること自体”意味のない”ことであり、一括して”脳のなかに異常のない慢性頭痛”として考えるのが対処しやすいことになります。


 片頭痛の発症には、神経伝達物質のセロトニンが関与しており、セロトニンに限らず神経伝達物質は、受容体という鍵穴にはまることで細胞に作用します。
 子供の場合は、脳のセロトニン受容体が未発達で、セロトニンと受容体の結びつきが希薄なために、頭の痛みが生じにくいと考えられています。
  セロトニンは小腸などの消化管の粘膜に多く存在するため、おなかの症状が強くでることが少なくありません。
  人体のセロトニンの90 % 以上が腸内にあり、腸内セロトニンの働きは、脳内セロトニンとは全く異なります。腸内セロトニンは、人間がストレスを感じれば感じるほど大量にでます。その結果、腸に不規則な蠕動運動が起こり、腹痛や下痢の原因になります。


(2)思春期の 20 歳位までは、 


 この時期で大切なことは、エネルギー産生系は、まだ、解糖系が優位になっています。 ということは、ミトコンドリア系は優位にはなっていません。
 ですから、この時期にミトコンドリアの働きを悪化させる要因が加わることによって、益々、ミトコンドリアを弱らせることになります。
  そうなれば、セロトニン神経系の機能まで低下することになります。
  この時期はミトコンドリア系は優位になっていませんので、セロトニン神経系も脆弱な状態にあり、ストレスの影響をダイレクトに受けることになります。
  ですから劣位にあるミトコンドリアを保護するためにも、規則正しい生活が求められ、睡眠時間を減らさないことです。これが原則です。高校受験のため睡眠時間を削って勉学に励むようになってから、片頭痛を発症させる例が多いのはこのためです。
  このように、この思春期の片頭痛を改善させるためには規則正しい生活をし、睡眠を十分にとることが如何に大切かが理解されたと思います。


 子供の場合、起立性調節障害を合併するころが多いようです。
  起立性調節障害は、小学校高学年から高校生くらいの年代の若い世代の主に第二次成長期くらいの女の子の場合は初潮の始まる頃に、精神的なプレッシャーや夜更かしや寝る直前のスマートフォンなどが主な原因となって引き起こされると言われています。
  寝る前のスマホの操作は、睡眠の乱れを起こします。
  夜中にベッドで、「眠くなるまで」のつもりでスマホやタブレットを使っていたらかえって目が覚めてしまった、という経験はありませんか? 
  これはまさに、メラトニンの分泌が抑制されたことによる症状と言えます。
  スマホによって、ブルーライトの長時間の暴露(浴びること)によって、メラトニンの生成が抑制されます。メラトニンとは脳内で分泌されるホルモンの一種で、人間の眠気を誘う物質です。メラトニンが抑制されるということは、つまり体内時計(サーカディアンリズム)が狂ってしまうことに繋がります。
  このようにして、脳内セロトニンは低下してきます。
  このようにして引き起こされた「脳内セロトニンが低下」することによって、自律神経の調節がうまくいかなくなり、交感神経と副交感神経の連携がうまく働かない状態によって「起立性調節障害」が引き起こされてきます。
  また、スマホを長時間操作することは、前屈みの姿勢を強制させることになります。
  このようにして、「起立性調節障害」を作らないように配慮します。


 このような「精神的なプレッシャーや夜更かし」は、セロトニン神経系を減弱させ、「ホメオスターシスを乱す」ことにより、自律神経の調節がうまく働かなくなります。
  さらに、女性は男性に比べて元々セロトニンの脳内合成が少ないので、ストレスを感じるような状況におかれると、脳内セロトニンが枯渇状態になってしまいます。
  セロトニンが枯渇状態になれば、自律神経系の調節がうまく行われなくなります。
  そして、片頭痛に起立性調節障害を伴う場合には、元々生まれつきミトコンドリアの働きが悪い状態にあります。そうなれば、同時にセロトニン神経系の機能は悪化しています。 ここに先程の精神的なプレッシャーや夜更かしや寝る直前のスマートフォンをするような生活習慣が加われば、脳内セロトニンの低下を招くことになり、自律神経系の調節がうまく行われなくなり、結果的に、起立性調節障害を起こしてくることになります。
  最近では、中学生の時代からスマホを買い与える家庭が多いため、親としてはこの操作時間帯、操作時間までも気を配る必要がでてきたように思われます。


(3)20 ~ 50 歳代の片頭痛では


 20 ~ 50 歳代では、解糖系とミトコンドリア系の比率が1対1(年代により、多少の比率は変わります)であることから、解糖系が同比率で働いていますが、解糖系が働きやすい環境である「低体温、低酸素、高血糖」の状況になることによって、この年代では片頭痛発作を繰り返すことになります。


日常的にストレスが持続すれば・・


 ストレスは慢性頭痛を悪化させることが経験的に知られています。その理由は・・
 日常的にストレスの多い忙しい生き方が続いていると、自律神経のなかの交感神経が優位に働くことにより血管は収縮し血流障害(「低酸素」)と「低体温」、を招きます。
 ストレスが持続すれば、マグネシウムを枯渇させてくることになり、マグネシウムは、体中のインスリンの作用を応援する役割を持っていることからマグネシウムが不足すれば、「高血糖」を来すことになります。
  このため、解糖系が働きやすい環境である、「低体温」、「低酸素」、「高血糖」の3条件が引き起こされてくることから、ミトコンドリア・エンジンが働くなり、慢性頭痛を起こしやすくしてきます。
  ただ、30歳以降から45歳代の頃は、ストレスも多くなる時期ですので、ストレス対策の目的で、合わせて、「脳内セロトニンを増やすこと」が必要になってきます。


「酸素不足・・低酸素」と片頭痛の関係


 片頭痛を治療するため、心臓に開いた小さな穴を閉じる手術が行われていますが、これは卵円孔と呼ばれる2ミリ程度の心臓の小さな穴を、金属製の2枚の栓で挟み込み、塞ぐ手術のことです。
 卵円孔開存とは、端的に表現すれば「静脈血が動脈内に混ざってしまう」ことにあります。卵円孔と呼ばれるわずか2ミリ程度の心臓の小さな穴ですが、これが1回の心拍に伴うことになり、極めて取るに足らない程度の酸素不足にしかならないはずのものですが、これが常時継続することになり、トータルで考えれば、卵円孔開存の有無によって、酸素不足の状況は計り知れないものとなるはずです。
  このように卵円孔開存を有することによって、潜在的に「酸素不足」の状況に置かれているものと考えなくてはなりません。この手術により片頭痛が起きなくなっています。
  また、猫背や前屈みの姿勢ですと、胸郭を大きく開いての深呼吸ができなくなります。 こういった些細なことも「酸素不足」の要因になってきます。
  このため、片頭痛治療上、「体の歪み(ストレートネック)」の改善は必須になっています。


 (4)40 歳を超えた方々の片頭痛


 40 ~ 50 歳代では、解糖系からミトコンドリ系への移行が強くなります。
  皆さんのなかで、40 歳を超えてから片頭痛が一段と増悪してきて、お困りの方々も多いのではないでしょうか?


 この時期では、女性ホルモンの一つ、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が減ってきて、やがて分泌されなくなります。こうした体の変化がホットフラッシュ(のぼせ)・ほてり・発汗・イライラ、うつ症状といった更年期の症状(更年期障害)を引き起こしていると考えられています。
 この時期は、エストロゲンの分泌低下に伴って、ミトコンドリアの働きを悪くする活性酸素の増加してきます。エネルギー産生系も解糖系とミトコンドリア系のバランスがとりにくい時期に相当します。


 生理時に片頭痛が起きれば、どなたでも毎月のことであり、さほど気にされない方も多いのではないでしょうか?(生理時の片頭痛で困る場合は、トリプタン製剤が余り効かない場合に問題にされる場合ぐらいでしょうか)
  ところが、40 歳を超えてから片頭痛が一段と増悪してくる場合は、悲惨な方々が極めて多いのが特徴です。このように至る理由は、いろいろあります。


 それは、生理時の片頭痛では、市販の鎮痛薬が初めは効くため、そのまま続行され、これが服用回数が次第に増えることによって、片頭痛が増悪することがよくあります。
これは、薬剤乱用頭痛に至って、増悪してきます。このことは、これまで述べたことです。
 ところが、このような市販の鎮痛薬でなく、トリプタン製剤を頻回に服用することによっても起きてきます。これまで、トリプタン製剤が片頭痛の特効薬とされ、これを発作時に毎回服用しさえすれば、片頭痛は治ってしまい、さらにパニック障害やうつ状態、冷え性までが改善され、将来的には脳過敏症候群や脳梗塞が予防できるとされ、まさにトリプタン製剤は”万能薬”とまでされることから、皆さんは、ただひたすら片頭痛発作時に服用することによって、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛に陥いられ、人生最悪の頭痛地獄に陥入り、苦労されている方々も増えてきています。
 こういったことから、市販の鎮痛薬やトリプタン製剤を服用して、頭痛さえ治まれば安心・安閑としていてはなりません。必ず、後々ツケが回ってきます。


 40 歳を超えてきますと、コエンザイムQが低下してくることによって、ミトコンドリアにおいてエネルギーが十分に産生されなくなってきます。特に脂質です。
 脂肪は燃焼するには、まず、燃えやすい遊離脂肪酸に変化し、血液の中に流れ出します。 そして、各細胞内のミトコンドリアへと流れていきます。遊離脂肪酸は”L-カルニチン”・コエンザイムQがないと、ミトコンドリアの中に入ることができません。
 この2つが不足すれば、脂質は燃焼されないことになります。
 このため遊離脂肪酸が血中に高濃度になり、片頭痛を引き起こすことになります。
 体の中で消費されずに貯まった脂肪分は、プロスタグランジンの原料になります。体の中には脂肪分が余っていますから、プロスタグランジンも多く作られてしまいます。
  緊急時には、細胞が脂質を分解して、私たちの体を守る物質を作ってくれます。
  例えば、私たちの体に病原菌などが感染してしまったとき、病原菌が感染した周囲の細胞からプロスタグランジンやロイコトリエンという物質が、細胞膜の脂質から作られます。 プロスタグランジンやロイコトリエンは、病原菌を退治してくれる白血球という細胞を病原菌が感染した部位に集める役割を持ちます。オメガ6からのアラキドン酸が問題です。
  このようにして、片頭痛が出現しやすくなります。


 さらに、この年齢では抗酸化物質であるスーパー・オキサイド・ディスムターゼ SODの産出能力は25歳から下降しはじめ、40歳を過ぎて急速に低下してきます。このようなことから活性酸素が過剰に残存することによって、ミトコンドリアの機能は低下します。 過剰に残存する活性酸素が片頭痛発作の原因にもなってくるため、発作は増強してくることになります。コエンザイムQも同様です。 
  さらに、「体の歪み(ストレートネック)」も片頭痛の増悪要因になってきます。


(5)60 歳以降では・・


 60 歳以降では、解糖系がほとんど機能しなくなるため、本来であれば(トリプタン製剤が片頭痛治療の世界に導入される以前の時代では)、片頭痛は自然に消滅していました。
 ところが、片頭痛治療の世界にトリプタン製剤が導入されて、これを発作の都度頻繁に服用することによって、ミトコンドリアの機能を悪化させることによって、なお解糖系のエネルギー・システムが残存することによって、片頭痛が継続してきます。なかには 70 歳過ぎても発作に苦しめられる場合もあります。
  このようにトリプタン製剤が導入されて以降様相が変化してきています。

 

 

 

 

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  頭痛が気になったら・・
    
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