慢性頭痛の発症過程 | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 慢性頭痛は以下のような段階を踏んで発症してきます(表2)


第1段階 「酸化ストレス・炎症体質」の形成
第2段階 姿勢の悪さ
第3段階 ホメオスターシスの乱れ(自然治癒力の低下)

 

 1.自律神経系・・セロトニン神経系→脳内セロトニンの低下
 2.内分泌系・・生理活性物質・・オメガ3とオメガ6のアンバランス
 3.免疫系・・腸内環境の悪化

 

第4段階 「脳過敏」を形成する要因
 

      1.ミトコンドリアの機能低下に”常習的な”マグネシウム不足
    2.脳内セロトニンの低下 → 枯渇
    3.体の歪み(ストレートネック)の形成と”長期間”の持続

    

 そして、緊張型頭痛と片頭痛の基本的な差異は、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”の有無でしかありません。
 

 もう少し詳しく述べてみます。

 「慢性頭痛」は、以下のような段階を踏んで発症してきます。
 
第1段階 「酸化ストレス・炎症体質」の形成
 
 (表1)のように私達の生活環境および生活習慣のなかには、ミトコンドリアの機能を悪くさせる要因に満ち溢れています。
 このため、ミトコンドリアの機能は低下してきます。
 これらの要因が、「酸化ストレス・炎症体質」を形成させ、慢性頭痛発症の基盤を作ってきます。まず、この体質を作らないように、日頃からの備えが必要になってきます。
 そのためには、日頃から以下のことに注意しなくてはなりません。


  1)毎日の食事とともに摂取される有害物質をとらない
   2)腸内環境を整える
    3)解毒(デトックス)および解毒代謝能力を向上させる
    4)生理活性物質(エイコサノイド)のバランスをよくする
    5)インスリン過剰分泌を起こさない


第2段階 姿勢の悪さ


 私達の生活環境および生活習慣のなかには、ミトコンドリアの機能を悪くさせる要因に満ち溢れており、このため、ミトコンドリアの機能は低下してきます。ミトコンドリアの機能が低下すれば、当然、セロトニン神経系の機能が低下することにより、この両者によって、「姿勢の悪さ」が引き起こされやすい状況に置かれていることは、これまで述べたばかりです。
 私達の生活習慣は「前屈みの姿勢」を強制させる環境に置かれています。
 このため、この3者によって「姿勢の悪さ」が引き起こされてきます。
 この姿勢の悪さが、日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛を引き起こす1つの原因になっています。日頃から、姿勢を正しくする注意が必要です。


第3段階 ホメオスターシス(自然治癒力)の乱れ
 

  自律神経系・・セロトニン神経系の関与
  内分泌系・・生理活性物質・・オメガ3とオメガ6のバランス
  免疫系・・腸内環境の関与


 この第3段階のホメオスターシス(自然治癒力)を構成する3つの柱として、自律神経系、内分泌系、免疫系があります。
  自律神経系には、セロトニン神経系が、内分泌系として、生理活性物質が、免疫系には、腸内環境が関与しています。


 セロトニン神経系はミトコンドリアと連動し、自律神経を調節しています。
 生理活性物質のエイコサノイド は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、体のほとんどすべての機能を調節するホルモン様物質(局所ホルモン)・プロスタグランジンの原料となる不可欠な脂肪酸です。
 腸内には、ミトコンドリアが最も多く存在し、腸内環境の悪化はダイレクトにミトコンドリアの働きを悪化させることになります。


 このように、これら3つは、すべてミトコンドリアが密接に関与しており、「自然治癒力」を高めるためには、ミトコンドリアの働きを良好に保つことが必須になっています。
    

  この第2段階と第3段階で、これらが単独で、もしくは重なり合って、日常的に感じる極く軽度の頭痛が発症します。
 そして、これらの段階の各要因が残存し、さらに増悪し、重なり合うことによって、頭痛の程度が増強してくることになります。

 

第4段階 「脳過敏」を形成する要因
 

      1.ミトコンドリアの機能低下に”常習的な”マグネシウム不足
    2.脳内セロトニンの低下 → 枯渇
    3.体の歪み(ストレートネック)の形成と”長期間”の持続

 

 これらが慢性頭痛に片頭痛に特徴とされる症状が付加させることになります。すなわち、日常的に感じる極く軽度の頭痛が次第に増強することになり、片頭痛らしい頭痛(片頭痛の特徴とされる「脳過敏」が付加されて)へと変貌していくことになります。


 このように、慢性頭痛を発症させる要因は共通しているということです。
 換言すれば、当初の発症要因が継続して、持続・先鋭化してきたものです。
 そして、緊張型頭痛と片頭痛の基本的な差異は、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”の有無でしかありません。

 

  以上のようにして、慢性頭痛は片頭痛へと進展し、発症することになります。
 

女性の場合は、生理があります。


 生理周期によって、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)は、その分泌量は大きく変わります。
 特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が減ると、それに伴って神経伝達物質であるセロトニンも急激に減ります。
 つまり排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するためにセロトニンも減少→頭の中の血管が拡張して片頭痛が起こりやすくなります。
 このように、生理周期に関連して、脳内セロトニンが低下してきます。


 さらに、女性は健常男性より 約52%「脳内セロトニン」を産生する能力が低く、またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では「脳内セロトニン」合成が男性の4倍減少すると言われています。
  このため、女性では、潜在的に「脳内セロトニンの低下」した状況に置かれています。
 このように女性では、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量・・脳内セロトニンが重要な鍵を握っています。女性の慢性頭痛は女性ホルモンに大きく支配・左右されています。
 このようなことから、排卵日や生理の初日前後にはエストロゲンが減少するために、活性酸素が増加することによって、この過剰に増加した活性酸素が引き金になって、片頭痛発作を引き起こすとも考えられます。
 また、更年期になって、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下することによって、このことが問題の中心になってくることになります。


 このように、慢性頭痛発症の要因として、以下の3つの大きな柱があります。


    1.ミトコンドリアの関与
    2.セロトニン神経系・・脳内セロトニンの低下
   3.「姿勢の悪さ」→「体の歪み(ストレートネック)」 


  これら3つの要因は、ミトコンドリアが中心的な役割を果たしています。


 以下、慢性頭痛の発症の様相を具体的に、分析的に考えてみることにしましょう。


 「慢性頭痛」は、どのようにして発症してくるのでしようか


 ミトコンドリアの機能を低下させる要因を取り除かなければ、最終的に、「酸化ストレス・炎症体質」を形成させ、慢性頭痛を発症させる素地・基盤を形成することに繋がってきます。


   「酸化ストレス・炎症体質」の形成過程
      
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12643918554.html


 まず「慢性頭痛」の起点は、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”です。
 「慢性頭痛」発症のスタート(起点)となるのは、私達が”日常的に感じる極く軽度の頭痛”です。この原因は、以下の7つがあります。それは


      ”日常的に感じる極く軽度の頭痛”
       
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12643934138.html

 

1.すべての始まりは、”うつむき姿勢(前屈みの姿勢)”にあります


 私達は、日常生活を送る上で、前屈みの姿勢を強制される生活環境に置かれています。
 特に、女性の場合は、炊事・洗濯・掃除を行う際に”前屈みの姿勢”を日常的にとっています。
 さらに職場では、事務系の仕事が多いためパソコンの操作を終日行うことになります。 仕事が終われば四六時中スマホ・携帯を覗き込む姿勢をとっています。現代社会はスマホ全盛の時代で、歩きスマホをされるご時世です。


 こうした前傾姿勢は知らず知らずのうちに後頸部の筋肉に負担をかけることになります。

 ここにさらに、イスに座るとつい脚を組んでしまう、ヒールの高いクツを長時間履いている、立っている時は大抵どちらかの足に体重を乗せている、横座りをする、立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い、いつもどちらかを下にして横向きに寝ている、または、うつ伏せになって寝ている、長時間座りっぱなしの仕事、イスやソファーに浅く座ってしまう、バックなどはいつも同じ方の肩にかける、重たい物を持つ仕事をしている、赤ちゃんをダッコしていることが多い、などの無意識に、体を捻るような、”おかしな体の使い方”をしていますと、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤の歪みから脊椎(背骨)の歪み・捻れが生じてきます。仙腸関節のズレは、脊柱に影響が及びひいては頸椎にまで及んで、”脊柱全体の捻れ”を最終的に引き起こしてきます。


 人間の背骨(脊柱)はS状の湾曲を呈しています。人間は直立位を保っていますから、背骨が一直線ですと、全体重が下方の背骨に掛かることにより、すぐに下部の背骨がダメになってしまいます。こうしたことにならないように脊柱はS状の湾曲を呈しています。 S状の湾曲を示すことによって体重の掛かり方を分散させています。ということは頸椎は前に湾曲を示していることになります。ところが、頸椎が一直線で、なおかつ前に傾斜・左右いずれかに傾いて(捻れて)おれば、バランスがとれず後頸部の筋肉の片側だけに張力が常に加わることになり、これが肩こりに繋がり、この”こり”が上部へと拡がることによって鈍い痛み、締め付けられるような痛みとなってきます。
 この”左右いずれかに傾いて(捻れて)”いなければ、症状は引き起こされません。
 これが、日常的に感じる極く軽度の頭痛です。
 日常的に感じる極く軽度の頭痛は、姿勢の悪さに前屈みを強制される生活環境によって引き起こされ、「体の歪み(ストレートネック)」が形成される以前の段階において出現してきています。”姿勢の悪さ”は習慣的なものです。意識すれば、元の状態に戻ります。

 

 このようにして、日常的に感じる極く軽度の頭痛が引き起こされてきます。


  ”日常的に感じる極く軽度の頭痛”
    
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12643934138.html


2.さらに「ホメオスターシスの乱れ(自然治癒力の低下)」が関与してきます。


 「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。


1)自律神経の関与


 ストレスは自律神経を乱す根本的な原因になっています。
 最初にも述べましたように、私達はストレスが重なりますと、頭痛を肇としていろいろな体調不良を訴えてきます。
 日常的にストレスの多い忙しい生き方が続いていると、自律神経のなかの交感神経が優位に働くことにより血管は収縮し血流障害(「低酸素」)と「低体温」、を招きます。
 ストレスが持続すれば、マグネシウムを枯渇させてくることになり、マグネシウムは、体中のインスリンの作用を応援する役割を持っていることから不足すれば、「高血糖」を来すことになります。
 このため、解糖系が働きやすい環境である、「低体温、低酸素、高血糖」の3条件が引き起こされてくることから、ミトコンドリア・エンジンが働かなくなり、「酸化ストレス・炎症体質」を形成することにより、慢性頭痛を起こしやすくしてきます。


 また、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与しています。
  ”セロトニン神経系”の機能の低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
 慢性的にストレスに晒されることによって、「脳内セロトニン不足」を来すことによって、痛みの制御ができなくなって、頭痛を感じやすくなります。


2)内分泌系の問題・・生理活性物質の関与


 必須脂肪酸である「アルファ・リノレン酸(オメガ3)」と「リノール酸(オメガ6)」は、体のほとんどすべての機能を調節するホルモン様物質(局所ホルモン)・プロスタグランジンの原料となる不可欠な脂肪酸です。
 現在、プロスタグランジンの材料となる「オメガ6」は大量に摂取されています。そのうえ大半の人々は、肉・乳製品・卵などの動物性食品を多く摂っていますが、そうした食品には直接「アラキドン酸」が含まれています。
 そのためアラキドン酸由来のプロスタグランジンが大量につくられ、炎症を悪化させるプロスタグランジンだけが過剰に生成されることになります。
  現在のような「オメガ3欠乏」の状態では、圧倒的に「アラキドン酸」由来のプロスタグランジンが生成されることになります。
 プロスタグランジンの原料になるのは食物の中に含まれる脂肪です。
 このため、脂肪分の多い食事を摂り過ぎますと、炎症を悪化させる”生理活性物質”であるプロスタグランジンが産生され、頭痛・痛みそのものが出現しやすくなります。
 実際に、このようなことは、”刺激を受け組織が損傷すると、まず細胞膜にあるリン脂質はアラキドン酸に変わり、更に体内にあるシクロオキシゲナーゼという酵素の働きにより発痛増強物質プロスタグランジンが生成される”といった場面で起きることです。
(プロスタグランジンは、熱感や腫れ、発痛の増強作用があります。)


3)腸内環境の悪化


 実は、便秘が頭痛の原因となることがあるというのを知っていますか。
 便秘が続くと、頭が痛くなったり、お腹が苦しくなったり痛くなったりするだけではなく、肌荒れでニキビや吹出物、口臭がするなど、いろいろな体調不調が起こってきます。
 それは、便が腸内に留まることで腐敗し、有毒なガスを出すことによるものです。便秘している腸内からは、インドール、スカトール、アンモニア、アミンなどといった猛毒物質が発生しており、これらが腸から吸収され血液と一緒にあなたの身体中を巡ります。
 有毒なガスや腐敗した便は適度な時間に排出されませんと、再吸収といって、有毒なガスや毒素が腸の壁から血液中に取り込まれ、毒素が体に回ってしまうことで、さまざまな不調が起きてきます。
 その症状のひとつに頭痛も挙げられ、便秘が解消すると頭痛が治る人は便秘が原因だったということになります。
 便秘が続くと、体がだるくなるという人も多いのではないでしょうか。
 血液に有毒な物質が混ざって全身を巡ることで、筋肉にも毒素や疲労物質が貯まりやすくなり、体のだるい感じや肩こり、腰痛などを起こすのです。
 ここで忘れてはならないことは、ミトコンドリアは腸内に最も多く生息するもので、便秘によって腸内環境が悪化すれば、ミトコンドリアの機能が悪くなってくることです。


 このように、「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの要因の1つでも問題があれば、”日常的に感じる極く軽度の頭痛”を引き起こしてくることになります。
  これらが、すべて”日常的に感じる極く軽度の頭痛”を引き起こす要因になってきます。 また、これらの要因が重なり合って、次第に頭痛は増強してきます。


  ここに、さらに「運動不足」、「栄養のアンバランス」はミトコンドリアの機能を悪化させ、「健康的な生活」を送ることを阻害する要因になり、頭痛を増悪させます。

 
市販の鎮痛薬の弊害  

   https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12643939854.html


 私達は、このような日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、多くの方々は安易に「市販の鎮痛薬」を服用しています。
 

 このような日常的に感じる極く軽度の頭痛に対して、市販の鎮痛薬を服用を繰り返せばどのようになるのでしょうか。


 こうした市販の鎮痛薬すべては、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。
 これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせることによって、頭痛を増強させます。すなわち、市販の鎮痛薬が原因となって「後天性ミトコンドリア病」を作ってくることになります。
 また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、”痛みの閾値”を下げるため痛みを感じやすくさせるために、さらに、頭痛を引き起こしやすくなります。


 このようにミトコンドリアと脳内セロトニンの2つのが関与して、市販の鎮痛薬によって、「薬物乱用頭痛」を引き起こし、かえって頭痛を酷くさせる原因になってきますので注意が必要です。
 こういったことから、頭痛治療は、”薬剤乱用頭痛との戦い”といっても過言ではありません。このような”頭痛薬によって頭痛が引き起こされてくる”というジレンマがあることを知っておく必要があります。
 このため、「日常的に感じる極く軽度の頭痛」に対して、日常的にテレビで宣伝される通りに、市販の鎮痛薬を服用し、これまで述べてきましたような慢性頭痛の発症要因を念頭に置くことなく、お茶を濁しておれば、必然的に、頭痛は着実に増悪の”みちすじ”を辿ることになります。
 ここに、ご家族に片頭痛持ちの方がいらっしゃれば、着実・確実に「片頭痛」へと移行していくことになってしまいます。


第4段階の「脳過敏」を形成する要因が追加されてきます。

 

 このようにして、片頭痛の特徴ある頭痛へと変貌していくことになります。
 

      1.ミトコンドリアの機能低下に”常習的な”マグネシウム不足
    2.脳内セロトニンの低下 → 枯渇
    3.体の歪み(ストレートネック)の形成と”長期間”の持続

 

  「脳過敏」はどのように形成されるのか?
     
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12643927492.html


 1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足


 片頭痛の方は生まれつきミトコンドリアの機能低下が存在します。
 ここにマグネシウムが不足すればどのようになるのでしょうか?


 マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造において膜の安定性を保つ役割をしています。
 細胞膜にはミネラルイオンが通過できる小さな「穴」があり、これを使って必要なミネラルを自在に出入りさせることで細胞内のミネラルイオン濃度の調整しています。
 ミトコンドリアには、細胞内のカルシウムイオン濃度を適正に調整する作用があります。
 マグネシウムイオンが不足すると細胞内小器官(ミトコンドリア)の”膜構造のイオンポンプの力が弱くなり、細胞内小器官であるミトコンドリア膜の透過性も亢進し、ミトコンドリア内に入り込んだカルシウムイオンは、ミトコンドリア外へ出ていけません。
 このために、カルシウムはミトコンドリア内に少しずつ蓄積してきます。ミトコンドリア内カルシウムイオンの増加が起こります。このようにして、ミトコンドリア内カルシウムイオン濃度を薄めるために浮腫、つまり水ぶとりの状態になります。
  ミトコンドリア内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎますと、ミトコンドリアの調整機能は破壊されてしまいます。
 その結果、調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまいます。
  ミトコンドリアのエネルギー産生やミトコンドリア自体の生死には、ミトコンドリア内のカルシウムイオン濃度が強く関係していて、カルシウムイオン濃度は片頭痛の発症にも非常に大きな原因となります。
  このようになったミトコンドリアに、適量のマグネシウムが供給されると、貯まっていたカルシウムイオンなどが排出され、それに続き、水分も排出されますが、この水ぶとり状態も限度がありカルシウムイオンがある量を超えると、その細胞は不必要となり見捨てられます。そして、後にはカルシウムイオンなどで一杯になった固まりだけが残されます。 これが石灰化した細胞のことです。結果的に、この細胞は死滅してしまいます。
 ミトコンドリア内のマグネシウムが著しく不足すると、カルシウムイオンを細胞外に排出するカルシウムポンプの調整機能が働かなくなり、筋肉は収縮状態(緊張した状態)が続くことになります。片頭痛の前兆や、発症の引き金となる脳血管の収縮は、脳血管細胞内のカルシウム濃度の高まりによっても生じます。
 それはつまり、マグネシウム不足がもたらす結果でもあるのです。
 このようにして、マグネシウムイオンの低下はミトコンドリア内カルシウムイオンとナトリウムイオンの増加およびカリウムの喪失による細胞内でのカリウムイオンの低下を招きます。このようにして、細胞は興奮しやすくなります。
 これが「脳過敏」を引き起こしてきます。このようにしてマグネシウムイオンの減少はミトコンドリアの代謝異常をきたして、神経細胞を興奮しやすくすることになります。
 これが『皮質拡延性抑制』を発生させることになります。前兆の原因になります。


 これらは片頭痛の根本的原因として考えられているものです。


  片頭痛では、ミトコンドリア機能障害が生まれつき存在するために、ミトコンドリアはマグネシウムイオンの減少による影響をさらに受けやすくなることになります。
 マグネシウムイオンの低下は片頭痛発作の結果でなく発作の始まる前から存在しているのです。神経細胞の”興奮性の亢進”はマグネシウムイオンの減少の結果あるいはミトコンドリアの機能障害の結果として生じているものです。
 このようにして、「脳過敏」が形成されることになります。
 片頭痛とてんかんは密接な関係にあって,「片頭痛は本質的にてんかんの一種である」ことが強調されていますが 、”脳の興奮性の亢進”(所謂、”脳過敏”のことです)は、上記のことを示すものです。


  そして、マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせることに繋がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”にもなってきます。


  さらに追加すれば、1995 年に行われた研究では、マグネシウム不足が脳に強度の興奮をもたらし、逆にマグネシウムが興奮を落ち着かせることが分かっています。
 13 人の女性が初めの3ヶ月、1日に115 ミリグラムのマグネシウム(一日の推奨量の30 %にしかならない量)を摂取しました。その結果、脳波検査では強度の興奮性があることが分かり、その後の3ヶ月は、1日に315 ミリグラムを摂りました(推奨量の360 ミリグラムに近い数値)。そうしたところ、これだけの量の変化でもたった6週間後には脳波検査において、脳機能に大きな改善がみられ、興奮性が低下を見せたのです。


  このように、マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせることに繋がることになり、片頭痛を悪化させる”元凶”にもなってきます。
 このように、ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足が加わることによって、益々、ミトコンドリアの機能低下が増強し、「脳過敏」を引き起こすことになります。


2.脳内セロトニンの低下


 片頭痛はミトコンドリアの機能の低下することによって起きる頭痛です。
 ミトコンドリアの機能が低下すれば、当然、セロトニン神経系の機能が低下しています。
 ここに、”セロトニン神経系”の機能の低下に、生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や、“小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事”をとり続け、“運動不足”が重なると「脳内セロトニンの低下」が引き起こされてくることになります。
 特に、慢性的にストレスに晒されることによって、「脳内セロトニンの枯渇」を来すことによって、痛みの制御ができなくなって、痛みを感じやすくなります。
 脳内セロトニンの低下は、「衝動性、過敏性、こだわり、緊張」が強く現れ、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの五感すべてが過敏になり、わずかな刺激にも敏感に反応してしまい、さまざまな自覚症状を訴えるようになります。
 これが、「脳過敏」の3大原因のひとつになっています。


 「脳内セロトニンの低下」により脳が過敏になり、本来は痛くない刺激を痛みと感じるアロディニア(異痛症)が、片頭痛発症後5年くらい経過して出現することがあります。
 片頭痛患者が示す症状の中には、顔に風が当たると痛い、メガネやイヤリングが不快、髪を結んでいるのがつらい、くしやブラシが痛くて使えないといったものがありますが、これらは頭部アロディニアと呼ばれています。
 さらに脳が過敏になると、頭部だけではなく、手足のしびれや腕時計、ベルトが不快になることもあり、これらは頭蓋外アロディニアに分類されます。
 慢性片頭痛ではアロディニア症の程度が強いといったデータは既に報告されており、アロディニア症が片頭痛慢性化の重要な予知因子と考えられています。
 このアロディニア症(異痛症)は、「脳内セロトニンが減少している」ため”痛みを抑制する事が出来ず”に容易に痛みが出現しやすくなるということを意味しています。


3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続


 前屈みや俯き姿勢が長期間継続すれば、「体の歪み(ストレートネック)」最終的に、を引き起こしてきます。このため、後頸部筋肉群にかかった刺激は、常時、三叉神経核に送られ続けられることになります。
 すなわち、「体の歪み(ストレートネック)」のために、頭半棘筋に凝りが出ると、それが大後頭神経を刺激し、その刺激が三叉神経に伝わります。大後頭神経と三叉神経は脳の中で、三叉・頸神経複合体を形成していて、繋がっていますので、大後頭神経の刺激は三叉神経核にも伝わります。
 この経路は本来であれば、単なる交通枝であり、余り問題になるものではありませんが、「体の歪み(ストレートネック)」が改善されないまま、放置されることにより、”促通”という現象が形成されることにより、メインルートとなり、後頸部筋肉群にかかった刺激は、常時、三叉神経核に送られ続けられることになります。このため、痛み刺激が倍増してくることになります。このようにして「脳過敏」が形成されてきます。 
 これがさらに、「脳の過敏性」、「頭痛の慢性化」へと繋がっていくことになります。さらに「体の歪み(ストレートネック)」は「閃輝暗点」を引き起こす要因にもなっています。


 小橋 雄太さんはブログ「イミグラン錠副作用なしで片頭痛を治しちゃえ」で自らの体験を述べておられ、10年以上、閃輝暗点を伴う片頭痛に悩まされ、「体の歪み」に片頭痛発作の引き金があることに気付いて、当初は整体師さんの指導を受け、この指導を毎日忠実に守り・実行することによって片頭痛・閃輝暗点を一緒に改善されました。
 このようにカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々は「体の歪み(ストレートネック)」に対して施術され、閃輝暗点を改善されておられます。
 こうしたことから、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々からは、トリプタン製剤やカルシウム拮抗薬「ロメリジン」などの薬物では治るはずはないと唾棄される現実があるようです。


 私は「閃輝暗点」を伴う方々で、頸椎X線検査で「体の歪み(ストレートネック)」を呈する方々に対して、「体の歪み(ストレートネック)」を改善させることによって、閃輝暗点がどのようになるのかを検討してきました。
  60歳以上の方で、若い頃、片頭痛の既往のない方で「閃輝暗点」を訴えて来院された方々を15例経験していますが、これらの方々全例に「体の歪み(ストレートネック)」を認め、同様に「体の歪み(ストレートネック)」の改善」のみで、「閃輝暗点」は消失しています。
 これとは別に、若い世代の「閃輝暗点」を伴う片頭痛の場合も、当然「体の歪み(ストレートネック)」を伴っておられる方々に『「体の歪み(ストレートネック)」の改善』を行わせますと、前兆である「閃輝暗点」がまず消失してから片頭痛が改善されていくという経過をとっています。


 このような成績をみますと、閃輝暗点出現時の血流低下の状態をSPECTもしくはMRIで確認されますが、これは”閃輝暗点出現時”の”結末”を観察しているに過ぎないと考えるべきもので、あくまでもその引き金となるものは、頸部の異常な筋緊張”「体の歪み(ストレートネック)」”にあるものと考えるのが妥当と思われます。
 

その他の片頭痛の慢性化を引き起こす要因


 ミトコンドリアの機能を低下させる諸々の要因を取り除かない生活を送ることによって、「酸化ストレス・炎症体質」が増悪してきます。
 ミトコンドリアの機能が低下すれば、ミトコンドリアが「ホメオスターシスを制御」していることから、「自然治癒力」が低下することになります。
 このようにして、「ホメオスターシスの歪み」・「自然治癒力」が低下が引き起こされてきます。
 このように、ミトコンドリアの働きを悪く」させる要因を是正・改善しませんと「酸化ストレス・炎症体質」を基盤として、ここに「ホメオスターシスの歪み(自然治癒力の低下)」が引き起こされることによって、この段階から、片頭痛発作が”出没する”ことになります。


 この段階で、「治癒反応」である「頭痛(片頭痛)」を一般の鎮痛薬やトリプタン製剤で「ホメオスターシス(自然治癒力)」を一方的に抑え込むことによって、「治癒反応」が停止・固定され、その結果 片頭痛は慢性化し、悪化してきます。


 さらに、ここにホメオスターシスの三角を構成する3つの要素、「自律神経を整えること」、「生理活性物質のバランスをとること」、「腸内環境を整えること」すべてに問題が生じてくれば、「ホメオスターシスの三角」が崩壊し、自然治癒力は破綻してしまうことになり、ここで初めて「病気」としての慢性頭痛(慢性緊張型頭痛・慢性片頭痛)に至り、慢性化することになります。このように進展・慢性片頭痛へと移行してきます。
 「体の歪み(ストレートネック)」も慢性片頭痛の要因にもなってきます。


 このように、以上のような「頭痛の慢性化」を引き起こす要因が次々に追加されることによって、日常的に感じる極く軽度の頭痛が”難治性の慢性頭痛”へと進んでいくことになります。


 現実に、片頭痛全体の3割の方々は片頭痛を慢性化させ、苦渋を強いられています。この点は、極めて重要なことで、忘れてはならないことです。


  このように、慢性頭痛発症の要因には、


    1.ミトコンドリア
    2.セロトニン神経系
    3.「体の歪み(ストレートネック)」
   

 この3つが関与しています。この3つの要因はすべて、ミトコンドリアに関連したものであり、独立したものではありません。
 慢性頭痛発症には、すべて、ミトコンドリアが中心的な・根源的な役割を果たしていることになります。
 ミトコンドリアの働きが悪くなれば、当然、同時にセロトニン神経系の機能も低下することになり、この両者によって「姿勢の悪さ」から「体の歪み(ストレートネック)」が引き起こされてきます。これが慢性頭痛の基本骨格になっています。
 このように、慢性頭痛発症の要因(病態)は緊張型頭痛と片頭痛では共通しています。


 片頭痛では、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”があるために、この要因をモロに・ダイレクトに受けるということです。
 このため片頭痛では頭痛の程度が極めて激しくなります。
 これら3つの要因の影響の受け方の差異は、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”の有無でしかありません。
 問題は、このように遺伝素因として受け継がれた「ミトコンドリアの活性低下」の程度は患者さん個々では、全てが一律ではありません。 


 人により千差万別であり、極端に低下しておれば、小児期から片頭痛を発症してくることになります。
 それ程でもなければ、生後、ミトコンドリアの機能を悪化させる要因が加わって、傷つけられたミトコンドリアDNAの数が一定数を超えてエネルギー産生能力が低下する段階に至って初めて、片頭痛を発症することになります。
 このため、当然のこととして、発症時期も遅くなります。
 女性の場合、生まれつきセロトニンの産生能力が男性よりは悪いため、生理が始まる初潮の時期に発症することが多くなります。
 男性では、このような生理がありませんので、脳内セロトニンを低下させる要因(例えば、ストレス)が加わって、発症してくるため、20歳前後と多少遅くなってきます。


 日常生活に感じる極く軽度の頭痛を時々感じていた段階から、一足飛びに、ムチウチや首の外傷(打撲程度のものを含めて)を契機に、あるいは、それもこれらを受傷後、かなり経過して、このような外傷を受けたことすら忘れた時点で、片頭痛を発症したり、さらに片頭痛まで移行した段階でも、発作頻度もほとんど年に数回しか無かった方々が、このような外傷の後になって急激に、発作の頻度が増え、さらに発作そのものの程度が以前とは比べものにならない程、増強してくる場合が多くみられます。
 このような例は、ムチウチの場合は、すでに常識的なことになっていますが、ムチウチでなく、偶然、頭をぶつけたり、スキーをして転倒して、頭は打たなくても、首をひねったりするとか、野球でスライデイングをした拍子に首を捻ったりすることも含まれています。
 本人は、こうしたことを殆ど問題にされないため、既往歴を聞く際に、具体的な例を挙げながら確認しませんと聞き出すことが困難な場合も多いようです。
 そして、このような外傷を契機に片頭痛が出現したり、増悪する方々には、片頭痛の遺伝素因のある方は当然のこととしてありますが、このような片頭痛の遺伝素因が見られない場合が多いのも特徴のような印象を持っています。
 このような方々は、男性に多いのですが(スポーツ外傷が、男性に多いのは当然のことですが)こうした片頭痛が出現したり、増悪する時期が 30 歳を超えているのも特徴のように思われます。


 男性では、一般的な片頭痛の発症年齢は 20 歳前後とされていることからすれば、遅い時期に発症してきていると思わなくてはなりません。
 こうした頸部外傷さらにムチウチ受傷後に片頭痛が出現したり、増悪する方々に共通していることは、全員に「体の歪み(ストレートネック)」を認めることです。
 そして、閃輝暗点を前兆として伴っている方が多いようです。


 こうしたことから、日常的に感じる極く軽度の頭痛から片頭痛への移行する様相を、慢性頭痛発症の初期の段階から詳細かつ綿密に腰を据えて病歴聴取を行うことによって明確にされることになります。
 さらに「国際頭痛分類 第3版β版」に基づいた「慢性頭痛」そのものの「レベル診断」を行い、これを各患者さん毎に、経過を追って繋ぎ合わせれば、日常的に感じる極く軽度の頭痛から片頭痛への移行する様相は明らかにされてきます。
 このようにして、緊張型頭痛も片頭痛も一連の繋がった頭痛であることが明確にされることになります。

 

 ここでコマーシャルです。


  頭痛が気になったら・・
   
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12638708200.html