人間の腸の中には、およそ500種類以上、100兆個以上もの細菌が住んでいます。100兆個といえば、私たちの身体を形成する細胞の数よりも多く、その細菌を集めれば肝臓と同じくらいの重さになると言われます。腸内細菌の多くは、小腸の終わりから大腸全体にわたって住みつき、私たちの健康状態を決定する重要な働きをしています。
腸内細菌の住み家である大腸は、かつては最後の消化器官で、水分を吸収して便をつくるところ、老廃物の蓄積場所といった程度の認識しかなされていませんでした。
しかし腸内細菌の働きの重要性が明らかになるにつれ、大腸に対する見方も根本的に変わることになりました。
最近では“エコロジー”が人々の関心を集め、私たちを取り巻く環境の悪化や自然崩壊が、人類に多くの悪影響を与えていることが知られるようになってきました。ところが考えてみれば、私たちにとって最も身近で最大のエコロジー的世界とは、腸内細菌の世界であると言えます。人間と腸内細菌は、持ちつ持たれつの関係の中で共存しているのです。
「100兆個以上もの生き物が住みついて生命活動を行い、私たちの健康に重大な影響を及ぼしている」「人間は腸内細菌からさまざまな恩恵を受けて生命を保ち、腸内細菌は人間によって活動する場所を与えられ存在している」という事実は、人間の体に備わっている免疫システムの働きを考えると、とても神秘的で不思議なことなのです。
人間の免疫システムは、外部から侵入してくる細菌を強力に排除して、生命に危害が及ばないようにしています。免疫システムは、人間を病気に至らせる多くの病原菌や有害物を排除して人体を守ろうとします。腸内細菌は免疫の対象となる病原菌と同じように“細菌”なのですが、腸内細菌は免疫システムによって排除されません。この不思議な事実は――「腸内細菌が人体にとって有益な働きをするために、免疫システムが味方として認め、存在するのを許している」ということを意味しています。
腸内細菌がいなければ、私たち人間は細菌の海の中で生きていくことはできません。細菌は必要性があって腸内に住みつき、それによって私たちは自然界の中で生活することができるようになっているのです。
善玉菌と悪玉菌
腸内細菌は、私たちが食べたものをエサにして生命を維持し、さまざまな物質をつくっています。そうした細菌の中には、人間に有益な働きをする「有益菌」もいれば、逆に有害な働きをする「有害菌」もいます。これが一般に言われている「善玉菌」「悪玉菌」です。 その他に「日和見菌」と呼ばれる腸内細菌がいます。日和見菌とは、腸内の状態によって有害な働きをしたり、無害であったり、有益な働きをする菌のことです。腸内細菌は大きくこの3種類に分けられます。有益菌が多ければ健康が保たれ、有害菌が増えると病気にかかりやすくなります。
有益菌は食物繊維やデンプンをエサにして活動し、腸内で「発酵」を進め、人体にさまざまなプラスの影響をもたらします。有益菌の代表的なものは「ビフィズス菌」です。ビフィズス菌は「乳酸菌」の1種で、発酵により乳酸などの「有機酸」を生成し、腸内の酸性度を高めて有害菌の繁殖を抑えます。有益菌が活発に活動していれば消化・吸収が促され、免疫力は高まり、健康を保つことができます。
(※乳酸菌は乳酸発酵に関与する細菌の総称で、現在までに約350種類が確認されています。ビフィズス菌はそのうちの1種で、現在までに約35種類が確認されています。ビフィズス菌は人間の腸内に住みつくことのできる細菌で、腸内細菌の中で最も重要な役割を担っています。)
有害菌はタンパク質を好み、腸内で「腐敗」を起こし、健康にマイナスをもたらします。 有害菌の代表的なものは「ウエルシュ菌」です。その他にも「大腸菌」や「ブドウ球菌」などが知られています。有害菌はタンパク質や脂肪を分解して「有害物質・発ガン物質」を生成し、腸内環境を悪化させます。それによって老化が早まり、病気にかかりやすくなるのです。
(※悪玉菌として名高い「ウエルシュ菌」は、腸内に常在する有害菌「クロストリジウム」の1種です。)
このように聞くと大半の人々は、何とか憎い悪玉菌を体内から追い出して、善玉菌だけにしたいと思うかもしれません。そして善玉菌を増やすために、ヨーグルトをせっせと食べるかもしれません。こうした考えが世の中に常識として定着し、安易なヨーグルトブームを生み出すことになっています。しかし、その考え方は間違っています。
腸内細菌のバランス
一般的に腸内細菌は「善玉菌」「悪玉菌」に区別され、悪玉菌はもっぱら不用な厄介者のように思われていますが、そうではありません。もし悪玉菌と呼ばれている菌が本当に人体に害をもたらすだけのものであるなら、免疫システムの働きによって、とっくに排除されているはずです。一生懸命にヨーグルトを食べて腸内から追い出そうとしなくても、とっくにいなくなっていることでしょう。ここに大きな生命活動の神秘があるのです。
免疫がいわゆる「悪玉菌」を排除しないでいるということは、実は悪玉菌は人体にとって必要な存在であるからです。人体に有益な働きをするために、あえて生かしているのです。これからは従来のように腸内細菌を善玉・悪玉に分けるのではなく、ともに必要なものとして、ひとまとめに考えなければなりません。100兆個もの細菌を、単純に善玉・悪玉と区別することはできません。どの細菌も必要性があって存在していると、捉えるベきなのです。
最新の研究は、まさにそうしたことをも明らかにしつつあります。例えば普通“汚くて恐い”と思われている「大腸菌」であっても、状況によっては他の病原菌からの感染を防いでくれます。その反対に、有益菌の代表である「ビフィズス菌」が、発ガン物質をつくり出すこともあるのです。「同じ細菌が環境によって、プラスにもマイナスにもなる働きをしている」ということです。環境によって有害・無害が左右される以上、単に1種類の細菌だけを取り上げて善玉・悪玉と論じることは間違いなのです。
ここでもう1つ重要な点は、「有益菌と有害菌と日和見菌は、先天的に一定のバランス比率をもって体内に存在している」ということです。私たち1人1人の顔つきや指紋が異なるように、人によって腸内細菌の状態は違っており、その基本的なバランスは生まれつき決定していると言われるようになってきました。“生まれつき”が遺伝的なものなのか、あるいは出生時における母親からの細菌情報の伝達なのか、研究者の間で意見が分かれていますが、1人1人にふさわしい腸内細菌の個性的比率は、おおよそ決まっているのではないかと考えられています。そうした基本的なバランスのうえに食事やストレスなどの後天的な要因が影響を及ぼし、現実の腸内細菌の状態が決定しているということなのです。
もともとその人間に合った腸内細菌のバランスが保たれていればよいのですが、それが後天的な要因によって崩れると、さまざまな問題が生じるようになります。バランスがとれていたときには何の問題も起こさなかった「有害菌」や「日和見菌」が、悪い働きをするようになるのです。
腸内環境は健康には欠かせません
腸内環境の大切さは、あなたもよく知っているはずです。毎日欠かさすヨーグルトや乳酸飲料を摂ったりしているのではないですか?
腸内には、おもに小腸の粘膜部分などにいる「常在細菌」と、大腸で食べたもの(内容物)に生息する「腸内細菌」の2種類がいます。常在細菌は母親から受け継いでいて、小さい頃の食習慣や生活環境によって育まれ、少年・少女期にはほぼ「確定」し、あとは通常、死ぬまでそのままです。
ところが、抗生物質を長期間とったり、大きなストレスを受けたり、糖質制限や無理な断食なんかをするとダメになってしまい、一度そうなると復活しません。とても繊細ですから大事にして下さい。
なぜ大事にしたいかといいますと、常在細菌もトリプトファンからナイアシン(ビタミンB3)をつくってくれるからです。常在細菌がナイアシンをたくさんつくってくれれば、その分を体内でつくる必要がなくなって、脳内セロトニン用の材料となるトリプトファンを余分に確保できるのです。(このことはセロトニン神経系の部分で述べました)
「腸内細菌のために、毎日ヨーグルトを食べなきや!」と思ったあなた、それちょっと待って下さい! 腸内環境を悪くするのは、肉類や乳・乳製品といっだ動物性タンパク質”たっぷりの食事です。ですから、ヨーグルトはむしろ逆効果なのです。
ヨーグルトで善玉菌を増やそうと思ったら、毎日数リットル単位で食べないと意味がありません。このようなことは土台無理な話です。
「ヨーグルトはカラダにいい」と信じている女性は多いと思います(男性も?)。でも、毎日相当な量を食べないと効果は期待できないようです。なぜでしょう?
ヨーグルトの原料は牛乳。だから含まれる乳酸菌は動物性”で、これが日本人の体質にはあまり合わないのです。(このことは、最後の6で述べます)
私達日本人は長い間、西欧人とはちがって乳製品をほとんど食べない生活をしてきました。ですから、そもそも動物性乳酸菌とは相性がイマイチなのです。それに比べると、お漬物などに含まれる“植物性乳酸菌”はずっと食べてきたものですから相性がよいのです。 ラブレクラウト(後藤日出夫先生の提唱されるものです)には「ラブレ菌」という植物性乳酸菌がたっぷりと含まれているので効果も出やすいというわけです。
「それなら、ラブレ菌の入った乳酸飲料を飲めばいいんじゃない?」と思うかもしれません。でも、摂り方も大事なのです。
腸内で細菌が生きていくには、仲間同士で集まって、他の集団と戦ったり共存したりする必要があります。この集まりを「細菌叢」といい、この状態をつくらないと細菌は生きていけません。
ヨーグルトや乳酸飲料の場合、乳酸菌たちが細菌叢をつくれず無防備な状態のまま、胃酸や胆汁、免疫や他の細菌の攻撃を受けてしまうため、ほとんどが負けてしまって腸まで届きません。
一方、ラブレクラウトの場合、乳酸発酵したキャベツ自体にラブレ菌が定住します。いわば食物繊維にラブレ菌が守られているような状態です。食物繊維は消化されにくいので、“船”のようにラブレ菌を腸まで運んでくれるのです。
腸内細菌にも種類がある
さて、ここからは腸内環境と腸内細菌の話です。皆さんも「健康と美容にヨーグルト」という認識があると思います。「生きたまま腸まで届く乳酸菌」というような、いかにも大腸まで乳酸菌が届いて活躍するといった宣伝文句を見ることもありますが、それは本当のことなのでしょうか?
じつは、腸内細菌はそんなに簡単に操作できるようなものではないのです。
ひとくちに腸内細菌といっても、どこに住んでいる細菌かで性質も役割も異なります。
腸の粘膜やその近くに定住する「常在細菌」と、腸管内容物(食べた物)に生息する「管腔内細菌」(以下「腸内細菌」と記述)の2つに大きく分けられます。
常在細菌は、特に小腸に多く生息する細菌です(大腸にも生息)。これは出産時に母親から引き継がれ、乳児期・幼児期の食習慣や生活環境(細菌類への接触)などの影響を受けながら形成されます。そして少年期にはほぼ定まり、その後は大きく構成を変えることなく、ほぼ生涯にわたって引き継がれます。
しかし、抗生物質の長期間摂取や食習慣の著しい変化(糖質制限食など)、過激なストレスなどによって、常在細菌の構成が変化してしまうことがあります。この菌交代現象が起きると、今まで保たれていた腸内細菌叢の免疫的な働きが乱され、悪玉菌が優勢となることに加えて、腸内でビタミンやホルモンがうまく作られなくなったり、さらに腸の炎症を起こしたり、病原菌などの感染を受けやすくなったりします。
一旦、常在細菌の菌交代が起きると元の状態には戻りません。健全な常在細菌を抗生物質などで損なうことは絶対に避けるべきです。運悪く悪化させてしまった常在細菌を復活させるには、生き残った善玉菌の好むエサを摂取して増殖させる必要があります。
いずれにせよ、気長に常在細菌の健全化を図っていくしかありません。
腸内で細菌が生息しようとすると、単独では他の細菌からの攻撃に対して非常に脆弱であるため、同一種の細菌が集まって「叢」を作ります。腸内で生き抜くために、個々の細菌同士ではなく、「細菌叢」という集団での戦いが行われており、勢力を拡大したり、縮小したりを日々繰り返しています。
動物性乳酸菌ではなく植物性乳酸菌をとろう’!
「乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を生きたままとってより健全な腸を作る」などと謳われています。しかし、現実には常在細菌に直接作用することはなく、腸内で攻撃対象になることはあっでも定住することはありません。
また、「善玉菌」の代表選手である乳酸菌やビフィズス菌のすべてが有用かというと必ずしもそうではなく、それらの中にもビオチンなどのビタミンを好んで消費してしまう悪玉菌が少なからず存在します。
もっと言えば、わずかな量の乳酸飲料をとったからといって、腸内環境を健全にできるわけではありません。ヨーグルトや乳製品を常食としている人が、多量のヨーグルトをとり続けることによって、健全な腸内細菌を維持することは可能かもしれませんが、乳製品が主食でない食習慣の日本人が、ほんのわずかな量(100グラム程度・数回)の動物性乳酸菌飲料をとったからといって、腸内細菌が健全になると期待するには無理があります。 ある程度の効果を期待するのなら、継続的かつ多量な摂取(1日に数リットル以上)が必要だと思われます。
基本的に常在細菌の在り様には個人差があります。他人の腸内細菌や動物由来の腸内細菌などが他者の腸内で共生できるはずがなく、わずかな乳酸菌を摂取しても、腸内で菌が生き残り細菌叢を形成することは極めて困難です。むしろ私たち日本人には、動物性乳酸菌ではなく、漬け物などで伝統的に摂取し続けてきた植物性乳酸菌のほうがなじみやすく期待が持てると私は考えています。
「すぐき漬け」や、私がお勧めする「ラブレクラウト」は、ラブレ菌が細菌叢を形成した状態のまま摂ることができるので効果的です。
いずれにせよ、腸内粘膜に善玉菌を定住させる可能性の少ない乳酸菌飲料に期待するよりは、常在細菌が好むエサを供給して善玉菌を元気にし、増殖させることのほうが実際には役立つ方法です。
小腸常在細菌のエサとなるのは、おもに消化過程の糖質(ブドウ糖など)やタンパク質(アミノ酸)、およびペクチンなどですので、それらの栄養素をバランスよく摂ることが大切です(ただし、アミノ酸は悪玉菌を優勢にしますので摂り過ぎに注意)。
じつは「万能健康ジュース」も、そうしたことを考えて作られたものなのです。
腸内細菌の働きとは?
小腸では腸の内容物に生息する腸内細菌の数が少なく、おもに腸の粘膜に生息する常在細菌の健全性が重要でした。しかし、内容物が盲腸まで達すると、腸内細菌の数が急激に増加し、大腸では常在細菌以上に、内容物(糞便)に生息する腸内細菌が健全かどうかが重要となってきます。
大腸の腸内細菌は、善玉菌によるビタミン類やホルモン類の合成に加え、酢酸などの栄養素の産生といった有益な働きがあります。それと同時に、大腸の後半の部分では、悪玉菌がアンモニアや硫化水素などの有害物質を産生しますので、これをいかに抑制するかが重要となります。
盲腸以降の糞便に生息する善玉菌は、小腸で消化吸収されることなく大腸に到達した未消化糖質や難消化性糖質など、炭水化物のカスをエサとして増殖します。そして、善玉菌はそのカスから酢酸やプロピオン酸、酪酸、乳酸といった栄養素を作り出して私たちにエネルギーを供給してくれるのです。また、善玉菌は悪玉菌が作る有毒物のアンモニアや発ガン物質もエサとして消費してくれます。
芋類や穀類、豆類などの植物性の食品は、小腸で栄養素として消化吸収されたあと、大腸では善玉菌のエサとなって酢酸などの栄養素となり、元気になった善玉菌は、悪玉菌が作り出す有害物質や発ガン物質まで食べてくれるというわけです。
この善玉菌のエサとなる炭水化物のカスが、いわゆるオリゴ糖やポリデキストリンといったものです。
オリゴ糖やポリデキストリンは、酵素反応によって人工的に作られます。天然のオリゴ糖やポリデキストリンが含まれている食品には、ゴボウ、キクイモ、タマネギ、にんにく、ヤムイモ、大麦、ライ麦、大豆などがあります。
ところで、市販の乳酸飲料の乳酸菌が大腸まで届くというのはおおいに疑問です。なぜなら、乳酸菌が生息している栄養素のほとんどは小腸で消化吸収されてしまい、すみかを奪われた細菌が単独で大腸まで生き延びていくのは至難の業だからです。
発酵食品(味噌、漬け物など)には食物繊維というすみかがあるため、乳酸菌が胃や小腸の荒波を乗り越えて大腸まで細菌叢として到達できるのです。食物繊維やオリゴ糖、ポリデキストリンには、このような善玉菌のすみかとしての働きもあるのです。
善玉菌と悪玉菌の関係
悪玉菌も善玉菌と同様に未消化物などの分解を行いますが、その生成物が人体に有害であり、また人体に必要なものを消費してしまうがゆえに悪玉菌と呼ばれます。
善玉菌の多くが、炭水化物のカスを発酵させて酢酸などの有益な物質を生み出すのに対し、悪玉菌はタンパク質を分解(腐敗)・合成してアミン類やアンモニア、硫化水素、インドール、スカトール、フェノール類など、さまざまな有害物質を生成します。
この悪玉菌のエサとなるのは、食物の未消化タンパク質、胃や十二指腸などから分泌される消化酵素、腸の細胞などから新陳代謝により脱落した細胞などのタンパク質です。
また、唾液や消化液、腸液に含まれる尿素も悪玉菌のエサとなります。
こうして見ると、食物の未消化タンパク質を除けばすべてが体の中で作られるものばかり。ですから、断食しても悪玉菌の増殖は続きます。私たちにできる悪玉菌への「兵糧攻め」は、食物からの未消化タンパク質を減少させることだけです。
ところで、一般的に動物性タンパク質の消化吸収率は比較的高く、ほとんどが小腸で 吸収されます。しかし、食べ過ぎはタンパク質の消化を悪くします。
また、コラーゲンやゼラチンなどを多く含むもの、乾燥・煉製・焦げなど、タンパク質が変質したもの、魚卵などの外皮、脂を多く含むタンパク質などは、小腸で消化吸収されずに未消化タンパク質として大腸に達し、そのほとんどが悪玉菌のエサとなります。
それから、大豆などのでんぷんに含まれるタンパク質の消化吸収はあまりよくないものの、同時に善玉菌の好むエサを多く含むことから、有害物質の生成は抑制されます。
なお、大腸内容物が酸性であると悪玉菌の増殖は抑えられます。ですから、乳酸菌やビフィズス菌など、酸を生成する細菌の増殖を促すことが推奨されるのです。
勘違いしないでほしいのは、「悪玉菌が少なければ少ないほどよい」というわけではないということ。善玉菌は、悪玉菌が作り出すアミノ酸を体の成分として増殖します。
したがって、必ずある程度の悪玉菌が必要なのです。善玉菌は悪玉菌なしでは生きてはいけないということです。
腸内細菌、健全化のための7ヵ条
大腸は、その働きによって大きく前部と後部に分けられます。前部では未消化炭水化物の発酵や未消化タンパク質の分解などを行い、その生成物は栄養素などとして吸収活用されます。
後部では未消化タンパク質の腐敗と糞便を形成する働きがあります。そのため、便秘などで排泄が滞ると、悪玉菌による有毒な物質が生成され続け、体が毒されていくことになります。
乳酸菌飲料を少量とったところで効果はほとんど期待できないという話はすでにしましたが、実際のところ、胃酸に晒され、胆汁に晒され、栄養成分が小腸で消化吸収されてしまったあとは細菌叢を作ることもできず、他の腸内細菌に襲われるわ、免疫に襲われるわで、盲腸まで生きてたどりつくことができる菌はほとんどいないといってもよいでしょう。 結局、穀類や芋類、豆類、野菜類など食物繊維の多い食品をとることが、腸内の健全性を保つためにもっとも重要なことなのです。
[腸内細菌、健全化のための7ヵ条]
○抗生物質や抗生物質を含む食品、防腐剤や抗菌剤を使用した食品をとらない
○発酵食品(味噌、酒かす、納豆、漬け物、キムチ、ラブレクラウトなど)を努めてとる
○食物繊維や難消化性糖質(オリゴ糖など)を充分にとる
○高脂肪、高タンパク質食品をとり過ぎず、摂取する場合は必ず食物繊維や難消化性糖質と一緒にとる
○大腸内の糞便はなるべく早く排泄する(少なくとも1日1回以上の便通を)
○空腸内細菌にダメージ与えるため、多量または高濃度(10%以上)のアルコールをとらない
○お腹を冷やさない、冷たいものをとり過ぎない
腸内細菌を健全に保ち続けることは、いかなる病気を治すためにも、健康であり続けるためにも、絶対に必要です。
断食の危険性と小断食のススメ
健康のために「断食」を勧める健康法があります。その目的は、体にたまった毒素を抜くこと、ホルモンなどのバランスを整えることです。
断食をすると、体内に貯蓄されているグリコーゲンや体脂肪などからエネルギーを作るようになり、通常は食べ物の消化吸収などに向けられているさまざまな代謝が、生命を維持するための最小限の代謝を重視するようになります。
人間本来の生命力を回帰する方向へと向かうわけです。
しかし、断食を始めると腸内に善玉菌のエサがまったくなくなり、さらに胃液や腸液などの分泌物や腸細胞の脱落物など悪玉菌のエサばかりとなるため、悪玉菌が優勢の状態となり、アンモニアや硫化物などが異常に発生します。このように断食にはよい面と悪い面の両方があるということを知っておいてください。
断食で大きな問題なのは、じつは断食後の胃や腸の機能回復です。腸の細胞は、糖質やタンパク質などの栄養分の摂り方によって、数日のあいたに消化吸収能の異なる細胞 へと変化します。外から栄養分をとらなければ、腸の消化吸収能は退化し、数日後には通常の食事から栄養分をほとんど処理できない腸へと変わってしまうのです。もしこのような状態で通常の栄養分を摂取すると、消化不良による下痢などのほか、腸細胞を傷つけてさまざまな炎症性の疾患を起こすことになります。したがって安易な断食は行わないほうが賢明です。
大切なのは次の3点です。
①腸内細菌を悪玉菌優勢にしないこと
②胃や腸など消化管の機能を低下させないこと
③肝臓の解毒負荷を軽くすること(ほとんどの有害物質は肝臓で解毒分解される)
腸内環境を整える
便秘は腸内環境が悪くなっているサイン
便秘とは一般的に、「3日以上便通がない」、「便がかたい・量が少ない」、「うまく排便できない・残便感がある」などの状態のことを言います。便は、からだの毒物を排出する機能として重要で、口から入った毒物の約7割は、便として排泄されます。便秘はおもに、自律神経や腸内細菌のバランスの異常、偏った食事、ストレス、我慢のしすぎ、妊娠などによっておこります。
便秘は軽く考えられがちですが、腸内環境が悪くなっているというサインです。
便の状態は、腸および腸内細菌の状態を反映する、とてもわかりやすい健康の指標です。 慢性的に便秘が続く場合は、すぐにでも生活習慣をあらためる必要があります。
便秘によっておこる病気には、おなかのはりや痔以外にも、有害物質の発生・毒素の再吸収による肝障害、頭痛、肩こり、疲れ、ニキビ・肌荒れ、冷え、むくみなどがあります。 さらに、腸や腸内細菌の状態の悪化は、自律神経系、免疫系に悪い影響をおよぼし、アレルギー性疾患やガンなど、あらゆる病気の原因になります。
便秘には、腸が動かないタイプの、高齢者に多い「弛緩性便秘」と、若い人から中年女性に多く、腸が動きすぎて腹痛やコロコロ便、下痢になるタイプの「痙攣性便秘」の2種類があります。いずれも交感神経の緊張が原因であり、副交感神経が働かない場合が「弛緩性便秘」、反動で副交感神経が働きすぎた状態が「痙攣性便秘」を引きおこすということになります。
対策はどちらも同じ。交感神経の緊張状態を緩和することです。規則正しい生活を心がけ、よく水分をとり、軽い運動をすることで、リラックスできるようにしましよう。
また、腸内環境を整える食事を摂ることが大切です。食物繊維、発酵食品、乳酸菌をたっぷりとり、よく噛みましょう。食物繊維の摂りすぎで、かえって便が詰まってしまうタイプの便秘もありますが、この場合には、オリーブ油かオメガ3系の油を摂ると効果的です。
気をつけたいのは、安易に下剤を使用すること。下剤による排便は、くり返し使用することにより習慣化します。下剤は、5日以上排便がないときなどに限定して使用しましょう。かちかちに詰まってしまった便秘に対しては、浣腸がもっとも効きます。でも、下剤以上に習慣性があり、くり返すと浣腸しないと排便しない状態になります。下剤や浣腸に頼らず、食事や生活の改善により、排便力を高めることが大切です。
自律神経の働きが狂う
先述のように自律神経が関係している場合が多いのです。便秘、頭痛ともに、大きく関係しているのが自律神経です。
自律神経は呼吸、体温調節や血液の循環、消化吸収など生命を維持するのに重要な機能を司っています。ところが、便秘が慢性化して腸内環境が悪化すると、自律神経のバランスが乱れるのです。自律神経は、血管の収縮や拡張などもコントロールしていますので、便秘によって自律神経が乱れたとき、血管の収縮・拡張のバランスも崩れてしまいます。
それにより片頭痛が引き起こされるという見方もあります。
悩む人が多い慢性便秘ですが、体内に老廃物を長期間留めている状態は宿便が溜まっている状態のことを指し、頭痛をはじめとする様々な症状を引き起こしてしまうのです。
また、運動不足やセロトニン不足で腸の蠕動運動がにぶくなって便秘になりやすくもなります。このセロトニンが不足するとイライラしたり、キレやすくなったりします。すぐ怒るようになったという人も含まれます。
セロトニンを増やすには睡眠をしっかりとると増え、運動であれば、リズム運動でも増やすことができます。
ちなみにリズム運動とは、一定のリズムで筋肉を緊張させたり、緩めたりを繰り返す運動のことですが、一定のリズムとは、同じ速度で歩く、走る、泳ぐ、踊る、こぐ、階段の上り下りなどをすることをいいます。
でも、運動する時間がないとか、運動はイヤという人や運動していてもセロトニンが不足する、といった人などは、合わせて食事で補なうと良いです。
便秘を改善するためには適度な運動や食生活を心がけ、自律神経のバランスを整えることが大切です。
下剤で一時的に排便できても、便秘を根本的に改善しないことには自律神経の乱れも治らず、頭痛の改善には繋がりません。
下剤にばかり頼っていると、下剤の副作用である大腸メラノーシスになる可能性があり、大腸メラノーシスとは大腸の中が真黒くなることで、大腸の機能が低下するとともに大腸ガン発症のリスクを高める症状です。
その場しのぎの方法では完治させることができないということです。
なので日頃から、腸内環境を整えるようにするために、何を取り入れ、何を止めるのかをしっかり把握し、便秘も頭痛も根本治療しましょう。
腸内環境の悪化の原因は・・
腸内環境はいろいろな原因で変化しますが、なかでも食生活は大きな影響を及ぼします。 欧米型の食事に偏り、肉や脂肪・砂糖などを大量に摂取すると、間違いなく腸内環境は悪化します。食物繊維が不足した「不健全な食事」では、腸内細菌のよい働きを引き出すことはできません。高タンパク・高脂肪・低食物繊維の欧米型食事は、腸内環境にとって最大の敵と言えます。
また「ストレス」や「過労」も腸内環境に深刻な影響を与えます。「運動不足」も問題です。さらには「抗生物質」などの化学薬剤も、腸内細菌に決定的なダメージを与えます。 抗生物質は病原菌をやっつけるだけでなく、よい腸内細菌まで殺し、腸内フローラを悪化させます。家畜に投与された抗生物質が肉を摂ることで体内に取り入れられ、有益菌を弱らせるようなこともあります。
こうした食事やライフスタイルの間違いが、腸内細菌のバランスを崩し、人体にマイナスの働きを引き出すことになってしまいます。人間と共存・共生している細菌のトータル的な働きを、よい方向に向けられるかどうかは、人間サイドの姿勢によって決まるのです。
特に食事のよし悪しは、腸の健康にとって決定的ともいえる重要性をもっています。高タンパク・高脂肪の肉や牛乳などを減らし、野菜料理に漬物や納豆などの発酵食品を加えた伝統的な日本食にすれば、“腸内フローラ”の崩れたバランスは回復し、健康を取り戻すことができるようになります。「食物繊維」の豊富な食事によって、腸内細菌をよい状態に維持することができるのです。欧米型の食事をやめて、野菜や発酵食品を中心とした伝統的な日本食にすることが、腸内細菌をよい状態に保つ強力な方法となります。腸の健康のためには、真っ先に「食事改善」に取り組まなければなりません。
日本人の健康を守ってきた発酵食品
日本は、世界でも有数の発酵食文化を持ちます。毎日の食生活のなかで、みそ、しょうゆ、酢、みりん、ぬか漬け、納豆、けずり節、麹など、さまざまな発酵食品が使われています。こうした発酵食品が、昔から日本人の健康を支えてきました。
発酵食品は、微生物の働きで食品を発酵させることにより、栄養価や保存性が高まるなど、人にとって有用な食べものに変化した食品のことです。発酵を行う微生物には、一般に善玉菌と言われる麹菌、酵母、乳酸菌(ビフィズス菌を含む)、酢酸菌、納豆菌などがあります。発酵食品には、以下のような、健康にいいさまざまな効果があります。
●腸内環境をととのえる(整腸作用、便秘解消、腸内細菌の安定、免疫カアップなど)
●抗酸化作用がある
●デトックス作用がある
●うま味、甘みなど、風味がよくなる
●ビタミン、ミネラル、アミノ酸などの栄養価が高くなる
●食品の保存性が増す
発酵食品は、できるだけ天然素材(自然農や有機農でつくられた食材で、添加物を使用しない)、天然醸造(伝統的な製法)でつくられたものを選びましょう。もし可能なら、自分でつくってみるといいでしょう。
みそ、しょうゆ、みりん、酢、麹などは自作される方もいます。つくり方を覚えれば、実はそれほど難しくないのです。ほかにも、野菜や果物でつくった酵素ジュース、天然酵母をとって活用したパンづくりなど、いろいろな自家製の発酵食品を楽しんでおられるようです。
ヨーグルトやチーズも代表的な発酵食品ですが、動物性食品であるため、摂りすぎには注意が必要。その点、豆乳ヨーグルトはお勧めです。
乳酸菌とひと言で言っても、何百もの種類があります。腸内細菌は、できるだけ多くの種類が共存していることが望ましいので、多くの種類の発酵食品を積極的に食べましょう。
腸内環境を整える食物繊維
食物繊維とは、炭水化物の一種で、人の消化酵素では分解されない食物の成分です。発酵食品とともに、おもに腸内環境を整えるための重要な役割を果たしています。
食物繊維には水溶性と不溶性があり、どちらも大切です。以下のように、とても多くの健康にいい働きがあります。
●整腸作用がある(腸内有用菌群を増やす)
●便秘を解消する(便をやわらかくする、容量を増やす、排泄を促進する)
●大腸がん、直腸がんを予防する
●血糖値が安定する(糖の吸収をコントロールする)
●コレステロールの吸収を抑制する(胆汁酸を排出する)
●ミネラルの吸収を促進する
●満腹感を維持する
●よく噛む必要がある(唾液の分泌が増え、消化・吸収を促進する)
●解毒作用がある(農薬、発がん性物質、放射能などの毒物を吸着する)
●消化管の免疫が増強される
●活性酸素が減少する(活性酸素は病気の85~90%に関与している)
ちなみに、食物繊維の摂取は、成人女性で1日17g以上、男性で19g以上が目標量ですが、現代人のほとんどは摂取量が足りていません。足りない最大の理由は、主食が玄米から白米にかわったためです。また、やわらかくて口あたりのいい食べものが増えたことも理由のひとつです。
食物繊維を意識してとるようにしましょう。
〈食物繊維の多い食べものの例〉
穀物(玄米、玄麦、ひえ、あわ)、豆(大豆、とくに納豆)、根菜(ごぼう、にんじん、大根、こんにやく)、いも類(さつまいも、里いも)、海藻(ひじき、わかめ、ふのり)、その他(きのこ類、ごま、たけのこ、おから、オクラ、かぼちや、とうもろこし、ブロッコリー、ブルーベリー)など
腸内環境を整えるためには・・まとめです
1)肉の多い食事をやめる
腸内の悪玉菌の大好物は、肉などタンパク質や脂肪を多く含む食品です。
ハンバーガーなどのファーストフードは悪玉菌が好む典型的な食事といえるでしょう。
悪玉菌はタンパク質やアミノ酸を分解し、悪臭のする有害物質を作り出します。便秘や下痢、肌荒れ、腸炎はもちろん、これらの物質が体中に運ばれ、動脈硬化、高血圧などの病気の原因にもなります。
肉類は悪玉菌の格好のエサです。この点を忘れてはなりません。肉食の多い欧米人の片頭痛は日本人に比べ、強度なことは、ここに原因があります。
肉の食べ過ぎでニトロソアミンと二次胆汁酸がそろうと、大腸ガンのリスクが跳ね上がります。
2)食物繊維や発酵食品を摂取する
食物繊維は、便の元となり腸を刺激して便通につながる「不溶性食物繊維」と、腸内で水に溶けて有害物質を吸着し体外へ排出する「水溶性食物繊維」に分けられます。
不溶性と水溶性の食物繊維をバランスよく摂ることで、お腹の中をよりキレイにすることができます。
水溶性食物繊維を多く含む食べ物には、りんご、バナナなどの果物類、しいたけ、えのきだけなどのきのこ類、わかめ、こんぶなどの海藻類があります。
不溶性食物繊維を多く含む食べ物には、大豆、いんげん豆などの豆類、ブロッコリー、ごぼうなどの野菜類、さつまいも、さといもなどのいも類があります。この二つをバランスよく摂取しましょう。
善玉菌を増やすにはヨーグルト、漬物、納豆、チーズなど発酵食品を食べることです。
3)適度な運動をする
運動不足になると、腹筋が弱まり、腸の蠕動運動が弱まって便秘になりやすくなります。 運動をすれば腸が揺れて動きが活発になりますが、強すぎる運動は交感神経を興奮させます。交感神経が興奮すると腸は動かなくなりますので、むしろ軽い運動がいいのです。
過度な運動は逆効果です。軽い腹筋運動や、ウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。
4)ストレスをため込まない
ストレスがたまると、自律神経のバランスが乱れ、腸の運動が悪くなって便秘が起こりやすくなります。
健康な腸内細菌を持つ個体は、不安や心配などのストレスが少ないのが普通です。
腸の健康を保つためには、副交感神経が優位となる「リラックスして過ごす時間」をバランスよく確保することが必要になります。
自分に合ったリラクゼーション方法を見つけて、腸内環境を良くしましょう。
5)腸内環境を整える「善玉菌」のヒミツ
女性の大半がかかえているのは便秘の悩みです。便秘になると、腸内に悪玉菌が増殖します。悪玉菌が増えることでさらに便秘は悪化し、負のスパイラルに陥ってしまいます。 そこで、腸内環境を整えてくれる『善玉菌』に注目しましょう! 腸内をクリーンにしたら、次のステップとしては善玉菌を増やすことが重要なのです。ここでは、善玉菌を増やしてくれる食べ物をご紹介します。
・その1:『生きた乳酸菌』を含むヨーグルト
乳酸菌は悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。乳酸菌は体内に存在していますが、加齢とともに減少してしまいます。しかも、ストレスの多い現代人は、乳酸菌の減量スピードも速いのだとか。そのために、乳酸菌を含む乳製品を外部から摂取する必要があるのです。ヨーグルトを朝食べることで腸が1日中活発になります!
乳酸菌と言えば、一番に思い浮かぶのがヨーグルトです。でも、先程述べたように”ヨーグルトなら全てOK”というわけではありません。乳酸菌は胃酸などによって死滅しがちなので、しっかりと生きて腸に届くものをチョイスする必要があるのです。
・その2:『植物性乳酸菌』を含む発酵食品
善玉菌の増殖をサポートしてくれる、発酵食品。いま流行りの発酵食品ですが、たとえばキムチや漬物、味噌、コウジなどが挙げられます。
おなじみキムチなら手軽に植物性乳酸菌チャージ!
これらは『植物性乳酸菌』とよばれるものです。同じ発酵食品でもチーズなどの『動物性乳酸菌』よりも、生きて腸まで届きやすいという特徴があります。
・その3:『オリゴ糖』を含む大豆製品
大豆製品には、食物繊維がたっぷり含まれています。特にお勧めなのが納豆ですが、納豆には善玉菌の増殖をサポートするオリゴ糖も含まれています。
納豆が苦手な方は、豆乳、おからなどでもOKです。
さらに、悪玉菌の増殖を阻害するのに役立つリノール酸も入っているので一石二鳥!
腸内をクリーンにしながら、さらに善玉菌を増やして健康な腸へと導いてくれるのでとても効率的です。納豆は健康な腸づくりのためにはパーフェクトな食べ物と言えるかもしれません。
「ラブレクラウト」の勧め
この腸内環境の改善のためには、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は、「ラブレクラウト」を勧められています。
そもそも”ラブレ菌”って何???
私たちの腸にとって大切な役割をしてくれるのが乳酸菌です。
乳酸菌には様々な種類がありますが、最近注目されている乳酸菌といえば「ラブレ菌」ではないでしょうか。CMなどで聞いたことのある人は多いと思います。
ラブレ菌は「ラクトバチルス ブレビス サブスピーシス コアギュランス」という長い正式名称が付いています。
ルイ・パストゥール医学研究センターの岸田綱太郎博士が、京野菜である「すぐき」というカブの一種の漬物から発見しました。
1993年にはマスコミで報道され、日本で生まれた乳酸菌として大きな話題になり、注目されるようになりました。
健康志向が強いアメリカでも「マジックピクルス」などと称されて注目される食品となっています。
ラブレ乳酸菌は他の植物性乳酸菌と同様に、生きたまま腸まで届いて悪玉菌の増殖を抑えたり、便通を良くしたりといった働きをしてくれますが、これらの働きとは別に、ガンやエイズなどの大きな病気を予防するといった働きもあると期待されています。
ラブレ菌を含む「すぐき漬」は、京都の三大漬物の1つで独特の味わいのある漬物です。 ラブレ菌が注目されるようになり、すぐき漬を買い求める人も多くなっていて在庫切れの販売店も多いようです。
以上のように、ラブレ菌は、「すぐき漬け」から発見された植物由来の乳酸菌です。酸の強い漬けものの中に存在できることで、体内の酸にも大変強く、強力な生命力で生きたまま腸に届くのが特徴です。
整腸作用による便秘解消、美肌効果や、免疫力を高める効果、コレステロール値を下げる効果のほかにも、アレルギーを抑制する効果などが期待できます。NK細胞はガン治療にも用いられていますが、ラブレ菌はNK細胞を活性化させる働きがあるため、治療のサポートとしても活躍してくれます。
ラブレ菌は、便秘や肌荒れに悩まされている女性だけでなく、生活習慣病に悩まされている人すべてにぴったりの乳酸菌だといえます。
ラブレ菌でガンやインフルエンザのリスク低減!?
ラブレ菌とは京漬物“すぐき”から発見された乳酸菌で、整腸作用や免疫賦活に効果があると言われてきました。そんな免疫力を高める効果を持つラブレ菌を含む飲料が、インフルエンザ予防にも有効であるということがカゴメの研究で明らかにされました。
カゴメは約3000人の小学生を対象とする大規模な調査を行いました。その調査によれば、対象者にラブレ菌を含む飲料を継続摂取させたところ、摂取した児童のインフルエンザ罹患率は、摂取しなかった児童に比べて明らかに低いことが確認されました。
つまり、ラブレ菌飲料を続けて飲むことでインフルエンザのリスクを低減できる可能性が示されたということです。
参考までに、乳酸菌のインフルエンザ予防作用についてはこれまでにも報告はいくつがありますが、今回のように、地域的な影響を考えて狭い地域内で行われた数千人規模の比較調査は、なんと世界でも初めてです。これはかなり信憑性の高い結果です。
塩分と酸の濃度が高い過酷な環境で生き抜くラブレ菌は、胃液・腸液などの乳酸菌の生存を脅かす消化液に強く、腸までの生存率が高い乳酸菌です。
乳酸菌は、腸内で活動して乳酸を作り、悪玉菌が生存しにくく、善玉菌が活動しやすい弱酸性の腸内環境を実現するので、下痢や便秘といった腸内環境の悪化による便通の不調を改善します。
また、腸内で悪玉菌が出す毒素は、肌荒れの原因になるので、悪玉菌の減少による美肌効果も期待できます。
一方、ラブレ菌はガン細胞やウイルスの侵入に反応して細胞が分泌するタンパク質の「インターフェロン」の生成を促進させる効果があります。
インターフェロンが生成されやすくなると、腫瘍細胞の発生や病原体などに素早く対応できるようになるため、身体の免疫機能が強化されます。
特に、ラブレ菌が生成を促進させる「インターフェロンα」は、ガン細胞やウイルスを攻撃して感染症から身を守るために特に重要な「NK細胞(ナチュラル・キラー細胞)」を刺激して活発化させる機能を持っていますので、ガンやウイルス感染などの重大な疾患への防御力を効果的に高めることができます。
この他にも、ラブレ菌には、コレステロール値を下げて動脈硬化や脳血管障害、心臓疾患などを予防したり、アレルギーを抑制したりといった様々な効能があります。
植物性の乳酸菌であるラブレ菌は腸内にほとんど定着することはありませんが、毎日、継続して摂取すれば理想的な腸内環境を維持することはできます。
サプリメントや乳酸菌飲料などを上手に利用して、定期的な摂取を心がけることが大切です。
意外にも、ラブレ菌を配合した市販ヨーグルトはない
ラブレ菌を摂取したいのなら、 飲み物・ サプリメント、 このどちらかになるでしょう。 ラブレの飲み物はカゴメがだしているラブレがスーパーにいけばあるでしょうし、乳酸菌サプリメントはいろいろなメーカーがラブレ菌を配合した乳酸菌サプリメントを販売しているので、ラブレ菌を配合しているサプリメントの数は多いです。
ラブレ菌を配合したヨーグルトはありませんが、ラブレ菌は摂取しやすい乳酸菌といえるでしょう。
ただヨーグルトを食べるのが趣味で、ラブレ菌を配合したヨーグルトがほしいという人には、目的の製品がないということになってしまいます。
自分でラブレ菌を植え継ぎして、自作ヨーグルトを作成する人もいるかもしれません。
こうしたことから、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生が考案されたのが「ラブレクラウト」です。
「ラブレクラウト」
ラブレクラウトの「ラブレ」は、ラブレ菌のラブレです。最近、「ラブレ乳酸飲料」が次々に発売されているので、あなたも知っているかもしれません。
先程も述べたように、京都の伝統的なお漬物「すぐき漬け」から発見された植物性乳酸菌で、腸内で酢酸や乳酸などをつくり、悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。また、腸の新陳代謝を活発にしてくれるので、消化吸収力や免疫力を高めてくれるといわれています。実際、すぐき漬けをいつも食べている人ほど、ガンの発生率が平均値よりも低いというデータがあり、ここに着目されました。
「グラウト」はザワークラウトのクラウトです。ビア・レストランなどでソーセージと一緒に出てくるキャベツの塩漬けです。腸内環境を整える乳酸菌(善玉菌)がたくさん含まれていることから、かつて永い航海に出る西欧人たちが、不足しがちなビタミンを補給するために作り出した食べものです。
ザワークラウトの主役であるキャベツには、「キャベジン」と呼ばれるビタミンUが豊富に含まれ、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防する働きがあり、「食べる胃腸薬」といわれています。
また、キャベツに含まれる辛み成分には解毒作用や抗酸化作用があることも知られています。さらに、血管をやわらかくして血流もよくなりますから、肩こりや片頭痛の女性にはうれしい食べものです。