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頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 皆さんの高校の同級生のなかで優等生とされる方の、多くの方々は医学部へ進学されたことと思われます。ところが、こうした優等生とされていた同級生の方々が、必ずしも、優秀な医学研究者になっているとは限りません。どうしてなのでしょうか?


 それは、大学の医局講座制が、こうした有能な才能をダメにしてしまうからなのです。
  昔の優等生とされたあなたの同級生で、医者になった方々が現在どのようになっているかを見回してみれば、解ることです。
 そうなのです、優秀な医学研究者になっておられるのは、まさに一握りの方々だけであり、その殆どは金儲けに走る医者に成り下がっていることが理解されるはずです。
 これ程までに、有能な才能を抹殺させてしまうのが医局講座制なのです。
 皆さんは、このような「医局講座制」が、医学研究を行う上でどのような阻害要因になっているのかをご存じない方も多いと思います。
 ご多分に漏れず、頭痛研究でも、この「医局講座制」の壁がネックになっています。
 こういった意味で、頭痛研究を阻む要因として、医局講座制を忘れてはなりません。


  日本の頭痛研究の歴史は、1973 年(昭和48 年)に第1回頭痛懇話会が発足した約40 年前に遡ります。日本の頭痛学の創始者は、加瀬正夫、喜多村孝一、黒岩義五郎の3先生です。
 その後、1985年に頭痛研究会に発展しました。
 そして1996年に濱口勝彦初代理事長のもとに日本頭痛学会が発足し、1997年に学会としての第1回総会が福内靖男会長のもとに行われました。


  2000年にトリプタンが導入され、専門医が中心となって頭痛医療を効率化させ、患者さんの満足度を高めるために、日本頭痛学会が認定する最初の認定医が2005 年に認定されました。現在認定医数は767名を数え、全国の医師会の数(約920)に満たず、この数に匹敵するだけを増加させる予定のようです。
 こうした頭痛専門医を量産する目的で、平成25年度からHMS-Jが行われるようになりました。このことは、前回述べたことです。


 そして、各大学の教室には、教室としての研究テーマがあります。脳神経外科関連では”二次性頭痛”を来した興味ある症例の発表が主となることは当然ありうることで仕方ないのですが、問題は「神経内科関係」の方々の研究テーマは、大半が”片頭痛の各論”に終始してきました。
  とくに2000年以降は、トリプタン製剤に関連したものが多いようでした。


  これまで、片頭痛全体を俯瞰するような研究はまったく存在しませんでした。
  これまでの研究として、女性の片頭痛であれば”どこの大学の教室”、子供の片頭痛であれば”どこの大学の教室”、さらに片頭痛の発生機序に関しては”どこの大学の教室”、片頭痛の遺伝に関する研究であれば”どこの大学の教室””、片頭痛の診断面に関しては”どこどこの大学の教室””といったように、各大学の教室の研究テーマの”十八番(おはこ)”とされる伝統的な研究テーマが存在します。


 そして、各大学の教室はお互いの領域を侵さないような配慮がなされています。これは絶対的なものです。
  こうしたことから、片頭痛全体を”総括する”ような考え方は存在しませんでした。


 ですから、子供の慢性頭痛が、大人になってから、どのように変わってくるのかは示されません。
 遺伝に関しても、ただ関連遺伝子だけを独立させて研究されます。
 片頭痛の発生機序に関しても、解剖学的所見から論じられるだけであり、これが現実に女性の片頭痛の場合どのように関連しているのかを論じられることはありません。
 このように、片頭痛の「遺伝」、子供の「慢性頭痛、片頭痛」、「女性の片頭痛」、「発生機序」、「診断学的問題」といったことが、個別に・独立して研究されてきました。
 このため、片頭痛全体として、これらがどのように関連しているのか、繋がっているのかは一切、明らかにされることはありません。
 ですから、片頭痛に関する医学書では、さらに医学雑誌でも、片頭痛の特集が組まれたとしても、すべて各大学の教室の”おはこ”とされる、それぞれの”大家”と称される先生方の分担執筆の形態ととり、これを編集した(寄せ集め)形で羅列するだけのことであり、これを総括できる頭痛研究者は誰一人としていませんでした。
 片頭痛だけでも、このような状況ですので、同様に、緊張型頭痛、群発頭痛でも、同様に同じような形態がとられています。
 このため、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛を含めた、「慢性頭痛」とは一体、どのようなものなのか、といった「総論」そのものが欠如してくることは当然でした。


 脳のなかに異常のない一次性頭痛(慢性頭痛)は、国際頭痛分類第3版では、緊張型頭痛、片頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(ここに群発頭痛が含まれます)、その他の一次性頭痛に分類されています。
 頭痛研究を行う場面では、これまで専門家は、このように4つに大別された頭痛群をさらに、個々の頭痛を別個に独立させて研究すべきとされてきました。
 このように、片頭痛だけは特別扱い(神格化)され、緊張型頭痛をはじめとした他の慢性頭痛とはまったく切り離して・別個のものと考えてきました。


 このように、頭痛研究を行う際には、「国際頭痛分類 第3版β版」に基づいて、すべてを個別に行うことが原則とされてきました。
 こうしたことが、頭痛研究の海図・羅針盤ともなる「慢性頭痛とは何か」といった概念がつくられなかった理由になっています。


 私も、昭和45年医師となり、国家公務員等共済組合連合会呉共済病院・内科に勤務した当時から、内科医長の意向で、日本で出版される内科学関連の医学雑誌は全て購入され、毎月購読が可能になっていました。このため、これらの医学雑誌に掲載されていた「頭痛関連」の記事は、「頭痛懇話会」の時代から、目を通しておりました。
 さらに私の分野である「神経内科」関連の雑誌としては科学評論社の「神経内科」がありました。さらに神経内科治療研究会(後に学会になりましたが)の定期的な出版物がありました。
 このため、昭和45 年以来、「頭痛に関する記事」は悉く目を通していました。これらを45年間通覧しても、こういった傾向は全く変わりなく現在まで持続しています。


 この中で目新しいものは、2000 年以降のトリプタン製剤が出現した当時に片頭痛の発生機序の記事が記載された程度で、45 年前と現在で何ら変わったものはないようです。
  強いて挙げるならば、昔の片頭痛から、群発頭痛が分離された程度でしょうか?


  結局、すべてが分担執筆であり、すべて統一性に欠けるものでした。

 そして、慢性頭痛さらに片頭痛に関する”総説”がこれまで全くありません。
 個々の研究が点々ばらばらであり、全く統一した考え方で行われていないことです。
 この点が、まったく信じられない思いがします。
 これこそ、「医局講座制」のあり方を如実に示しているようです。


 こうしたことから、いかに若い有能な医師が、大学の教室に入局しようとも、そこの主任教授の研究に従って研究を進めるしかないことになります。
 ですから、自分の独創的な考え方で頭痛研究を独自に行うことは不可能であり、ましてや主任教授の研究面の考え方に異論を挟むことは禁句・タブーとされています。
 このようにして、高校時代の同級生の優等生とされる方は、大学の教室に入局することによって、有能な才能を伸ばすことが出来ない世界になっています。すべて凡人に成り下がる運命にあります。


 本来であれば、このような慢性頭痛そのものを総括する「総論」とか、片頭痛をすべてつなぎ合わせる”鍵”を見出して、総括するような立場に学会がならなければならないはずです。このような「総論」をつくるのが学会の役割のはずです。
 このような海図・羅針盤にも等しい「総論」もなく、各大学の研究に任せきっていたことが、頭痛研究が進展しなかった理由にもなっています。


 このような指導性のない学会には問題があるとしか思われません。


 このようなこともされることもなく、片頭痛の病態をただ単にトリプタン製剤の作用機序から考えることによって、これまで述べてきたような支離滅裂な考え方に終始してきました。


 頭痛とは関係ないことですが、私が以前急性期脳梗塞の臨床研究を進めていた時代、第8回日本脳卒中学会が主導して「脳梗塞の共同研究」が行われました。
  これは、発症24時間以内に脳血管撮影を行った症例を全国から集計して、その予後調査を行う目的で行ったものです。
  これは、当時、脳梗塞に対する治療法として,内科的には線溶系薬剤による線溶療法,外科的にはバイパス形成術などの閉塞部位での血流を再開させることを目的とした,いわば「血行再開療法」が試みられ.当時その適応や有効性に関して一定の結論が得られていなかったための調査でした。
 このことは、以前には、急性期脳梗塞には脳血管撮影は行ってはならない、という考えが神経学の重鎮とされる先生方および学会に存在していた当時では、学会としては、まさに画期的な共同研究でした。


 このような研究は、大学の教室の枠を離れ、さらに神経内科・脳神経外科という枠を超えた調査であったことに意義があったように思っております。
  こうした共通の認識のもとに研究が行われるべきです。

 こうした研究から、現在の血栓溶解剤のアルテプラーゼの開発につながり、致死的とされていた脳塞栓の患者さんの救命に繋がっていったように考えております。

 
  それに対して、頭痛研究はどうなのでしょうか?


 各大学の教室のメンツばかりが重んじられ、片頭痛治療に”トリプタン製剤”が導入されたことによって全てが解決されたような錯覚に陥ってしまい、2000 年以降、まったく頭痛研究が進歩したように思えないのは私だけなのでしょうか? まったくストップしてしまったようです。
 その証拠に、いまだに「慢性頭痛」の本態解明がなされることなく、安閑とされる現実があります。私は、頭痛研究の進展しない理由の一つとして、自由な発想で研究が行えない「医局講座制」そのものにその原点があるように思っています。
  今後、若い研究者の独創的な発想の芽を摘むことなく、自由な発想で研究がおこなえる環境を整備する必要があると考えております。

 
 さらに学会内部の確執の問題点があります。


 忘れてならないことは「慢性頭痛診療ガイドライン」の作成に参画された慶応系の先生方と「これからはずれた国立系の先生方」の対立の構図です。
 ガイドラインが”公に(おおやけ)”に出て以来、慶応系の先生方は学会の場において、あたかも「優位の立場」を得たかのように、国立系の先生方の”学会発表”を無視する傾向があります。
 これが20年近く継続している学会のあり方です。こうした状況は、果たして学問の場として評価できるのでしょうか? 
  こうしたあり方は片頭痛診療・研究の第一人者の寺本純先生の述懐として、度々ボヤかれたことです。


 片頭痛が”多因子遺伝”である、との考え方は、鳥取大学神経内科の古和久典先生らの研究業績であることから、ガイドラインが作成される段階で、それまでの論文のエビデンスの有無を評価する場面において、鳥取大学神経内科という、受験の際の”第二期校”とされていた先生方に対して、横綱と褌担ぎとの関係とでも思われたのでしょうか?
  このような大学間のランク付けは暗黙のうちに構築されています。

 こうしたことから、エビデンスとか、こうした理論が理解できなかったという理由抜きで、問答無用に排除された可能性も否定できないと考えるべきです。医局講座制そのもののエゴイズムでしかありません。
  特に問題とされるのは、”片頭痛が多因子遺伝であり、さらに片頭痛がミトコンドリアの機能障害による頭痛であり”、これから派生したMBT療法という考え方を全く除外したことに示されます。


 その結果どのように現状がなっているかは言うまでもありません。


 まさに、「国際頭痛分類第3版 β版」を”教義・教典”とする慶応系と、”誠”の頭痛学を論ずる国立系の対立の構図そのものと表現すべきでしょうか。


 単純に言えば、前回も述べましたように、専門家は、日本の業績よりも欧米の論文を無条件で評価する考え方から、結局、このような”多因子遺伝”は容認されることはありません。 
  こうしたことから、東京大学出身の松井孝嘉先生の考え方を無視されることも納得されます。


 さらに、専門家が日本の頭痛診療・教育のあるべき姿とされるHeadache Master School Japan(HMSJ)の講師陣の方々の大半は、慶応系の先生方で占められ、それも臨床経験がそれ程あるようには思われない若い先生方が中心になっています。
  このように、慶応系の先生方は、余程、偉いのでしょうか?


 こういったことも、学会の考え方が反映されているのでしょうか?


 私も、以前、若かりし頃、国家公務員等共済組合連合会 呉共済病院に勤務していた当時、ここの内科は岡山大学のジッツ病院であり、二期校であった広島大学卒業の私は、対等に接してもらえなかったことが、想い出されます。このように、大学間の格付けは厳然と存在します。このように格下扱いされるのが、医療の世界です。平等とはほど遠い世界です。


 こうした大学間の格付けは、すべて「医局講座制」にその発生源は存在します。
  このようなことが、医学研究を阻害する最大の要因にもなっており、頭痛研究の場でも例外ではありません。この点を肝に銘じておく必要があります。
  

  基礎講座 18.西洋医学の本質
   
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12298611992.html


  基礎講座 19.「国際頭痛分類 第3版β版」
   
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12298848094.html


  基礎講座 20.「慢性頭痛診療のガイドライン」
   
http://ameblo.jp/yoyamono/entry-12298924968.html


  基礎講座 21.学会専門医
   
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12299126375.html


  基礎講座 22.医局講座制
   
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12299208657.html


 この5編なくしては、決して、現在の「頭痛診療」を到底理解できないと思っているために、敢えて「基礎講座」として記載致しました。

 極めて重要なものです。


  誰が片頭痛を治らなくしたのか
   
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12577168816.html

 

ここでコマーシャルです。


  頭痛が気になったら・・
   
https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12638708200.html