よく噛んで食べましょう | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 私達は、これまで健康のために食事はよく嚙んで食べるようにお母さんから言われて育てられてきました。

 しかし、決して、その理由は明らかにされることはありませんでした。


 自然派医師の本間真二郎先生は、以下のように述べておられます。


 食事は、ひとロにつき、30~50回くらい噛むことを心がけましょう。病気の人は100 回以上でもいいと言われます。日本には、箸置きというものがあります。本来は、ひと□食べるごとに箸をおき、よく噛み、時間をかけて料理を味わいながら感謝して頂くのが、日本ならではの食文化です。しかし、現代の食事はやわらかいものが多く、あまり噛まないでも飲み込むことができてしまいます。食事時間もとても短く、数分で1回の食事を終えている人もいます。
 よく噛むことにより唾液の分泌が増え、胃腸での消化・吸収を助けます。また、唾液には免疫物質が多く含まれており、免疫を増強し、病気や虫歯を予防する作用があります。 ひと口につき30回以上噛むことにより、農薬、添加物、発ガン性物質などの有害物質のほとんどが口の中で分解されます。よく噛むことは、脳への血流や振動などの刺激を増やし、乳幼児の知的発達を促したり、高齢者の認知症を予防したりします。また、味覚が発達し、食欲の増進や心理面にもいい影響を与えるなど、実にたくさんの有益な作用があるのです。
 よく噛むことは単純な行為ですが、お金もかからず、だれでも行うことのできる健康法と言えるでしょう。子供のうちから習慣にしたいことだと思います。


 それでは、嚙むことの意義について考えてみることにしましょう。


(1)セロトニン、ミトコンドリアの活性化のために・・

 

 スクワットや階段の昇り降りなど、一定のリズムを刻む運動を反復して行うとセロトニン神経が活性化されるとされています。
 食事の際は必ず物を噛みます。
 このものを噛む動作(咀嚼)は、一定のリズムを伴った運動であるといえます。
 上述のリズミカルな運動と同じく、セロトニンの活性化に役立ちます。
 「運動はちょっと苦手・・・。」と、考えられている方でも、食事は必ず取るでしょうから、食事の際によく噛んで食べることを心がけてみてはいかがでしょうか。
  『ものをよく噛む』と言うことは、栄養の効果的な摂取や、消化を助けることにも繋がりますし、あごの筋肉の維持など、セロトニンの活性化以外にも様々なメリットがありますし、どなたでも簡単に試せる方法です。


 さらに、唾液=つばを出すのがよいのかといいますと、唾液には、アミラーゼと言う酵素が入っていて、食べたものを消化することを助けてくれるほか、成長ホルモンも含まれています。この成長ホルモンは、傷ついた細胞を修復したり、新陳代謝を促し老化防止するなどミトコンドリアを守ってくれる要素があるからです。
 すなわち、唾液の量が多いと、それだけミトコンドリアが守られ、数が減るのを防いでくれると言うことです。また、味蕾の感覚を鋭敏にするとも言われています。
 成人が一日に出す唾液量は、0.5ℓから1.5ℓといわれています。
 平均値だけ見ても一リットルもの開きがあるのです。
 この量を増やすだけで、あなたのミトコンドリアは守られ、若さを保つアンチエイジングの効果もあります。


(2)血糖スパイクを抑えるために・・


 分子化学療法研究所の後藤日出夫先生は以下のように述べています。


 咀嚼(そしゃく)には食物を細かく砕くとともに、食物を選別(魚の骨など食べられない物を除く)し、飲み込みやすくするだけでなく、次の効果が期待できます。


 ・消化液の分泌をよくする
 ・食欲の中枢神経を刺激し、食べ過ぎを抑制する
 ・あごの発達や歯を丈夫にする
 ・大脳を刺激し認知症を予防する
 ・集中力を高めストレスを緩和させる
 ・目のまわりの血行をよくし視力低下を予防する
 ・虫歯や肥満の予防をする


 このようなことから、食べ物はよく噛んで食べることをお勧めします。
  ところで、むかしから、消化吸収には「よく噛んで食べること」が推奨されていますが、実はやたらと噛めばよいというものでもないのです。
  ほとんどの食べ物は空腸(小腸の前半)で消化吸収が終わります。ここまでの時点での消化速度を見ると、食物繊維を多く含むもの、糖質を多く含むタンパク質(豆類など)、アミロースの多い穀類(インディカ米など)、難消化性糖質など、もともと構造的に消化しにくいものほど消化吸収がゆっくりで、つまり咀嚼の程度にはほとんど関係なく、食べ物によって最初からある程度決まっています。
  咀嚼(そしゃく)の程度ではなく、食べ物自体の消化吸収のしやすさで決まってしまうということなのです。
  ただし、アレルギー皮膚炎やアトピー性疾患などのようにアレルゲンとして未消化物がとなる可能性が高い場合には、空腸と内容物との接触時間をできる限り短くするためにもよく噛む方が極くわずかかもしれませんが好ましいのかもしれません。
 いずれにしても、咀嚼(そしゃく)に時間をかけるということは、消化吸収までの時間を長くすることになりますので、食後の血糖値の急激な上昇を抑えるためにも悪いことではありません。
  また、咀嚼(そしゃく)に時間をかけるようにするためには、調理の際に根菜類、肉類などは具材を大きめに切ることや、具材を軟らかく調理し過ぎないこと、丼ものにしないことなどの工夫をすると良いでしょう。
  利き手と逆の手で食べると早食いを避けることもできます。
  結局、食後の血糖の上昇を抑えるには、咀嚼(そしゃく)に十分に時間をかけ(早食いをせず)、糖質(炭水化物)だけの偏った食事にならないように、タンパク質、油脂(あぶら)分を考慮した調理・摂り合わせをし、滞胃時間が短くなり過ぎないようにすることが大切ということになります。
  大切なのは、食べても直ぐに空腹にならず、胃もたれもなく、次の食事の時間の30分程度前にお腹がやや空(す)くように、糖質、タンパク質、脂質、食物繊維などを適正に組み合わせることが血糖の上昇を抑える最良の食事法ということができます。
  脂質を多くすると滞胃時間を長くすることができ、食後の血糖の上昇を抑制することは出来るのですが、反面、滞胃時間が長くなりすぎると胃もたれなどを起こし、胃疾患や逆流性食道炎などの可能性を高めることになります。
  

 (3)AGEを増やさないために・・


 消費されなかった余分な糖は、コラーゲンなどのタンパク質と結びつきAGE(終末糖化産物)という物質に変質してしまいます。
 過度の早食いもAGEを増加させる原因となります。大量の糖質が胃から腸へ一気に届くことで、糖とタンパク質が反応しやすくなり、AGEを生成させやすくしてしまうためです。
 ですので、ひと口ずつしっかりと咀嚼しながら食事をすることを心がけましょう。一気食いしてしまいがちな牛丼などは避け、できるだけ定食メニューを選び、一口目から完食まで20分を目安に食事をすると良いでしょう。


(4)歯の噛み合わせの悪さ


 歯のかみ合わせが悪ければ、当然のこととして咀嚼そのものが疎かになります。


 私達の身体は6kg近くある人の頭の重さを、頸椎と歯の噛み合わせによって支えています。噛み合わせに問題があると、重たい頭を支えることができず、頭が前に倒れてしまいます。このため、歯の噛み合わせが悪い人は、頭が前傾して猫背になっていることが多いです。このように、歯科医の内田信友先生は、歯のかみ合わせの悪さ(奥歯も含め)が「ストレートネック」を起こして頭痛の原因となるとされます。
 このため、先生独自の提唱する「体操」と「テンプレート療法」を行うことによって、「ストレートネック」が改善されると述べておられます。
 また、歯のかみ合わせの悪さが、咀嚼する度に三叉神経核に異常な刺激を送り続け、これが「脳の興奮性」を高め、これが片頭痛の原因となるとも考えられています。


 以上のようなことがあるようです。よく嚙んで食べましょう。