ミトコンドリアは健康と美容の大敵である活性酸素を抑えるカギを握っています。
それでは、ミトコンドリアとは・・
ミトコンドリアは、人間の細胞の中にある小器官のひとつです。ひとつの細胞にミトコンドリアは100~3000個存在し、呼吸から得られた酸素と食事から摂取した糖質・脂肪などの栄養素を使って、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギーの源である非常に重要な物質を作り出します。
ATPが分解して無機リン酸を放出し、ADP(アデノシン二リン酸)に変化する時に発生するエネルギーが、身体維持や活動のエネルギー源(熱・筋肉の収縮など)になります。
老化や病気、疲れの原因
ミトコンドリアは年齢とともに減少し、働きも衰えてきます。
ミトコンドリアの数が多ければエネルギーの生産が活発になりますが、ミトコンドリアが少なかったり、質が低下したりすると、作られるエネルギーが不足してしまいます。少ないエネルギーは、呼吸や体温調節などの生きるために必要な部分に優先的に使われ、遺伝子の修復や若さを保つための機能などにエネルギーが十分に回らず、機能しなくなってしまいます。これが老化やガンなどの病気につながってくるのです。
また、ミトコンドリアの減少や衰えは代謝を低下させます。基礎代謝が低下すると、体温が下がり免疫力が低下、血液の循環が悪くなり栄養の吸収や老廃物の排出に悪影響を与えます。若いころに比べ、疲れやすくなったり、太りやすくなったりするなどの体の変化は、加齢によるミトコンドリアの減少による代謝の低下が考えられます。
ミトコンドリアが”活性酸素”を作ってしまう
ミトコンドリアがなぜ老化や健康被害、疲れを引き起こしてしまうのか、そこには活性酸素が関係しています。ミトコンドリアは、ATPを作り出す過程で、活性酸素を生み出してしまいます。発生した活性酸素はミトコンドリア自体にもダメージを与え、質の悪いミトコンドリアとなり働きを低下させるだけでなく、エネルギーを生産する際に発生する活性酸素の量を増加させます。
質の良いミトコンドリアは発生する活性酸素が少なく、より多くのエネルギーを生産することができます。
活性酸素
細胞の中にあるミトコンドリアが酸素をもとにエネルギーを作ることで、身体は活動しています。そのミトコンドリアが酸素をもとにエネルギーを作る過程でできた副産物、いわゆる「廃棄物」が活性酸素です。
非常に不安定な物質で、強い活性をもつゆえに他のものと結合しやすく、体内の鉄と反応して「酸化=サビ」させたり、脂質と反応して、血管中にこびりつきやすい「過酸化脂質」を作ったりします。
それゆえ、活性酸素は老化や疾患を引き起こす原因のひとつとされており、体力・肌の衰えや記憶力の低下、深刻な場合には心筋梗塞や動脈硬化、ガンの発生のメカニズムにおいて直接的引き金とも言われています。
紫外線や排気ガス、化学物質、食品添加剤、酸化した油脂、ストレスといった要素も、体内に活性酸素を増やす事が知られています。
疲労を感じる原因も以前は、疲労物質として乳酸がたまることによっているとされ、長い間常識のように言われていましたが。近年、実は乳酸ではなく活性酸素が原因であることが証明されています。
また、乳酸は運動後、体に多く存在している方が望ましいという事もわかりました。
「血中乳酸濃度」は疲労原因を示すものではなく、高ければ高いほど、筋力運動がしっかり行われている結果を示しています。
活性酸素とは、今から50年以上前に米国の生化学者フリードリッヒ博士の研究によって解明された化合物でフリーラジカルの一種です。その後、世界各国で研究された結果、病気の原因の約90%は活性酸素にあるということがわかっています。
活性酸素の働き
活性酸素には、身体に良い働きをする善玉活性酸素と、身体に害を及ぼす悪玉活性酸素があります。善玉活性酸素は、体内に侵入してきた細菌・ウイルス・有害物質などを排除する働きをし、風邪や病気などから身体を守る免疫作用を持っています。
一方の悪玉活性酸素は、正常な細胞や遺伝子も攻撃し、その強い酸化力で身体をサビさせ老化や病気を誘発します。
活性酸素が発生する原因
呼吸をすることで体内に取り込まれた酸素は、赤血球により細胞に運ばれ、体内で栄養分を分解し、脂肪や糖分を燃やして生きていくためのエネルギーを作り出しています。
このエネルギーを作り出す働きをするのがミトコンドリアという小器官で、エネルギーを作り出す過程で同時に約2~3%の活性酸素を作り出してしまうのです。
普通に生活をしていても発生する活性酸素ですが、食生活の乱れ、ストレス、運動不足、激しい運動、食品添加物、放射線などが原因で過剰に発生してしまった際に悪玉活性酸素となり身体に悪い影響を与えます。
悪玉活性酸素が引き起こす症状
多くの悪影響を与える悪玉活性酸素は強力な酸化力で細胞や遺伝子を破壊し、コラーゲンや酵素などを作っているタンパク質などに障害を与え、身体中でに病気や老化の症状を引き起こします。
活性酸素が原因となる疾患には、癌(ガン)、動脈硬化、糖尿病、アトピー、喘息、花粉症、リュウマチ・関節炎、肩こり、高血圧、片頭痛、認知症、薄毛・抜け毛・白髪、生理痛、老化(しわ、たるみ)などあります。これらは一部となり、活性酸素が原因となる疾患は200種類以上あると言われています。
体内には、活性酸素の働きを抑える抗酸化機能を持った酵素が存在し脅威から身体を守ってくれています。また、ビタミンCやビタミンE、カテキンなどの抗酸化物質も活性酸素を抑える作用を持つ成分となります。
このように、体は活性酸素に対し無防備なわけではなく、それを消去する機能として抗酸化作用のある酵素を出す力が備わっています。
抗酸化作用のある体内酵素
【SOD(Superoxide Dismutase)】
活性酸素を除去する力を持つ酵素。細胞のミトコンドリア内に存在しており、活性酸素による酸化ストレスから体を守ってくれます。活性酸素を多く生むがん細胞を抑制するため、抗がん剤として用いられます。
【カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ】
活性酸素による体のサビ=酸化を防いでくれる物質。
代表的な抗酸化ビタミン質
【ビタミンA】
カロテン類、緑黄色野菜や卵・赤身魚等にとくに多く含まれますが、脂溶性(脂質に溶ける)ビタミンのため肝臓に蓄積されるという特徴があります。
【ビタミンC、E】
ビタミンC(アスコルビン酸)は果物類、ビタミンEは特にナッツ類などに多く含まれる。
ビタミンA、C、Eは互いの力を補い合って作用するので、同時に摂ればより抗酸化作用が高まるといわれております。
(安全な酸化防止剤として食品や化粧品などに添加されることも多い)
代表的な抗酸化物質
その抗酸化力の強さが近年注目されております。美肌効果をはじめとするアンチエイジングケア、生活習慣病の予防、老化防止効果などが期待されます。
【カロテノイド】
カロテン類:βーカロテン(ニンジン)、リコピン(トマト)
キサントフィル類 :ルテイン(緑黄色野菜、ブルーベリー)アスタキサンチン(鮭の肉、ヘマトコッカス藻)
【ポリフェノール】
フラボノイド類:タンニン(赤ワイン、茶カテキン、キャンドルブッシュ)、カテキン(茶)、ルチン(そば)、アントシアニン(ぶどう)、イソプラボン(大豆)、
その他:クルクミン(ウコン)、セサミン(ごま)
日焼けをすると普通の酸素が強力な活性酸素に変わってしまうのでシミができたり、肌のハリが弱ってシワができたりします。
早食いや大食いをしても活性酸素は生み出されます。ですから昔から「食事はゆっくり、よく噛んで」と言われています。
ほかにも、ストレスでも活性酸素は誘発され免疫機能が低下して多くの病気の要因になりますし、タバコを吸ったりお酒を飲み過ぎたりしても活性酸素は生じます。
またガンや糖尿病、動脈硬化といった病気や、アレルギーや花粉といった症状まで活性酸素は深くかかわっています。
しかし、活性酸素には悪い側面だけでなく良い側面もありますので、抗酸化物質などをたくさん摂りすぎると必要な活性酸素も消去してしまうこともありますので注意が必要です。
このように美容や健康に大敵な悪玉活性酸素を生じさせないためにも、質の良いミトコンドリアを増やすことが大事というわけですが、うれしいのはちょっとした生活習慣や運動によって一週間ぐらいでグンとミトコンドリアを増やすことはできるということです。
質の良いミトコンドリアを増やす方法
年齢とともに減少してしまうミトコンドリアですが、増やすことが可能です。ミトコンドリアを増やすことができれば、効率良くエネルギーを作り出すことができ、若々しく健康な体を維持できます。
やや強めの有酸素運動
ミトコンドリアは、エネルギーが足りなくなってきたと感じた時に増加する性質を持っていて、ATP(アデノシン三リン酸)が細胞内になくなったらミトコンドリアが分裂を始めます。ウォーキングでは負荷が小さくミトコンドリアはそれほど刺激されないので、酸素を使って脂肪を燃やすランニングなどがATPを早く減少させ、ミトコンドリアを刺激し、活性化・増加に効果的です。
ランニングをする際、息が上がりすぎるぐらいの早さで走ると活性酸素が発生してしまうので要注意です。最大心拍数が60%を超えないぐらい(「気持ちいいなー」と思えるぐらい)で走ると、活性酸素を抑えつつミトコンドリアも増やせます。
また、ウォーキングを効率の良い有酸素運動にするには、最初に30秒くらい小走りをしたあと1分くらい呼吸が整うまで歩く。また30秒くらい小走りをしてエネルギーを消費してからウォーキングをすると、ミトコンドリアを増やす効果が高まります。
背筋を伸ばして姿勢を正す
ミトコンドリアは、背筋の筋肉や太ももの筋肉に多く存在します。背筋を伸ばし姿勢を保つときに使う筋肉を意識的に使うことでミトコンドリアを刺激し、活性化・増加に繋がります。
簡単なのは、ミトコンドリアが多く含まれている背中を“背すじが伸びた良い姿勢”に保つことです。私はPCに向かっているときこそミトコンドリアを増やす良いチャンスと思いながら実行しています(忘れてしまって、猫背になっている時間のほうが長いような気もしますが)。
また太ももにも多くミトコンドリアが含まれているので、ヨガや太極拳、日本舞踊なども効果的だし、一分間、片足立ちをするだけでも効果はあります。
寒さや空腹を感じる
寒さや空腹を感じることで、体はもっとエネルギーが必要だと認識し、ミトコンドリアはエネルギーを作ろうと活性化し増加します。
お風呂のあとに水シャワーをかけること、腹七分目を心がけたり、空腹の状態を気持ち良いと感じるようにすることです。
ミトコンドリアの働きを助ける栄養素
・タウリン : イカ・タコ・魚介類など
・リコピン : トマト
・硫化アリル : ニンニク、ニラなど
・スルフォラファン : ブロッコリースプラウトなど
・ビタミンB群 : うなぎ・豚肉・玄米など
・鉄分 : レバー・卵黄・あさりなど
緑や赤、黄色の野菜を積極的に摂ること(つまり抗酸化物質を摂るということ)、ストレスを感じないような考え方に意識的に切り替えることです。
ストレスに関しては後ほど・・・
いつまでも若くて美しい人とそうじゃない人の違いとは?
「いつまでも美しく健康でいるためにはどうしたらいいの?」とか、「年を重ねても若くて美しい人とそうじゃない人の違いってなに?」などと、 疑問に思ったことはありませんか?
実はこれ、ミトコンドリアに違いがあるのです。ミトコンドリアは細胞の中にある小器官です。細胞全体の10〜20%を占めていて、その主な働きは、体や臓器を動かすこと、考えること、熱を発生させるためのエネルギーを作り出すことです。このミトコンドリアでエネルギーを作り出す際に必要なのが酸素。人間が呼吸をしないとすぐ死んでしまうのは、酸素なしではミトコンドリアが生命活動に必要なエネルギーを生み出すことができないからです。
このミトコンドリアが、エネルギーを合成する際に発生するのが活性酸素です。ミトコンドリアは電気エネルギーを利用してエネルギー合成を行うのですが、体内の酸素量が急に増えたり、ミトコンドリアがオーバーワークして電圧が高くなりすぎたりすると電子がこぼれてしまい、体内の酸素と結びついて活性酸素が生み出されます。この活性酸素がその強力な酸化力で細胞を傷つけることで引き起こされるのが老化や病気なのです。
姿勢を良くしてミトコンドリアを増やそう!
つまり、老化や病気を遠ざけるため=「いつまでも美しく健康でいるため」にはこのミトコンドリアと活性酸素を制する必要があるということ。そのためにできることは次の3つです。
(1)良質なミトコンドリアを増やす
ミトコンドリアは体にとって必要な量しかエネルギーを作ってくれません。体を休めてばかりいるとミトコンドリアの量もエネルギーの生産量も落ちてしまいます。逆にミトコンドリアを増やしたい場合は、体にエネルギー不足を知らせてあげればいいのです。
それには、背筋を伸ばす/背筋や太ももの筋肉を鍛える/マッサージで体を刺激する/空腹を感じる/寒さを感じる、などが有効。具体的には、常に背筋を伸ばして大股で歩くように心がける。食事はお腹が空いてから。そしてクラシカルな手法ですが寒風摩擦なども効果的です。
(2)体内の酸素量を急激に増やさない
体内の酸素量を急激に増やさないようにするためには、急激な運動は避けるべき。運動時には丁寧にウォームアップやクールダウンを行いましょう。また、余計なストレスを避けること、メンタルを整えることも大切。強いストレスを感じると血流が一時的に悪くなり、それが回復するときに体内の酸素量が急激に増えます。その状態を避けるため、ストレスに強いメンタルづくり、または余計なストレスを避ける環境づくり……自分が幸せを感じられる感覚を大事にすることが大切になります。呼吸法や瞑想、両方を学べるヨガなどからコントロール方法を学ぶのもいいでしょう。
(3)発生した活性酸素を除去する
活性酸素の除去方法については、抗酸化物質が有効です。
老化の最大の原因は、エネルギーの不足です。
エネルギーの総量が少ないとき、私たちの体は生きるために必要な基礎代謝や体温調整など、「最低限の生命維持」を優先してエネルギーを使います。
しかし、「最低限の生命維持」を行なっているエネルギーの少ないときは、怪我や病気などで修理が必要な箇所が出てきても、その修理に使う分のエネルギーは足りません。
このため、修理できない部分が未修復の状態になり、老化が進んでしまうのです。
ですから老化を遅らせるためには、体がエネルギーをたくさん産生できるようにすることが大切です。
ただしエネルギーは蓄積できないため、随時、適量のエネルギーを産生する必要があります。
このエネルギーの産生を担うのが、ミトコンドリアによるエネルギーの産生方法。
体中のミトコンドリアがエネルギーを豊富に産生してくれることで、修理が必要な箇所の修復を行なうことができて、老化の進行を食い止めてくれます。
このようにミトコンドリアのエネルギー産生がうまく機能することで、私たちはいつまでも若々しくいることができるのです。
ミトコンドリアが減少する要因と老化の仕組み
ミトコンドリアは、酸素を利用してエネルギーを作る際に「酸素フリーラジカル」という分子も同時に作ります。
この酸素フリーラジカルは、ミトコンドリアのDNAを傷付けてしまう分子です。
しかし、ミトコンドリアDNAが正常に機能しているうちは、その傷は自然に修復されます。
ただし、DNAが傷を修復する過程で突然変異が起こってしまうと、DNAに変異が起こってしまい、がん細胞に移行することも・・・。
すると、がん細胞への移行を阻止するため、ミトコンドリアは自ら有害な細胞を排除して死に至らしめる「アポトーシス(細胞の自殺)」という仕組みを作動させます。
このアポトーシス(細胞の自殺)は、結果として体内のミトコンドリア数を減少させ、それに伴う機能低下をもたらすこともあるのです・・・。
つまり、「酸素フリーラジカルによるDNA変異ががん細胞へと移行するのを阻止するために、アポトーシス(細胞の自殺)が起こり、ミトコンドリアの減少を引き起こす」ということです。
この結果、エネルギー産生量が低下してしまい、老化が引き起こされるのです。
ミトコンドリアを活性化する運動
ミトコンドリアは、酸素を使ってエネルギーの産生を行ない、体を修復して老化を防ぎます。
ミトコンドリアのそうした活動を活発にするには、運動が効果的。
有酸素運動でミトコンドリアを鍛える
「解糖系」と「ミトコンドリア」によって生活するのにじゅうぶんなエネルギーを作り出すことができている状態では、ミトコンドリアも酸素吸入量も、現状から大きく増えません。
逆に言うと、ミトコンドリアを増やすことが必要になる程度の酸素を取り込むことで、「ミトコンドリアを増やす」ことができるのです。
つまり、少しきつめの運動、特に酸素を必要とする「有酸素運動」を行なうことで体内に酸素が多く取り込まれると、ミトコンドリアがフル回転を始め、エネルギーを産生します。
また、ミトコンドリアのDNAが高まる需要に応えるためにミトコンドリアの分裂を促し、ミトコンドリアが増加することがあるのです。
これらの理由から、ミトコンドリアの増加には「酸素と有酸素運動が必要」だとお分かり頂けたでしょうか?
ヨガで遅筋を鍛えて老化予防
ミトコンドリアを鍛える有酸素運動として、最もおすすめしたいのは「ヨガ」です。
手足の筋肉や体表面の筋肉はどちらかと言うと無酸素活動が得意な「速筋」でできており、インナーマッスルと言われる体の内側の筋肉は有酸素活動の得意な「遅筋」でできています。
「速筋は白っぽいため白筋」「遅筋は赤っぽいため赤筋」と呼ばれており、遅筋には赤い「ミオグロビン」というたんぱく質と、「ミトコンドリア」が多く含まれているのです。
ヨガで使う筋肉は、主に「遅筋」です。
つまり、ヨガを行なうと遅筋(インナーマッスル)に有酸素運動をさせることができ、そこに含まれるミトコンドリアを増やすことができるのです。
また、ヨガにおける「瞑想」は、有酸素運動によって発生したエネルギーを体の隅々まで届けるためのもの。
これらの理由から、ヨガはミトコンドリアを活性化して老化を防ぐ、おすすめの有酸素運動と言えるのです。
最近では、「ロングブレス」が提唱されています。
ミトコンドリアを活性化する食事
米国・マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授が、2003年に酵母菌の中から長寿遺伝子「サーツー(Sir2)遺伝子」を発見しました。
実は、この長寿遺伝子が「ミトコンドリアを活性化させるカギ」を握っていたのです。
ミトコンドリアの食事での活性化:腹8分目ではなく「腹7分目」が理想
2003年に酵母の中から発見された長寿遺伝子「サーツー(Sir2)遺伝子」。
「サーツー(Sir2)遺伝子」が活性化すると、細胞を新しく生まれ変わらせる「オートファジー(自食作用)」という機能が働きます。
このオートファジー機能によって、細胞内の「ミトコンドリア」が増加するだけでなく、細胞の中で異常を起こしたたんぱく質や古いミトコンドリアが除去されて、細胞を若返らせることができるのです。
またオートファジー機能には、脂肪の燃焼やシミ・シワの防止、認知症や難聴の予防など、私たちの体を若々しく健康に保ってくれる様々な効果があります。
「サーツー(Sir2)遺伝子」は、カロリー制限を行なって体を低栄養素状態にすることで、活性化のスイッチを入れることができます。
実際に、ラットのカロリー摂取量を60%にするという実験が行なわれており、その結果寿命が延びたという報告もあるのです。
またその他の実験でも、カロリー制限をした線虫の寿命が1.5倍、ショウジョウバエの寿命が1.3倍に延びたと発表されたそうです・・・!
これらの実験結果から、食事は腹7分目に制限することで長寿遺伝子が活性化され、ミトコンドリアも活性化し、健康で若々しい体になることが結論づけられました。
最後に、ストレスとは?
ストレスの語源は、外部から刺激を受けて体に起こる反応と、その原因となる刺激(ストレッサー)のことです。ストレスには、大きく分けて物理的なストレス(暑さ、寒さ、騒音など)、生理的なストレス(過労、感染、アレルギー)社会的・心理的ストレス(人間関係、職場での不満、挫折、不安、大きな悲しみ)の3つのストレスがあります。
現在では、「社会的・心理的ストレス」を主に重視していますが、やはり「物理的ストレス」「生理的ストレス」を切り離して考える事はできませんから3種のストレスを総合的に判断する必要があるのです。
ストレスと疾病の関係
「ストレス」と疾病の関係には密接な関係があることは既に知られている事ですが、特に小児喘息、小児白血病の発生とストレスの関係、成人の関節リュウマチ、癌の発生とストレスの関係性は良く知られています。
強いストレスを感じると免疫力が低下することが分かっており、上記の疾病以外にも様々な疾病の引き金となる可能性があるのですから「ストレス」を溜めてしまう事は単に精神的に不快な状態であるという事ではなく重大な疾病にかかりやすくなっている危険な状態であるという事を認識する必要があります。
ストレスケアの栄養学
ストレスを感じるとイライラしますよね?
そんな時にどんな栄養素を摂るとストレスに対抗できると思いますか?
大抵はカルシウムと考えるのではないでしょうか?
もちろんカルシウム不足はイライラの原因になりますが、ストレスを感じてイライラするのとは少し違います。
まずはイライラすると体内でどんな現象が起きるかを考えてみましょう。
ストレスを感じると食べ物から取り込んだ体内にあるビタミンCがあっという間に消されてしまいます、さらに体内から排出されるマグネシウムの量も増えてしまうのです。
ビタミンCが消えることでどのようなことが起こるでしょう?
抗酸化作用を持つビタミンCが消えることで体内には活性酸素が大量に増えてしまいます。よくストレスで頭痛がする、胃が痛いなどという症状が出ることがありますが単に神経的なものではなく、すべての疾病の引き金ともなる活性酸素が増える事で頭痛や胃の痛みが起こるのです。という事はストレスを常に感じている状態では常に深刻な病にかかりやすい状態にさらされているということになります。
ビタミンCは体の中で作られることがありませんし体内に貯蔵しておけないので、こまめに摂取しないと体外に排出されてしまいますから、毎日のお茶をローズヒップティーに変えるとかルイボスティーに変えると効率良く摂取することができます。サプリメントで摂取するなら、ビタミンCでももちろん有効ですが、抗酸化作用の持続性の強いアスタキサンチン、フラバンジェノールなどを摂取すると更に良いでしょう。
ではマグネシウムが不足するとどうなるでしょうか?
マグネシウムが不足すると陶酔感や満足感を伝達するドーパミンという脳内物質が減ってしまいます。またドーパミンが減ることで、不安感を無くしリラクゼーションや喜びに関連しているといわれる脳内物質のセロトニンの分泌も少なくなってしまいます。
その結果、ストレスを感じていない時でも、常に不安感や不満感を抱えている状態になってしまいます。マグネシウムが不足する事によってイライラが増しイライラする事で余計にマグネシウムが消費されてしまうのです。
マグネシウムは緑黄色野菜に多く含まれていますから三食の食事の際に積極的に摂るようにしましょう、サプリメントで補うのも良いと思います。またチョコレートの中にもマグネシウムが含まれていますから間食にカカオの含有量の多いチョコレートを食べるのも効果的です。
ストレスを溜めない生き方を実践する♪
一般的にストレスに強い人と弱い人がいると云われますが、常にネガティブな思考回路でものを考えてしまう人とポジティブな思考回路でものを考える人の違いが大きく出るのだと思います。頭の固い人、理想主義者も現実に上手く適応する事が難しいのでストレスに弱くなるのかもしれません。
いずれにしても、ストレスを感じた時の自分の状況や精神状態によって、同じ負荷のストレスであっても受け止め方はかなり違うものですから、ストレッサーとストレスに一定の法則など存在しないのです。
まずは日々のストレスを上手に解消する方法を身に付けて、ストレスを溜めない生き方を実践する方法を身に付けましょう。
ストレスの感じ方を軽くする方法
1)思考をやわらかくする
他人を自分の考えに従わせようとするのは止めましょう。(そんな事はしていないと言い切る人に限って実は・・・という事が多いのでご自身の行動を振り返ってみましょう)
なぜなら、マインドコントロールしているのでもなければ、相手を自分の考えに従わせたところで一時的に相手を抑圧している事に他ならないのですから!
たとえ子供であっても、夫婦であっても相手が自分の思うとおりの行動をとらないのは当たり前の事なのだという事を常に頭に入れておきましょう。人間は本来、自分の利益にならない事などやりたがらないのですから!
利益というと語弊があるかもしれませんが、自分にとって有益であると思う行動以外は積極的にとりたがらないものであると云うのが妥当な表現かもしれません。無理に相手を従わせようと考えると、相手が自分に従わない場合は感じなくても良いストレスを感じることになります。もちろん、従いなさいと言い渡された相手もやりたくも無いことをやるのですからストレスを感じることになるのです
自分の価値観だけで物事を判断するのは止めましょう。
ある程度の年齢になると、得てして自分のものさしで物事を量る癖がついてしまいます。
「こんな服装で、こんな行動をとる人はこうなのよね~」「私が若い頃はこんなではなかった」そんな考えで物事を判断する癖がついていると現実に対して常に腹をたてたり批判的な気持でいる事になってしまいます。回りの人達も、そんな批判的な発言を快く思っていない事が多いものです。知らず知らずストレスを溜める事にもなりかねませんから、大らかな気持で物事を受けとめる習慣をつけましょう。
2)食生活の改善でストレスに強くなる
ストレスに強いと言われる人達の好む食材がある?!
自分はストレスを感じづらいと感じている人と、人一倍ストレスを感じると思っている人がいるものです。育ってきた環境、遺伝的要素、性格などが影響することはもちろんですが、食生活によってストレスの感じ方が違う事は明らかな事実なのです。
油脂、糖分が多い食事を摂っている人(ファーストフード、ラーメン、スナック菓子などを常食している人)はイライラを感じやすくなりますし、喫煙者はニコチン中毒というだけでなくタバコを吸う事によりビタミンCを壊してしまいますから日頃からイライラしやすくなってしまうのです。逆に野菜、たんぱく質、カルシウム、ビタミン群をバランス良く摂っている人(特に野菜類がすきな人)はストレスに強くなる傾向があるようです。
当然と云えば当然の結果なのですが、ストレスを感じやすいと感じる人の多くがストレス解消の為のやけ酒、喫煙などの習慣が断ち切れず症状を悪化させている人が多いというのが現実なのです。
毎日、緑黄色野菜、淡色野菜を必ず摂る事を心がけましょう、温野菜を100g以上、生野菜を100g以上摂るのが理想的です。どうしても摂れない日には野菜ジュース(400ml以上)でも良いと思います。なによりも毎日摂り続ける事が重要です。
3)質の良い睡眠をとる
いかに長く眠るか、よりもいかに質の良い眠りをとるか。
十分な睡眠がとれていないとイライラしがちなものです。
睡眠というと眠る時間(6時間~8時間神話)ばかりを気にしてしまいがちですが、実は質の良い眠りをとる事が重要なのです。たとえ4時間半の睡眠時間でも質の良い睡眠であれば十分であるとも言われています。(体調や性別によって個人差あり)
どうすれば質の良い睡眠がとれるかは、まずは寝室の環境を整える(騒音の少ない環境で、空気清浄機を置く、季節によっては加湿器をつかう、アロマテラピーなどをつかう)という事、次に睡眠に入る前にあれこれと今抱えているトラブルや悩みなどを思い浮かべないという癖をつけることが重要です。(ほとんどは考えてもどうにもならないが多いでのすから)ぬるめのバスタブに浸かって副交感神経を優位にしてから眠るのも良いと思います。お気に入りの音楽を聴きながら眠るのも良いでしょう。
食事後3時間経ってからの就寝が理想的なのですが、空腹感を感じてしまう場合は微量の炭水化物(油脂の含まないクラッカー、小さなおにぎりなど)を摂る法がリラクゼーション物質であるセロトニンが分泌されやすく眠りに就きやすくなります。ホットミルク、甘酒などを少量頂くのも質の良い眠りをとる手助けをしてくれます。
ただし、お酒を飲んでの睡眠(ナイトキャップ)は一見良さそうに思えますが、実は質の良い睡眠を妨げる事が多いのでやめた方が良いでしょう。
ミトコンドリア研究の第一人者とされる日本医科大学教授・太田成男先生によれば、「すべての細胞に存在するミトコンドリアの研究は、全身を対象とするものです。ミトコンドリアを考えることで、脳や心臓といった身体の部位を一つひとつ切り離すのではなく、総合的にとらえる視点を得ることができるのです」と、極めて含蓄ある表現をされています。
片頭痛を改善させた方々は、皆さん、実年齢よりずっと若返って、見違えるように美しくなっていることを忘れてはなりません。
ミトコンドリアを詳しく知りたい方には、決定版入門書と言われている『ミトコンドリアのちから』太田成男・瀬名秀明著(新潮文庫)をご覧下さい。