慢性片頭痛に至らないために・・前回の続きです | 頭痛 あれこれ

頭痛 あれこれ

 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 前回、慢性頭痛の発症様式のなかで、第3段階の「自然治癒力(ホメオスターシスの乱れ)があることを述べました。ここでは慢性片頭痛に至る要因に関連して述べます。


 これを、第5段階として、述べます。
 
 片頭痛は、約3割が自然に治癒し、約4割が症状は変わらず、残りの3割が慢性化して増悪してきます。
 自然治癒した3割は、ホメオスターシス、すなわち”恒常性を維持するための「環境に対する適応力」により治癒したものです。
 ”セロトニン神経系””生理活性物質””腸内環境”の問題点が持続して存在すれば、「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続され、4割の方々が、症状が変わらない状態(発作がいつまでも繰り返される)が持続することになります。
 すなわち、脳内セロトニンの低下を引き起こす生活習慣があったり、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活があったり、腸内環境を悪化させる要因が持続するような生活習慣が継続していることを意味しています。
 「ホメオスターシスの三角形」の”歪み”が継続された状態に、さらに「ミトコンドリアの弱体化」、「脳内セロトニンの枯渇」、生理活性物質の問題(必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の摂取バランスの悪い食生活の常習化)によって「ホメオスターシスの三角形」のバランスが崩壊することによって、さらに「体の歪み(ストレートネック)」等々の慢性化の要因が加わることによって、自然治癒力が失われた状況に至って、2~3割の方々が慢性化に至ってきます。これが慢性片頭痛の本態です。
 
 このように片頭痛は”未病”の段階にあり、緊張型頭痛を起点として、さまざまな生活習慣の問題点が重なることによって、「いろいろな段階の片頭痛」へと進行し、最終的に「慢性片頭痛」という難治な段階に至ることになりますので、常に自分の生活習慣に気を配り、何か問題があれば、その都度改善に努める必要があります。このように進行性疾患です。


市販の鎮痛薬の弊害

 このようなことから、最初に頭痛が起きた場合、安易に「市販の鎮痛薬」を服用することなく、頭痛を緩和させる”スベ”を会得することが大切になります。その上で先程の慢性頭痛を引き起こす原因が、あなたの生活習慣のなかに存在しないかどうかを点検しなくてはなりません。このように根本的に改善させておくことが重要になってきます。こうした要因はすべて、あなたの生活習慣のなかにあります。

 信じられないかもしれませんが、皆さんは、頭痛の際に服用される”頭痛薬”が頭痛の原因となることをご存じでしょうか。 
 これまで、痛みがあれば、まず市販の鎮痛薬を、これでダメなら病院での鎮痛薬NSAIDs、これで効かなければエルゴタミン製剤を、これでも効かなければトリプタン製剤が勧められてきました。このように段階的に、”鎮痛薬”の服用が推奨されてきました。
 そして、最後の”砦”とされるトリプタン製剤は片頭痛の”特効薬”とされてきました。
 このように片頭痛治療の場面では、各種の諸々の薬剤によって、ただ単に”頭痛という痛み”さえとれば、これで解決したと安易に考えられてきました。


「薬剤乱用頭痛」

 このように市販の鎮痛薬、病院での鎮痛薬NSAIDs、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤を頻繁に服用することによって「薬剤乱用頭痛」が引き起こされるため、注意が必要とされます。
 それでは、この「薬剤乱用頭痛」はどうして起きてくるのでしょうか。専門家は、このように薬で頭痛を抑えていると、脳の中にある”痛みを抑制させる中枢”がサボって働かなくなるために起きるとされますが、実際には以下のように考えなくてはなりません。

 こうした薬剤すべては、人体にとっては害(有害なもの)になるのです。これらを解毒する際に、活性酸素が発生し、このためにミトコンドリアの働きを悪くさせることによって、片頭痛を増強させます。
 また、これら薬剤はいずれも”化学的ストレス”となって、脳内セロトニンを低下させ、痛みの閾値を下げるため痛みを感じやすくさせるために、薬剤乱用頭痛を引き起こしてくることになります。
 このようにミトコンドリアと脳内セロトニンの2つのが関与して、「薬剤乱用頭痛」を引き起こし、頭痛薬によって、かえって頭痛をひどくさせる原因になってきますので注意が必要です。

「トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛」

 頭痛専門医は、片頭痛の場合、市販の鎮痛薬で痛みを抑えていると、一部の脳の活性が高まり、そこにつながる血管が異常拡張して、痛みが生じ、血管の異常拡張がさらに脳の活性をもたらし、それが再び血管の異常拡張へとつながり、つまり、悪循環が終わらなくなるとされ、それによって常に片頭痛がある状態になり、血管の拡張が繰り返されると、血管自体に炎症やむくみが残って、さらに頭痛を起こしやすくなるとされます。
 こういった見解を一部の先生方は述べられ、極めて軽い片頭痛発作でも「トリプタン製剤」を使用すべきと勧めておられます。(これが薬剤乱用頭痛に繋がってきます)
 現在のトリプタン製剤ですが、片頭痛の場合、効くひとには麻薬並の絶大な効果を発揮するため、つい飲み過ぎにつながってきます。
 苦しい頭痛という痛みだけをトリプタン製剤で取り除いていますと、その根底にある病態(酸化ストレス・炎症体質)は次第に増悪してくることになります。(トリプタン製剤は専門家は片頭痛の”特効薬”とされますが、突き詰めれば市販の鎮痛薬と同様に鎮痛薬に過ぎないということです)。このため、自然と服用回数が増えてくることは避けることができません。このため、必然的に服用回数が増加して最終的には「トリプタン製剤による”薬剤乱用頭痛”」に至ります。
 片頭痛診療の重鎮とされる名古屋の寺本純先生は、このような薬剤乱用頭痛の治療の難しさをこれまで訴えてこられ、特に”トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛”を改善させる難しさを強調され、”従来の予防薬”では全く効かないと述べ、最近ではボトックス治療による方法を提唱されます。そして、先生は、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛からの脱却にはボトックス療法しか現状ではないとされます。そして、その有効率は、1年以内で80%であり、残りの20%は脱却できないとされています。このように、一旦、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛に陥れば、運が悪ければ、一生、頭痛で苦しむことを余儀なくされてしまうことを意味します。まさに、頭痛地獄の絵図そのものということです。
 参考までに、寺本先生の提唱される「ボトックス治療」は現在、保険適応はなく、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛から脱却する唯一の方法でありながら、簡単に・身近な医療機関では受けることは出来ないのが現在の日本の状況です。
 ですから、一旦、トリプタンによる薬剤乱用頭痛に至れば、治すことは至難の業です。
 トリプタン製剤は、効くひとには絶大な効果があるため、つい飲み過ぎになってきます。 しかし、このような”トリプタンによる薬剤乱用頭痛”に至れば、脱却は極めて困難になるということを認識しておく必要があります。こういったことから、発作時にトリプタン製剤を服用せざるを得ないことも事実ですが、必ず平行して「生活習慣の改善」を同時に行っていくことが絶対条件となってきます。
 こうしたことから、「生活習慣を改善」させることなく、安易にトリプタン製剤を服用すべきでないということです。
 
 このような薬剤乱用頭痛の特徴は、飲んでも飲んでも効果がなく、かえって頭痛を酷くさせることになります。そして、目が覚めた朝方から頭痛を訴えてくることになります。

  一部の専門家の考えでは、次のように指導されます。まず初めに鎮痛薬を飲むのを全て止めて戴きます。そうしないと、脳の”痛みのセンター”(脳幹の縫線核)が活動するようにならないからです。
 鎮痛薬を飲むのをやめますと、服用期間の長さにも依りますが、短期間の連用であれば、だいたい2,3日で痛みがなくなる方もおられますが、ほとんどの方は1年以上も連用されておられ、このような人は、1カ月前後要することも多くあります。
 鎮痛薬をやめてしばらくすると、痛みの抑制センターが仕事を始め、大したことのない痛みは抑制されるようになります。薬物乱用頭痛になってしまっている場合には、鎮痛薬を飲むのを止めることが、まず第一の治療です。
 しかし、”トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛”は、専門家によって片頭痛の特効薬とされるトリプタン製剤によって薬剤乱用頭痛を引き起こされたものです。このため、一般の方々には、どうしてこのようになるのかが信じられない思いがあり、結局トリプタン製剤を中止することは、まず不可能となり、ましてやこれを改善させる薬剤はありません。

 先述のように、これまで頭痛治療の世界では、痛みがあれば、まず市販の鎮痛薬を、これでダメなら病院での鎮痛薬・非ステロイド性抗炎症薬、これで効かなければエルゴタミン製剤を、これでも効かなければトリプタン製剤が勧められてきました。このように段階的に、”鎮痛薬”の服用が推奨されてきました。
 このように、上記のような各種の薬剤によって、ただ単に”頭痛という痛み”さえとれば、「これで安心」(すべてが解決した)と安易に考えられてきました。
 頭痛薬で頭痛が軽快しても、それを引き起こした原因はそのままで解決していません。
 そして、市販の鎮痛薬だけでなく、病院で処方される鎮痛薬・エルゴタミン製剤・トリプタン製剤すべて同様で、「頭痛薬」すべてが”頭痛を増悪させる”原因となっていることを認識しなくてはなりません。そうしませんと、ややこしい・複雑な頭痛となり、専門医によって「国際頭痛分類 第3版β版」に従った診断を求めなくてはならなくなります。
 こういったことから、頭痛治療は、”薬剤乱用頭痛との戦い”といっても過言ではありません。このような”頭痛薬によって頭痛が引き起こされてくる”というジレンマがあることを理解しなくてはなりません。
 このことが、頭痛治療を行っていく場面で最も大切な点です。


 これまで述べてきましたように、トリプタン製剤による薬剤乱用頭痛を治すためには、寺本純先生はボトックス療法しか現段階ではないと申されますが、私はこれまでの経験上、分子化学療法研究所の後藤日出夫先生が提唱される「3つの約束」を我慢強く、1年以上にわたって行うしか適切な方法はないと考えております。


 ということは、頭痛治療で最も大切なことは、私達が日常生活を送る上で、初めて感じる極く軽度の頭痛の段階から、これまで述べてきました要因を念頭に置いて適切に対処しなくてはいけないということです。こうした一般的な知識を普及させることです。
 日常的にテレビで宣伝されるように市販の鎮痛薬を常用することが如何に危険な行為であることを認識しなくてはなりません。といいますのは、このような段階では自分が片頭痛の遺伝素因を持っているかどうかは全く分からないからです。
 多くの方々は、片頭痛に至ってから初めて、このようなことに気がつかれます。特に、40歳を超えた中年の女性に極めて多い傾向にあると思われます。


 以上、ご理解頂けたでしょうか?


 頭痛の専門家には、こうした未病といった概念は存在しないため、当然のごとく自然治癒力といった能力が人間本来の体に備わっているとは考えません。こうした考え方は、これまで民間療法と蔑まれ無視されてきました。ですから、このようには一切考えることはありません。
 脳のなかに異常のない慢性頭痛は、東洋医学でいう”未病”の段階にあることを忘れてはなりません。このような未病の段階にある片頭痛を一つの疾患単位と捉え、トリプタン製剤で片頭痛という辛い頭痛が劇的に緩和させることが可能となったことから、片頭痛を病気と考えているだけのことです。
 こうした”未病”の段階にある片頭痛に対して、トリプタン製剤が片頭痛の特効薬であるとして、片頭痛発作時に毎回服用しておれば、これまで述べてきました「自然治癒力」を低下させ、益々、片頭痛は増悪の道をひたすら歩むことになり、最終的には慢性片頭痛という頭痛地獄に導かれていくということです。
 こうしたことから、頭痛の専門家の論法では、片頭痛は治せず、挙げ句の果ては慢性片頭痛に陥らざるを得ないということです。
 こうしたことに一切、気がつかれることはないようです。

 私達が日常的に服用を勧められている市販の鎮痛薬の「市場」は莫大なものです。到底、トリプタン製剤の売上高とは比較にならない程、高額になっていることを知っておく必要があります。このため、毎日のように市販の鎮痛薬のコマーシャルが放映されています。
 このように、製薬業界に頭痛医療はすべて支配されていると言っても過言ではありません。


 蛇足ですが、頭痛の専門家の重鎮とされる先生は、自分が若かりし時代には男性では「体の歪み(ストレートネック)」は殆ど診ることはなかったのに現代では、日常茶飯事に男性でも「体の歪み(ストレートネック)」が診られるようになってきたと述懐されますが、どうして、このように至ったのかを考えようともされません。
 そして、「体の歪み(ストレートネック)」と慢性頭痛は全く無関係とされます。
 こうした考え方をされる根拠は、頭痛の専門家が金科玉条のものとされる「国際頭痛分類 第3版β版」には全く記載されていないからです。
 ということは、私の考え方を無視される理由になっているということです。
 また、こうした「体の歪み(ストレートネック)」といったカイロプラクター・整体師・鍼灸師の先生方が重要視されるものはすべて民間療法と蔑まれ、まったく評価されません。
 これが、現代西洋医学の特徴でもあるということです。


 このようなことから、慢性頭痛、とくに片頭痛は西洋医学では、全く「闇の世界」とされ、「片頭痛からの卒業」などはまさに論外とされていることを私達は忘れてはなりません。
 このように、真実はどこにあるのでしょうか???