頭痛がおこる前になんらかの前ぶれがあります | 頭痛 あれこれ

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 「慢性頭痛」は私達の日常生活を送る際の問題点に対する”危険信号”です。
 このなかで「片頭痛」は、どのようにして引き起こされるのでしょうか。
 慢性頭痛改善は、「姿勢」と「食生活」の改善がすべてであり、「健康と美容」のための第一歩です。

 片頭痛のほとんどは、「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」の2種類で占められています。「前兆のある片頭痛」は全体の20 % 弱、「前兆のない片頭痛」は全体の80 %くらいです。
 「前兆のある片頭痛」にはその名の通り前ぶれがあるのですが、この前ぶれは、ほとんどの場合、目の前に星が飛ぶ、ギラギラとまぶしく感じる、目がみえにくくなる、などという視覚の異常です。星のようなものが現れ、それがだんだん広がっていき、やがて消えていく症状は、閃輝暗点と呼ばれ、よく知られた症状です。
 この「前兆のある片頭痛」の前ぶれは、日本人ではほとんどが視覚症状なのですが、欧米人では視覚症状は40 % ほどで、残りは、言葉がうまく出なくなるといった言語障害であったり、体の半身がしびれるといった感覚異常が占めています。
 また、それらが交互に変化しながら現れることも多いようです。
 日本人でも言語障害や半身のしびれが現れる人がいますが、これは非常にまれです。
 「前兆のある片頭痛」の場合には、これらの前ぶれ症状がだんだんと消えていき、それに代わって頭痛が起こってくるというパターンを辿ります。
 これに対して、片頭痛の大半を占める「前兆のない片頭痛」は、その名称からいかにも前ぶれがないように思われますが、じつは違います。
 「前兆のない片頭痛」もほとんどの場合、なんらかの前ぶれがあるのです。ただ、「前兆のある片頭痛」のようにはっきりした症状ではないために、「前兆のない片頭痛」と命名されているのに過ぎません。
 では、「前兆のない片頭痛」の場合には、どんな前ぶれが出るのでしょうか?
 その症状はさまざまですが、多いものとしては、首すじや肩の張り、生あくび、具体的な症状は出ないが何となく予知感(頭痛がおこりそうな感じ)がある、軽い頭痛がする、といったものです。
 また、それほど多くはないのですが、腹部にも症状が現れる人もいます。膨満感、排便感、吐き気(悪心)逆に食欲亢進など、胃腸の蠕動運動の乱れによる症状が現れます。
 「前兆のない片頭痛」の場合には、「前兆のある片頭痛」のパターンとは異なり、なんらかの前ぶれの症状が続いたまま、頭痛が起こってきます。


 このように寺本純先生は記載されています。
 「前兆のある片頭痛」と 「前兆のない片頭痛」の分けて、日本人では「前兆のある片頭痛」として、閃輝暗点と呼ばれる視覚の異常が多いとされ、「前兆のない片頭痛」としては、具体的な症状は出ないが何となく予知感(頭痛がおこりそうな感じ)があるとされています。これは予兆と称されるものです。
 この予兆と呼ばれる症状としては、あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状のことをさしています。


 これらについては、以前にも記事にしたことがありますが、もう一度、繰り返しになりますが、シリーズの体裁を整える意味で述べることにします。


 現在、専門家の間では、こうした予兆や前兆がなぜ起きるのか原因が不明とされます。
 前兆に関連して、「大脳皮質拡延性抑制」が提唱されていますが、この「大脳皮質拡延性抑制」を起こす原因が分かっていないとされます。
  発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことが分かりました。
 そうなると,片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が持たれています。

 

 


1.予兆はどのようにして起きるのでしょうか?


予兆と脳内セロトニンの低下


 片頭痛の患者さんでは、ミトコンドリアの機能が低下していますので、同時にセロトニン神経系の働きが悪くなています。ここに生活習慣の問題から「脳内セロトニンが低下した状態」が潜在的にあります。
 片頭痛発作時には、さらに脳内セロトニンが低下し、これが片頭痛の発作に繋がってきます。 
 脳内セロトニンは、脳内の様々な神経伝達物質に作用して「精神を安定させる」役割を持っており、さらに「満腹感」を感じさせ、食欲を抑制する作用も持っています。このため、強いストレスを感じたりイライラする時に甘いものや肉類などを食べたくなります。これは脳内セロトニンが低下したためです。
 脳内セロトニンは、精神安定作用と食欲コントロール作用を合わせ持っていますので、片頭痛発作前は脳内セロトニンが不足しており「精神的不安定」と「食べたい!」という欲求がよく連動して現れます。
 このため、片頭痛の予兆として、無性に空腹を感じて、甘い物を食べたくなる、イライラするとか,眠くなるなどの症状が起きてきます。
 これは脳内セロトニンの低下によるものです。


 発作が鎮まった後も気分の変調があったりするのは、なお脳内セロトニンの低下が残存しているものと思われます。


  これとは別の症状として、片頭痛が起きる前兆として、1週間前や数時間前に、”生あくび”が続けて出ることがあります。


 セロトニンを分泌する縫線核は、呼吸中枢にセロトニンを送って呼吸量を調整しています。縫線核は毛細血管中にセンサーを持っていて、血液中の酸素量などをチェックしているのです。体内の酸素量が不足したときにはセロトニンの分泌量を増やし、呼吸中枢を刺激します。
 したがって、セロトニンが不足すると中枢神経を充分に刺激できなくなります。そうなると酸素不足のままか、より不足した状態におかれることになりますので、それならば酸素をたくさん入れなければと、反応して生あくびが出るのだと考えられています。
 片頭痛発作前には、脳内セロトニンが低下しており、このため片頭痛の予兆として、生あくびが頻発してくる場合があります。

 ただ、片頭痛患者さんすべてにこのような予兆がみられる訳ではありません。このため、こうした予兆のある場合は、「脳内セロトニンの低下」が著しい状態にあるものと考えるべきです。


2.前兆の「閃輝暗点」はどのように起きるのでしようか


1.マグネシウム欠乏の観点から


 マグネシウム欠乏は、『皮質拡延性抑制』を発生させ、三叉神経刺激へと繋がり、片頭痛を発生させると謂われています。
 米国の研究では、400mgのマグネシウムを毎日補充すれば3~4週間後に片頭痛の頻度が減るという報告もあります。
 マグネシウム欠乏は、細胞の興奮性を増します。その結果、神経の過興奮不安定が生じ、拡延性抑制を発生させます。片頭痛トリガーが発動します。
 現在、この『皮質拡延性抑制』を抑える治療薬は開発されていませんが、片頭痛患者に非常に効果があり、皮質拡延性抑制を抑制する物質として期待されているのが『マグネシウム』です。


「ミトコンドリアの働きの悪さ」に、マグネシウム不足が加わると・・


 片頭痛の方は生まれつきミトコンドリアの機能低下が存在します。
 ここにマグネシウムが不足すればどのようになるのでしょうか?


 マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造において膜の安定性を保つ役割をしています。
 細胞膜にはミネラルイオンが通過できる小さな「穴」があり、これを使って必要なミネラルを自在に出入りさせることで細胞内のミネラルイオン濃度の調整しています。ミトコンドリアには、細胞内のカルシウムイオン濃度を適正に調整する作用があります。
 マグネシウムイオンが不足すると細胞内小器官(ミトコンドリア)の”膜構造ならびに細胞膜構造”のイオンポンプの力が弱くなり、細胞内小器官であるミトコンドリア膜の透過性も亢進し、ミトコンドリア内に入り込んだカルシウムイオンは、ミトコンドリア外へ出ていけません。このために、カルシウムはミトコンドリア内に少しずつ蓄積してきます。ミトコンドリア内カルシウムイオンの増加が起こります。このようにして、ミトコンドリア内カルシウムイオン濃度を薄めるために細胞浮腫、つまり水ぶとりの状態になります。
  細胞内のカルシウムイオン濃度が異常に高くなり過ぎますと、ミトコンドリアの調整機能は破壊されてしまいます。
 その結果、調整機能が壊れたミトコンドリアは死滅してしまいます。
  ミトコンドリアのエネルギー産生やミトコンドリア自体の生死には、ミトコンドリア内のカルシウムイオン濃度が強く関係していて、カルシウムイオン濃度は片頭痛の発症にも非常に大きな原因となります。

 このようになった細胞に、適量のマグネシウムが供給されると、貯まっていたカルシウムイオンなどが排出され、それに続き、水分も排出されます(これは、片頭痛発作後、尿量が増加する原因になっています)が、この水ぶとり状態も限度がありカルシウムイオンがある量を超えると、その細胞は不必要となり見捨てられます。そして、後にはカルシウムイオンなどで一杯になった固まりだけが残されます。これが石灰化した細胞のことです。
 結果的に、この細胞は死滅してしまいます。
 細胞内のマグネシウムが著しく不足すると、カルシウムイオンを細胞外に排出するカルシウムポンプの調整機能が働かなくなり、筋肉は収縮状態(緊張した状態)が続くことになります。片頭痛の前兆や、発症の引き金となる脳血管の収縮は、脳血管細胞内のカルシウム濃度の高まりによっても生じます。
 それはつまり、マグネシウム不足がもたらす結果でもあるのです。
 このようにして、マグネシウムイオンの低下はミトコンドリア内カルシウムイオンとナトリウムイオンの増加およびカリウムの喪失による細胞内でのカリウムイオンの低下を招きます。このようにして、細胞は興奮しやすくなります。 これが「脳過敏」を引き起こしてきます。このようにしてマグネシウムイオンの減少はミトコンドリアの代謝異常をきたして、神経細胞を興奮しやすくすることになります。これが『皮質拡延性抑制』を発生させることになります。


  これらは片頭痛の根本的原因として考えられているものです。


 片頭痛では、ミトコンドリア機能障害が生まれつき存在するために、ミトコンドリアはマグネシウムイオンの減少による影響をさらに受けやすくなることになります。マグネシウムイオンの低下は片頭痛発作の結果でなく発作の始まる前から存在しているのです。神経細胞の”興奮性の亢進”はマグネシウムイオンの減少の結果あるいはミトコンドリアの機能障害の結果として生じているものです。このようにして、「脳過敏」が形成されることになります。


 片頭痛とてんかんは密接な関係にあって,「片頭痛は本質的にてんかんの一種である」ことが強調されていますが、”脳の興奮性の亢進”は、上記のことを示すものです。
 そして、マグネシウム不足が持続すれば、ミトコンドリアの働きをさらに悪くさせることに繋がることになり、片頭痛を悪化・慢性化させる”元凶”にもなってきます。

 

2.「体の歪み(ストレートネック)」の観点から


 小橋 雄太さんはブログ「イミグラン錠副作用なしで片頭痛を治しちゃえ」133)で自らの体験を述べておられ、10年以上、閃輝暗点を伴う片頭痛に悩まされ、「体の歪み」に片頭痛発作の引き金があることに気付いて、当初は整体師さんの指導を受け、この指導を毎日忠実に守り・実行することによって片頭痛・閃輝暗点を一緒に改善されました。
 このようにカイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々は「体の歪み(ストレートネック)」に対して施術され、閃輝暗点を改善されておられます。
 こうしたことから、カイロプラクター・整体師・鍼灸師の方々からは、トリプタン製剤やカルシウム拮抗薬「ロメリジン」などの薬物では治るはずはないと唾棄される現実があるようです。


 私は「閃輝暗点」を伴う方々で、頸椎X線検査でストレートネックを呈する方々に対して、ストレートネックを改善させることによって、閃輝暗点がどのようになるのかを検討してきました。
  60歳以上の方で、若い頃、片頭痛の既往のない方で「閃輝暗点」を訴えて来院された方々を15例経験していますが、これらの方々全例にストレートネックを認め、同様に「ストレートネックの改善」のみで、「閃輝暗点」は消失しています。
 これとは別に、若い世代の「閃輝暗点」を伴う片頭痛の場合も、当然「ストレートネック」を伴っておられる方々に「ストレートネックの改善」を行わせますと、前兆である「閃輝暗点」がまず消失してから片頭痛が改善されていくという経過をとっています。


 このような成績をみますと、閃輝暗点出現時の血流低下の状態をSPECTもしくはMRIで確認されますが、これは”閃輝暗点出現時”の”結末”を観察しているに過ぎないと考えるべきもので、あくまでもその引き金となるものは、頸部の異常な筋緊張”「体の歪み(ストレートネック)」”にあるものと考えるのが妥当と思われます。
 しかし、現在では、このような「体の歪み(ストレートネック)」の存在意義そのものを否定されるため、このような考え方に至ることはありません。


3.発作後の”後症状”として”尿量が増加”するのでしょうか


 先述のように、マグネシウムイオンは細胞内小器官(ミトコンドリア)の膜構造ならびに細胞膜構造において膜の安定性を保つ役割をしています。
 マグネシウムイオンが不足すると細胞内小器官(ミトコンドリア)の”膜構造ならびに細胞膜構造”のイオンポンプの力が弱くなり、細胞内小器官であるミトコンドリア膜の透過性も亢進し、ミトコンドリア内に入り込んだカルシウムイオンは、ミトコンドリア外へ出ていけません。カルシウムはミトコンドリア内に少しずつ蓄積してきます。ミトコンドリア内カルシウムイオンの増加が起こります。それを薄めるために細胞浮腫、つまり水ぶとりの状態になります。
  このようになった細胞に、適量のマグネシウムが供給されると、溜まっていたカルシウムイオンなどが排出され、それにつづき、水分も排出されます。


 このように、発作中にマグネシウムがホメオスターシスという生体の恒常性維持機能によってマグネシウムが補充され、発作が治まる段階で、マグネシウムが補填されることによって、 薄めるために生じた細胞浮腫、つまり水ぶとりの状態が改善されることに伴って尿量が増加することになります。

 

 

 

 以上のように、片頭痛はミトコンドリアの機能が低下することによって起きる頭痛です。ということは全身的疾患ということです。