片頭痛は、これまで日本にトリプタン製剤が導入される以前の段階からWelch KMA, Ramadan NM 、下村登規夫、小谷和彦、村上文代先生らによって、”ミトコンドリアのエネルギー代謝異常あるいはマグネシウム低下によって引き起こされる脳の代謝機能異常疾患”であると報告されてきました。
片頭痛は”ミトコンドリアの活性低下”という「遺伝素因」をもとに、生まれてから、これから述べるような諸々のミトコンドリアの働きを悪くする要因が追加されることによって、さらにミトコンドリアの機能を低下させることによって起きてくる頭痛です。
この”ミトコンドリアの活性低下”はミトコンドリアDNAによって先祖代々(主として母系家族から)継承されます。
そして、ミトコンドリアDNAは活性酸素によって傷つきやすい特徴があります。
このようにして傷つけられたミトコンドリアDNAの数が一定数を超えくるとエネルギー産生能力が低下することによって片頭痛を発症してきます。
ミトコンドリアの機能を悪化させる要因としては、生活環境によって生み出された活性酸素および有害物質などの外部の生活環境要因に、食生活上の問題点、具体的には、マグネシウム不足・必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)の摂取のアンバランス・鉄不足・抗酸化食品の摂取不足・過食、生活習慣の問題点、具体的には、睡眠不足や運動不足や不規則な生活・インシュリン過剰分泌を来すような早食い・ドカ喰い等の食事摂取方法の問題等々があります。
このような「ミトコンドリアの機能を低下させる要因」を取り除かなければ、最終的に、「酸化ストレス・炎症体質」を形成させてきます。
先述のように、ミトコンドリアDNAは活性酸素によって傷つきやすい特徴があります。
活性酸素は、「呼吸をする」、「食事を摂る」、「運動をする」など、ごく普通の生活をしているときにも発生します。酸素を取り込み、エネルギーを作る過程で必ず発生するからです。そのほか、白血球が細菌を殺傷するとき、生理活性物質が作られるとき、有害物質(過酸化脂質、残留農薬、食品添加物、抗がん剤、薬物全般、アルコール、タバコ、大気汚染物質など)を解毒するとき、止まっていた血液が再び流れ出すとき(再濯流)、紫外線や電磁波(レントゲンなど)を受けたとき、強い精神的ストレスを受けたときなど、さまざまな要因により発生します。
もちろん活性酸素が体の中で増える一方ですと、人間はたちまち死んでしまいます。そのため、私たちの体は活性酸素を取り除く手段を持っています。
ただ、この手段では手に負えない量の活性酸素が発生したとき、活性酸素の発生が”活性酸素を取り除く手段(抗抗酸化物質)の能力”より常に優位な状態が、いわゆる「酸化ストレス」になります。
「酸化ストレス・炎症体質」とは活性酸素の発生が除去しきれないほど発生してしまう状態のことで、これらが原因で細胞が傷つけられ、さまざまな病気(炎症)を引き起こしてしまう状態・体質のことを言います。
「酸化ストレス・炎症体質」は長い間の生活習慣などにより起こり、特効薬を飲んだからといって直ぐに治るようなものではありませんし、特効薬などはありません。
この「酸化ストレス炎症体質」を基盤として、“内臓脂肪”の要因が加わると糖尿病に、生まれつき“ミトコンドリア活性が弱い”と片頭痛に、これがなければ片頭痛以外の慢性頭痛に、“脳内セロトニンが低下する”とうつ病やパニック障害に、“発がん物質を摂れば、ガンになり、βアミロイドが蓄積すれば、アルツハイマー病になってきます。
このようにして、先程述べたようなミトコンドリアの機能を低下させる要因を取り除かなければ、最終的に「酸化ストレス・炎症体質」を形成させ、慢性頭痛を発症させる素地を形成することに繋がってきます。
ここに、以下のような「脳過敏」「頭痛の慢性化」を引き起こす要因が追加されることによって、日常的に感じる極く軽度の頭痛が”難治性の慢性頭痛”へと進んでいくことになります。
1.ミトコンドリアの機能低下にマグネシウム不足
2.脳内セロトニンの低下
3.体の歪み(ストレートネック)の長期間の持続
私達の身体の細胞にはミトコンドリアという小器官があり、ミトコンドリアは糖と脂肪酸の代謝とアミノ酸の代謝などエネルギーを産生するのに必要不可欠な働きを担っていることから、「自然治癒力を正常に保つ」にはミトコンドリアを働きを良好に維持することが必要です。
ミトコンドリアの機能を低下させる要因を取り除かなければ、自然治癒力の低下が引き起こされることになります。
本来人間の身体には、生まれつき持っている、病気や障害を自身の力で元の健康体に戻そうとする、身体の制御の働きをするホメオスターシスの機能を持っています。いわゆる「自然治癒力」が上がる、とはこれらが正常に保たれた状態のことです。
一方「ホメオスターシス三角」を形成する3つのなかの、自律神経系の調節には、”セロトニン神経系”が関与し、内分泌系は”ホルモン”と”生理活性物質”が関与し、免疫系には”腸内環境”が重要な位置を占めています。
1.自律神経系
さまざまな環境の変化に対応して行くための自律神経という調整機能がホメオスターシスとしてあります。
たとえば、自動車には必ずアクセルとブレーキとが備わっています。
アクセルしかない車、ブレーキだけしかない車では運転し続けることはできません。同じようにアクセルとブレーキの働を受け持つのが自律神経です。
アクセルにあたる交感神経とブレーキにあたる副交感神経です。
自律神経は無意識のうちにホメオスターシスによって、夜眠っているときにも心臓が動き、呼吸が途絶えたりしないのも、自律神経が働いているためです。
自律神経がホメオスターシスによりバランスよく働くことで、毎日の生活を健康で元気に送ることができるのです。
このように、私達の体に必要なさまざまな代謝は私達の意思に関わらず、自律神経によりコントロールされています。
自律神経には日中に活発に働く交感神経と、夜になって活発に働く副交感神経があります。また、交感神経は体の活動時や緊張している時に活発に働き、副交感神経は食事時やリラックスしている時に働くというように、互いに相反する働きがあります。
そして、健康であるためにはこの自律神経が正常に機能していなければなりません。
たとえば、睡眠中は副交感神経が優勢に働いているのですが、交感神経が優性であれば眠りは浅くなり(よく目が覚める)、体力回復機能も弱まってしまいます。
このようなことから、良い睡眠を得るためには就寝前にキッチリと交感神経を抑制し、副交感神経を十分に高めておく必要があるのです。
このように、副交感神経優位から交感神経への切り替えや、交感神経優位から副交感神経への切り替えには、切り替えに必要な時間を十分に取ることが必要となります。
決して、熟睡中に突然起こされ、全力疾走するようなことを毎日やってはいけないのです。
食べ物を食べれば副交感神経が活発化され、胃や腸が働き、栄養素の消化吸収が行われます。
また、副交感神経は排尿や排便を促し、昼の間に消耗した体のメンテナンスを司ります。
2.生理活性物質
内分泌ホルモンに相当するものに”生理活性物質”があります。
私たちのカラダの中では、食べ物を分解したり、エネルギーを作り出したり、侵入してきた敵から身体を守ったりなど、絶えず、さまざまな生命活動が行われています。それらをうまく調節するために欠かせないのが生理活性物質です。
生理活性物質が正常に働くことによって、細胞や臓器など、体内の各器官が一定のバランスを保ちながら、健康な体を作り上げているのです。生理活性物質が不足すると、それらの正常な機能は乱れ、さまざまな器官に疾患が現れます。生理活性物質は、私たちの体がきちんと働くために欠かせない物質なのです。
生理活性物質とは、わずかな量で生き物の生理や行動に何らかの特有な作用を示し、身体の働きを調節する役割をもった物質のことです。例えばビタミンやミネラル、核酸、酵素などがそうです。また、アミノ酸から作り出されるホルモン、神経伝達物質、サイトカインなども生理活性物質のうちの1つです。
生理活性物質は、体内でタンパク質やアミノ酸などから合成されます。また、ある種のビタミンやミネラルのように体内で合成できないものは、食物から摂取する必要があります。さらに、自然界に広く生息する微生物が、ヒトにとって有益な生理活性物質を作り出すことも知られています。アオカビの作り出す抗生物質ペニシリンなどはその代表的な例です。
生理活性物質”のひとつのエイコサノイド は、必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6で作られ、この摂取バランスがよくないと、局所ホルモンのエイコサノイド・プロスタグランジンのバランスを乱すことになります。
生理活性物質には、以下の大きな3つの働きがあります。
①炎症を悪くする、
②その炎症を調整する、
③それらの働きを抑制する
たとえば、血管を広げる生理活性物質があれば、それを収縮させる逆の作用を持つもの、さらにそれぞれの作用を抑制するものが存在します。この3つがバランスよく保たれていれば何も心配ありませんが、バランスが狂ってしまうと、「自然治癒力」が低下してくる、ということになってしまいます。
必須脂肪酸は生体膜(細胞膜)を構成しており、オメガ3とオメガ6の摂取バランスがよくないと、ミトコンドリアの機能・セロトニン神経系の機能にも影響を及ぼし、結果的に、細胞機能のバランスを欠くことになります。
3.腸内環境
ミトコンドリアが最も多く存在するのが「腸」です。
実は私たちの健康と腸内の環境は本当に深く繋がっているのです。
特に近年、腸の免疫機能が注目されています。
というのも腸管に体の中で最も重要で最も大きな免疫器官があるからです。
私たちが呼吸によって取り入れた酸素は約2%が活性酸素に変化します。これは呼吸している以上、仕方がないことです。
しかし発生量が多いと細胞が傷つけられ、さまざまば病気を引き起こします。
ですから、活性酸素を体内で消去させていくことが大事です。腸内細菌は活性酸素の悪さを抑える力を持っています。腸内細菌が増えると、体内の活性酸素の作用を減らせることが分かっています。
「活性酸素」とは、体内の異物を排除しようとする免疫反応の一つです。強力な酸化力=体をサビさせてしまう、と考えると分かりやすいでしょうか。体内に異物が入ったり、病気と化した細胞を排除するために免疫機能が活性酸素を発生させるのです。
しかし、それだけでは終わりません。すべての細胞を酸化させ、傷つけて、細胞に致命傷を負わせ、そこから病気となる細胞を作り出してしまうのが活性酸素の厄介なところです。
「活性酸素」を除去するには、腸内細菌を増やすことが何よりも大事です。
腸内細菌は体をサビつかせる「活性酸素」を除去してくれる働きの源を持ちます。腸内細菌が元気であればあるほど、免疫力も高めてくれるので、病気にかかりづらい体になるのです。
つまり、腸内環境を整えておくことが、健康的な生活を送るために必須です。
このため、「健康的な生活を送る」ためには自然治癒力を高めることが重要で、このためには「ホメオスターシス三角」を構成する”この3つ”を「健全化」させておくこと、すなわち「自律神経を整えること」、「生理活性物質のバランスをとること」、「腸内環境を整えること」が大切になり、特に食生活に配慮する必要があります。
この3つのバランスが崩れてホメオスターシス機能が保てない状態になると、”頭痛”を肇とするいろいろな”体の不調”が現れることになります。
そして、ここにホメオスターシスの三角を構成する3つの要素、「自律神経を整えること」、「生理活性物質のバランスをとること」、「腸内環境を整えること」”すべて”に問題が生じてくれば、「ホメオスターシスの三角」が崩壊することになり、自然治癒力は破綻してしまうことになります。
ここで初めて「病気」としての慢性頭痛(慢性緊張型頭痛・慢性片頭痛)に至ることになります。
このように進展してきます。
このように、日常的に感じる極く軽度の頭痛・緊張型頭痛、片頭痛では、未だ自然治癒力の低下状態(ホメオスターシス三角の歪み)の段階・すなわち”未病”の段階にあり、単なる「症状」でしかなく、「病気」に至る途中の段階にあり、ここに諸々の生活習慣の問題が加わることによって、初めて「病気」としての「慢性緊張型頭痛」・「慢性片頭痛」へと進展していくものです。
そして、緊張型頭痛と片頭痛の基本的な差異は、ミトコンドリアの活性低下という”遺伝素因”の有無でしかありません。
片頭痛の患者さんでは、緊張型頭痛の場合と異なって、遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在しますので、ミトコンドリアの働きを悪くし、セロトニン神経を弱らせる要因の影響を、とくに受けやすいことになります。
このため、片頭痛では、緊張型頭痛に比べて、比較にならない程、頭痛の程度が極端に酷くなってきます。
ところが緊張型頭痛の場合でも、片頭痛のように遺伝素因としてミトコンドリアの活性低下が存在しなくても、生活習慣の問題によってミトコンドリアの働きが極端に悪くなり、さらに「脳内セロトニンが枯渇」してくれば、片頭痛と同様の難治性の頭痛(慢性緊張型頭痛)を引き起こしてくることになります。
多くの”純粋の”緊張型頭痛では、ここまでには至らないことが多く、大半は、姿勢の悪さ(「体の歪み(ストレートネック)」)か「脳内セロトニンの低下」のいずれかが関与して発症します。自然治癒力のお陰で終着駅である難治性の頭痛(慢性緊張型頭痛)までにはほとんど至ることはありません。
片頭痛とは、この途中の段階にある、いわば「症状」に過ぎないものです。
すなわち、「健康的な生活」が送れていないという警告信号である「症状」として、”片頭痛という形態”で、信号を発しています。
言い換えれば、「治癒反応」として、片頭痛発作を起こしているのです。
専門家達は、トリプタン製剤の服用を勧めます。
ところが、「治癒反応」である「頭痛(片頭痛)」をこうしたトリプタン製剤で「ホメオスターシス(自然治癒力)」を一方的に抑え込むことによって、「治癒反応」が停止・固定され、その結果 片頭痛は慢性化し、悪化してきます。
これが、片頭痛が慢性化する最大の原因になっています。
現実に、片頭痛全体の3割の方々は片頭痛を慢性化させ、苦渋を強いられています。この点は、極めて重要なことで、忘れてはならないことです。
「片頭痛という症状」は「病気」である「後天性ミトコンドリア病・慢性片頭痛」の治癒反応に過ぎません。つまり、様々な「片頭痛という症状」は「病気」が治ろうとしている「現れ」なのです。
このため、鎮痛目的で片頭痛発作時にトリプタン製剤を服用することは「病気」が治ろうとする「ホメオスターシス(自然治癒力)」である「命の振り子」を逆向きに押し返すことになります。
こういったことから”逆”症療法とも呼ばれます。
このようにして、急性期のトリプタン製剤や間歇期の予防薬といった薬物療法は対症療法に過ぎないもので、自然治癒力を奪うことにも繋がります。
日本にトリプタン製剤が導入された段階から、「片頭痛は”病気”です。”病気”ですから、医療機関を受診して、片頭痛を治療して、治しましょう」と言って片頭痛患者さんに医療機関への受診を勧め、生活の質QOLを高めて、健康寿命を長くさせましようと、しきりにマスコミを通じて、片頭痛患者さんを病院に誘導して、トリプタン製剤が処方されてきました。
さらに患者団体まで巻き込んで「なお、トリプタン製剤の恩恵に浴していない片頭痛患者さんが多くいる」と言って啓蒙活動を進めてきました。
このようにして、片頭痛の場合医療機関を受診して、トリプタン製剤を服用して、”治療”すべきとされますが、本来、このような薬剤を服用しなくても、我慢に我慢して3日間耐え抜けば、自然に治まってくることはどなたもご存じのはずです。
これはホメオスターシス(自然治癒力)のお陰で元の状態に戻るのです。
本来、片頭痛が原因不明とされていた時代に、片頭痛患者さんの”生活の質QOLを向上させる”ために、トリプタン製剤の服用が勧められていたに過ぎないものです。
それがいつしか、片頭痛発作時に毎回トリプタン製剤を服用しておれば、”片頭痛が治ってしまう”とか、片頭痛の”適切な治療”とはトリプタン製剤を服用することといった”ノーテンキ”なことを申される方々がいらっしゃることを忘れてはなりません。
片頭痛は”機能性頭痛”とされており、発作が治まれば元の健康状態に戻ってきます。このような観点からすれば、「自然治癒力(ホメオスターシス)」という観点から考えていかなくてはなりません。
未病とは”ホメオスターシスの乱れ”(自然治癒力の低下)
東洋医学では”未病”という概念があります。
「未病」とは、一言でいうならば「半健康で、病気に進行しつつある状態」とされています。すなわち、「不自然な生活」「不健康な生活」をしていることを意味しています。
「未病」を病気に進みつつある状態と捉えるならば、早い段階で「未病」のサインを認識し、然るべき手を打てばその進行を抑え、本格的な病気に移行することを防ぐことができます。
これは、健康であろうと病気であろうと、常に自らの生活習慣に気を配り、より本来の姿に近い心身の状況に持って行こうとする、生き方の姿勢を表してている表現なのです。
私達の体は本来的に、自然治癒力・自己回復力が備わっています。
ですから、それを活かす方向、もともとの生命力を十分に活かす方向に持っていくように意識して、それとなく導いてあげるようにするだけでも、その本来の力を発揮しはじめるようにできているのです。
病院で検査しても、異常がみつからない。だけども“頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、目がかすむ、喉が詰まる、心臓がドキドキする、ご飯がおいしくない、手や足にしびれ感がある、生理痛が酷い”などの体験をした方もいると思います。
病気とは診断されないが、健康でもない。いわば、“半健康・半病気”の状態に身体はあるのです。半健康・半病気の状態を、東洋医学では病気になる一歩手前だとして、「未病(みびょう)」と言っています。
絶対的な健康はなく、私たちの身体のバランスがどこか歪んでいるのです。
これは”「ホメオスターシスの乱れ」”を意味しています。
西洋医学では、体の状態は「病気」か「健康」かの2つに区別されます。
東洋医学では、病気と健康の間に「未病」という状態があります。「病気ではない=健康」ではないという考え方です。肩こり、腰痛、頭痛、不眠、じんましん…病気というほどではないけれど、体調が悪いことはあります。それがまさに「未病」の状態です。
脳のなかに異常のない頭痛の代表格とされる緊張性頭痛、片頭痛は、頭部のCT・MRIなどの画像検査では何も異常が見当たらず、これはまさに、典型的な”未病”と考えるべき頭痛です。このように緊張型頭痛も片頭痛も慢性頭痛(脳のなかに異常のない頭痛)として一括して考えるべき頭痛です。
その基本的な相違点は遺伝素因の有無だけでしかありません。
このように、慢性頭痛とくに片頭痛は、生活習慣病そのものであることを示しています。
このような生活習慣病そのものに対して、現在の慢性頭痛診療のガイドラインでは、現在の片頭痛治療方針では、発作急性期には各種のトリプタン製剤を使い分け、発作間歇期には各種の予防薬を”適切に”選択すべきとされ、これで片頭痛の治療体系は確立されたとされています。
このように「薬物療法」がすべてであり、片頭痛という辛い痛みだけを軽減・緩和させることに主眼が置かれ、このようにしておれば、いずれ3割前後の方々は治癒していくとされています。
ところが、専門家が片頭痛の特効薬とされるトリプタン製剤を、いくら片頭痛発作時に毎回服用しても、全体の3割の方々は、片頭痛は悪化し、慢性化してきます。なぜ、このような結末に至るのかは、先程述べたことです。
現在、使われているトリプタン製剤や予防薬はあくまでも”補助的手段”でしかなく、”対症療法”でしかありません。
この点が最も大切なことであり、”くすり”さえ飲んでおれば、片頭痛が治ってしまうことはなく、専門家の言われるようにトリプタン製剤は片頭痛の特効薬でも何でもないことを、まず認識しておくことが重要です。
最も大切なことは、片頭痛が”生活習慣病”であるということです。ということは、あなたの片頭痛がどのような生活習慣の問題点から起きてきたものかを確認し、これを是正・改善しなくてはならないということです。
医者が薬物療法にこだわるのは、効率性を重視しているからだと考えられています。
たしかに診察室で患者の栄養状態から普段の運動状況、仕事のストレス、精神状態までいちいち問診していれば、さばける患者の数も限定されます。 それに対し薬物療法なら、処方箋を書けば診察を終えることができます。実際、出来高払い制のもとでは、薬物療法によって医者だけでなく製薬会社も利益があがります。
安保徹博士(元、新潟大学医学部教授)に「大学医学部で、患者の治し方は、いつ習うのですか?」お伺いしました。これに対して、先生は、はっきり答えました。
「大学医学部で、病気の治し方なんか教えないよ」
びっくりしました。それでは、いつ“治し方”を学ぶのか、尋ねると。
「医者になると、ガイドライン(指示書)という便利なものがあるんだよ」
これは、厚労省、医者、業者(製薬会社)の三者で作成するのがタテマエですが、実際は製薬メーカーが作って、薬漬け医療を、全国の医師に“指示”しています。なにしろ、作成に関わった医師(教授ら)の9割がメーカーからお金(謝礼)を受け取っているのです。
これが、医師が診療指針とされるガイドラインの実態です。同様に、頭痛領域の「慢性頭痛診療のガイドライン」もまったく同様であり、現在の片頭痛治療方針では、発作急性期には各種のトリプタン製剤を使い分け、発作間歇期には各種の予防薬を”適切に”選択すべきとされ、これで片頭痛の治療体系は確立されたとされています。
生活指導の項目は一行たりとも存在しません。こういったことが、片頭痛が治らない理由になっています。果たして、専門家の考え方がどの程度までガイドラインに反映されているかが問題になりますが、専門家のすべてが、現在の「慢性頭痛診療のガイドライン」の通りであるとすれば、信じられない思いしかありません。
現在使われているトリプタン製剤や予防薬はあくまでも”補助的手段”でしかなく、”対症療法”でしかないにも関わらず、製薬メーカーの利益を第一とした現在のような「ガイドライン」は即刻改めるべきであり、慢性頭痛で悩まれる方々をまさに冒涜するにも甚だしいものがあると言わざるを得ません。
このようなガイドラインは、限られた時間内では説明しきれないものを記載しているのが原則であり、患者さんが自宅で、自由に読み解くのが本来のあり方のはずです。
このような「ガイドライン」がなければ、治るべく片頭痛が治らなくなってしまうからです。
このような「ガイドライン」を作成されない目的は、片頭痛を治らないように意識的にされているのでしょうか。このように勘ぐらざるを得ません。
糖尿病学会が作成される「糖尿病治療のてびき」と 「慢性頭痛診療のガイドライン」を比べてみれば、その差は歴然としていると言わざるを得ません。