野菜を食べると腸と腸内フローラが活性化するのは、確かでしょう。
豊富な食物繊維を摂取できますし、ビタミンやカルシウムがたくさん入っているものも多い。
でも、今、スーパーなどで売られている野菜が、果たして本当に腸にとっていいのかとなると、疑問はあります。1個当たりの野菜に含まれるカルシウムやビタミンCの量が、ものによっては20年前の半分以下になっているようですから。
食べてみても、自然の味が失われているものがかなりあります。すごくすっぱかったり、濃かったりするものが減って、みんな平均的な、似たり寄ったりの味になってしまった。
外見は大きいし、色もキレイで見栄えはいいのに、内容は貧弱。どこか、現代の若者と同じようなイメージがしてしょうがありません。
ずっと私は、植物にとって大切なのは根っこであって、またその根っこを支える土壌がしっかりしていなくては、いい花も咲かないし、いい実もならない、と言い続けてきました。
なぜ「力のない野菜」が増えてきたかの原因として、農業も合理性ばかり重視して、化学肥料を大量投与しているうちに、土壌の中の有益な微生物が減ってしまったんです。
まったく人間の体と同じ。「薬漬け」にしてしまった末に、善玉菌をどんどん減らして腸内環境を悪化させた図式です。
野菜も人間も同じですよ。良い土のもとでなくては根も育たないし、いい作物も生まれない。
健康な野菜を食べなくては、健康な腸にならないのです。
ただ、じゃあ、「有機野菜」を食べましょう、と単純に言えるかとなると、そうはならないところが難しい。
多くの皆さんはご存知でしょうが、有機野菜でも、まったく農薬を使わないわけではないんですね。農薬を使わないで作られたものもあるけれど、使っているものもある。
また化学肥料は使わないとしても、家畜の糞尿を発酵させて作ったり、草を発酵させて作ったりする有機肥料を使うことは多いのです。
そうした肥料は、じっくりと時間をかけて発酵させて、腸の善玉菌にあたるような微生物が活発に活動してくれる状態になっていれば、問題はありません。しかし、そうとは限らないのです。まだ発酵が不十分なまま使われると、有害な病原菌などが肥料の中に残ってしまったりするために、逆にその作物を食べると食中毒を起こしたりする危険がある。
とはいえ、ラベルを見てもちゃんと発酵した肥料を使ったものか、そうでないものかはわからずに、全部が「有機野菜」なのです。見た目で判断しようがありません。
ですから、私は、ラベルやブランドを信用しすぎないほうがいいですよ、と言いたい。所詮は、そういったものは脳による判断です。
答えは、腸が出してくれるんです。お店に行って、野菜を見て触れて、腸が「おいしそうだな」「食べたいな」と反応しているものを買う。腸内フローラは、自分にとってどれが「おいしい」か、ちゃんと「大家さん」であるあなたに教えてくれるはずです。