今回のシリーズの目的は、「片頭痛の正しい知識」を徹底させることです。
このためには、専門家が現段階において”謎”とされることをひとつずつ解き明かしておかなければ、「片頭痛の正しい知識」は得られないことになります。
現在、専門家は以下のように述べられ、”謎”とされる部分を示されます。
片頭痛のメカニズムは、トリプタン製剤の作用機序の面から説明され、基本的に、片頭痛発作時には、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質が減少あるいは機能が低下しており、片頭痛発作の時に、脳内セロトニン様作用をもつトリプタンを投与することによって、機能低下状態に陥っているセロトニンをバックアップしています。
このように、片頭痛の病態(メカニズム)は各種のトリプタン製剤の作用機序の面から研究され、説明されてきました。
その結果、肝心要の”中枢神経系でセロトニンが減少する”理由についてはまだ謎とされます。
片頭痛の患者さんは,そうでない方と違って特別に興奮しやすい状態があるのではないかとされ、このような「脳過敏」を起こす原因もこれまた、不明とされます。生まれつきの先天的なものとされます。
そして、前兆に関連して、「大脳皮質拡延性抑制」が提唱されていますが、この「大脳皮質拡延性抑制」を起こす原因が分かっていないとされます。
その前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります。あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状があってから前兆が起こり,さらに激しい発作が起こること,発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことが分かりました。そうなると,片頭痛は脳の血管,あるいは脳だけの局所的な疾患ではないのではないかという疑問が持たれています。
このような観点から病態を説明する最大の問題点は、片頭痛が慢性化する理由が、一切、見当がつかないとされていることです。
このように片頭痛の病態をトリプタン製剤の作用機序の面から説明してきたことによって、以上のような諸々の疑問点が生まれてきているところから、最近では、脳のなかに異常のない頭痛と”定義”される片頭痛が、”片頭痛発生器”というものを脳幹部付近に想定することによって、”中枢性疾患”という脳のなかに異常のある頭痛とまで、”基本的な定義”さえ覆されています。
このようにして、専門家の間では、片頭痛は、”中枢性疾患”という脳のなかに異常のある頭痛であるとまで、考え方が改められています。
このような点をこれから明らかにしていきます。
この章は、このような専門家が”謎”とされる部分を明確にするのが目的です。